「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・24
《第5章 自閉症の記憶世界》 《要約》 【視線の謎】 ・うつろな、あるいは遠くを見ているような自閉症者の視線は、いったい何を写し取っているいるのだろう。そして、何を記憶世界に送り込んでいるのだろうか。 ・本章では、自閉症者に観察される記憶の世界を訪ねてみることにする。 【時間的世界と空間的世界】 ... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・24
《第5章 自閉症の記憶世界》 《要約》 【視線の謎】 ・うつろな、あるいは遠くを見ているような自閉症者の視線は、いったい何を写し取っているいるのだろう。そして、何を記憶世界に送り込んでいるのだろうか。 ・本章では、自閉症者に観察される記憶の世界を訪ねてみることにする。 【時間的世界と空間的世界】 ... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・23
《なぜオウム返しをするのか》 《要約》 ・自閉症児が「オウム返し」をするわけを知るには、言語の問題の中だけで考えず、行動の問題に戻って考えてみる必要がある。 ・自閉症児には行動プログラムを立てる力があまり育っていない。ゴールを自分で定め、道筋をつくっていない。彼らは、意思決定者としての自分に気づい... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・22
【なぜ遊べないのか】 《要約》 ・自閉症児は、言葉をその意味と結びつけるうえでもトラブルを起こしやすい。このことは、自閉症児がうまく遊べないことと深く係わっている ・砂場遊びでは、砂をご飯に「見立てる」、ごっこ遊びでは、「お父さん」「お母さん」の意味。役割を「演じる」ことができなければ、遊びは成立... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・21
【出来事の基本構造】 《要約》 ・出来事を表すのに必要な動詞や助詞の役割をうまく説明している文法理論がある。(フィルモアが提案した「格文法理論」)この理論にもとづいて、認知心理学者リンゼイとノーマンは出来事の構造を図式的に表現している。(ノーマン「情報処理心理学入門Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」サイエンス社) ◆「... 続きをみる
午後5時からNHKテレビ「篠田桃紅105歳を語る 衰えても日々新たなり」を観た。 ウィキペディア百科事典で「篠田桃紅」と検索すると、以下の記事が載っている。 〈篠田 桃紅(しのだ とうこう、本名:篠田 満洲子、1913年(大正2年)3月28日 - )は、日本の美術家・エッセイスト。映画監督の篠田... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1939年)再読・20
【言語の階層構造】 《要約》 ・絵カードを使っておこなった研究の結果から言えることは、知能障害児も健常幼児も、大ざっぱなレベルでは0、文の表す内容を正しくつかんでいるらしいことである。これに対して自閉症児は名詞、動詞、助詞など、多くの単語を使うことはできても、それらが組み合わされてつくられる文全体... 続きをみる
ようやく2019年に辿り着いた。それにしても、この「年の瀬」を渡り切るのはしんどかった。除夜の鐘が鳴り終わる頃、突然、吐き気が押し寄せる。続いて動悸と息切れ、さらに胸痛・・・。原因はわかっている。「逆流性食道炎」と「肋間神経痛」に違いない。ひたすら「内関」「げき門」「大陸」「老宮」といったツボを... 続きをみる
戦後まもなく「天才少女歌手」と謳われた美空ひばりは、生前、黒柳徹子から「今、一番じょうずな歌手は誰?」と問われて、即座に「ちあきなおみ」と答えた。成人後の美空ひばりは、少女時代を超える作品を多く残せなかったが、さすが鑑賞力だけは確かであった。彼女の言うように、ちあきなおみの歌唱力は半端ではない。... 続きをみる
私は中学校の校舎内を歩き回り、戸や窓の施錠を確認している。その時、隣の小学校からスピーカーを通して校長の声が聞こえてきた。「下校時刻が過ぎています。さあ、早く家に帰りましょう。」そこまではよかったが、なぜか私の実名を出して、「○○○○は、規則を破り、いつも遅くまで学校に残っています。生徒が真似を... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・19
【物から出来事へ】 《要約》 ・周囲の世界ががらりと変わるときがある。それは、目の前で何かが起きたときである。「ツミキ・オチチャッタ」、二歳児の口からこんな言葉が発せられることがよくある。 ・積木はまだ視界の中にあるけれども、「机の上の積木」はもうない。これは情報的には大きな意味をもつ事実である。... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・18
【指さしから言葉へ】 《要約》 ・人の子どもは一歳から二歳までの間、いったい何をしているのだろう。その間に、もしくはそれに先立つ時期から、子どもは言葉以外のコミュニケーション手段をさかんに使うようになっている。その代表というものが指さしである。 ・他の指を心もち曲げ、ひとさし指だけを立てておこなわ... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・17
《第4章 自閉症の言語世界》 《要約》 【オウム返しの謎】 ・自閉症児の言語は、彼らの行動と同じように捉えどころがない。けれども、「言語行動」という言葉があるように、言語を使うのも行動の一種なのであり、外部環境に働きかけたり取り込んだりするための手段なのである。自閉症児の言葉の問題には、行動の問題... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・16
【身体に現れた症状】 《要約》 ・自閉症者は行動のプログラムの立て方に問題があり、その結果、(略)長時間固定した姿勢を保ったり、歩行を続けたりすることができなくなる。その状態が10年、20年と積み重ねられているうちには、身体を動かしたり支えてりする骨や筋肉にも異常が生じてくるはずである。 ・自閉症... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・15
【遊べない子ども】 《要約》 ・子どもは、早くから所有欲をもち、長い期間、他者とのぶつかり合いを経験して、充分自我を育てた後、三歳を過ぎた頃から他児との歩調を合わせて共同遊びができるようになる。それは、共感の世界が芽生える時期で、「こころの理論」が新しい局面でつくられるときである。 ・しかし、共同... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・14
【こころの理論】 《要約》 ・人のこころの内側を想像しながら行動することは、自閉症者にとって非常にむずかしいことなのである。 ・私たちは、たえず他人のこころの内側まで判断しながら行動している。つまり、こころの法則のようなものに気づいていて、自分なりの「こころの理論」を構成している。ところが自閉症児... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・13
【カード分類テスト】 《要約》 ・自閉症児は、状況と関連させながら行動を進めることができない。一度プログラムを手にしてしまうと、それを変更しようとしない。また、微妙な感情のレベルで障害が見られる。 ・自閉症児の振る舞いを見ていると、前頭前野における発達障害を疑わせるところが非常に多いのだが、この仮... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・12
【大脳の三つのブロック】 《要約》 ・第1ブロックは脳幹、視床下部、大脳辺縁系を含む領域で、欲望や感情に関係するだけでなく、大脳皮質の興奮水準を調節している。第2ブロックは、大脳皮質、すなわち頭頂葉(筋肉感覚と触覚刺激の入力)、側頭葉(聴覚刺激の入力)、後頭葉(視覚刺激)からなる領域であり、情報の... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・11
【状況・行動規制】 《要約》 ・どのようなときには何をしなければならないか。人間も含めてすべての動物の脳にはおのことについての無数のルールが組み込まれている。雨が降れば傘をさすし、部屋に入るにはドアを開ける。つまり、状況が行動を生み出す。 ・すばやく状況を認知し、行動するためのルールは、状況・行動... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・10
《第3章 自閉症の行動世界》 《要約》 【行き先についての謎】 ・自閉症者の動きは特有である。一挙手一投足がどこか私たちとは違う。違うことはわかるが、どのように違うかは実はよくわかっていない。彼らは、私たちの目の前を横切り、どこにいこうとしているのだろう。その行き先をこの章では追求してみることにす... 続きをみる
若い頃「・・・アア キモチワルイ」を連発したのは二日酔いの時だったが、今では日常茶飯事の口癖となった。朝から晩まで「吐き気」が襲ってくるからだ。それに「腹部膨満感」「息切れ」「動悸」「めまい」「胸部の疼痛」が加わることもある。「急性心筋梗塞」の手術後、半年が経過、主治医の診察では「異状なし」とい... 続きをみる
今年6月に「急性心筋梗塞」を発症して、ちょうど半年が経過したが、状態ははかばかしくない。つねに何らかの不快感が生じている。起床時の吐き気、その後の食欲不振(腹部膨満感)、倦怠感、脱力感、便秘、時には、めまい、動悸、息苦しさも加わり、すぐに横になりたくなる。ようやく「延命半年まで漕ぎ着けた」という... 続きをみる
《年末の駄句三句》 ■年忘れじいじばあばも物忘れ(老々介護の実態) ■数え日に思い巡らす来年の計(計画は決して実行されない) ■元日や六波羅蜜の第一歩(六波羅蜜は仏道の指針) (2018.12.24)
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・9
【認知の革命】 《要約》 ◆前操作期・・・2歳→6歳 ◆具体的操作期・・・6歳→12歳 ◆形式的操作期・・・12歳→ このモデルは、人間が人生の初期であればあるほど、急勾配の坂を駆け上がりながら認知構造の変革をおこなうことを示してくれている。このとき必要とされているエネルギーは、計り知れないもの... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・8
【「私」の芽生え】 《要約》 ・外部の世界に手ごたえを感じ始めた幼児が用いるのは、言葉だけではない。言葉の獲得期に言葉よりもはるかに高頻度に用いられるのが、指さしである。 ・この指さしの現れも、自閉症児の場合、非常に遅いのである。「指さし行動が生後数ヶ月までにできることはめずらしい」(メアリ・コー... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・7
【生後二年目の飛躍】 《要約》 ・人の発達は、生後一年間の不自由があるからこそ、その後の発達が飛躍的なものとなる。・直立し、高い視野と達者な足腰をもつようになった人の子どもは、ハイスピードで世界を拡大し始め、そのまま、彼の養育者である母の視野の外まで飛び出してしまいそうに見える。しかし、そうしない... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・6
【生後1年間の謎】 《要約》 ・人間は、脳の設計思想から。また「生後1年間に及ぶ無力な状態」から、自閉症になる「可能性」をもっている。 ・ヒトの胎児は、大きな脳をもった自分自身を胎内に収めるために、他のすべての器官の発達を最小限に抑えなければならなかった。体のバランスとそれに伴う活動の水準が他の哺... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・5
【脳の設計思想】 《要約》 ・ヒトの脳の各部位は、一般に、①脳幹、②視床下部、③大脳辺縁系、④大脳皮質、⑤前頭葉という名称で表されているが、米国の生理学者ポール・マクリーンは、進化という観点から、①爬虫類脳、②古哺乳類脳、③新哺乳類脳という三層構造の模式図を提案した。爬虫類脳は、脳幹・視床下部に、... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・4
《第2章》自閉症の幼児期 【要約】 《謎をさかのぼる》 ・自閉症というきわめてユニークな症状をもたらす原因の大本となっているものは必ずしもユニークなものではなく、知能障害などとも共通する非常に多くの病因が考えられるのだった。それらの病因が、何故しばしば自閉症へ発展するのか、その理由として考えられる... 続きをみる
■独り寝の温もり溜まる毛布かな ■夜明けまで毛布を被る苦吟行 ■毛布負い還る倅に阿修羅像(戦後まもなくの風景) ■微笑する遺影を帯に踊初め(若座長を亡くした先代座長の思い) ■逝きし子のタペストリーと初芝居(息子を亡くした女座長の心意気) ■もういくつ寝ても来ん来んお正月(私の心境) ■今日もまた... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・3
【自閉症の診断】 ・自閉症は単一の原因によって生まれるものではなく、複数の原因に由来した障害をもつ症候群である。しかも、その症状は一人一人微妙に違うため、自閉症者の数だけ自閉症の物語があると言ってもいいほどである。 ・自閉症の第一発見者であるカナーが自閉症児の中に認めた症状は、要約すると、次の五項... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・2
《第1章 自閉症の発見》 【要約】 ◎発端となる謎 ・自閉症の発見は、1943年と翌1944年に、米国の小児精神科医カナーとオーストリアの小児精神科医アスペルガーによって相次いでなされた。しかも「自閉症」(オーティズム)という全く同じ病名を用いることによって。大きな謎として迎えられたこの障害は、か... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・1
《はじめに》 【要約】 ・自閉症とは、現在では、出生前もしくは出生後のごく初期に発生する発達障害の独特なタイプであると考えられている。それは、未完成な、また、それだけに爆発的な発達を遂げる幼い脳に起きた小さな出来事の結果によるものである。最初は小さな異変であったものが、大きな建築物の大事な骨組みに... 続きをみる
「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)再読・序
《序》 「自閉症からのメッセージ」(熊谷高幸・講談社新書・1993年)を再読する。この本は今から22年前に刊行され、私はほぼ20年前に一読した。「自閉症」の《謎》とされている部分に対して、第三者(学者)として、大変わかりやすく解説されており、多くの示唆を与えられた。あらためて再読しようと思い立った... 続きをみる
「教える」とは、①知らせる(道を教える、名前を教える等)ことです。②思いを伝える(親の教え、師の教え等)ことです。③できるようにする(技を教える)ことです。④わからせる(問題の解き方を教える)ことです。そのことを成功させるために、最も大切なことは、「相手の実態(現在の実力)を的確に把握すること」... 続きをみる
私は、中学校で3年間、高校で3年間、大学で4年間、合計10年間「英語教育」を受けた。しかし、英語を「話す」ことができるようにはならなかった。それは、ひとえに、私自身の「努力不足」「能力不足」の結果であることは、重々承知しているが、周囲にも、私同様の方々が、多数見受けられるところをみると、あながち... 続きをみる
平成15年、文部科学省は「自閉症とは、3歳位までに現れ、1他人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される」と定義した。厚生労働省もホームページで、「自閉症の原因... 続きをみる
「禁断の実は満月に輝く」(NHK・Eチャンネル)というドラマの《核心》
「禁断の実は満月に輝く」(NHK・Eチャンネル)というテレビドラマを観た。そのあらすじは以下の通りである。(ネットサイト「まんたんウェブ」より引用) ◆「ダウン症のイケメン」を自負する主人公・光司(略)はある日、自分の障害が原因で大好きな兄の結婚が中止になったと知り、ショックを受ける。そこで障... 続きをみる
12月3日配信「朝日新聞デジタル」に《尾畠さん「当たり前のことをしただけ」流行語受賞辞退》という見出しの記事が載っている。その内容は以下の通りである。 〈大分県日出町の尾畠春夫さん(79)が、自身の代名詞となった「スーパーボランティア」の流行語大賞受賞を辞退した。ノミネートが発表された先月7日... 続きをみる
東京新聞5月27日付け朝刊(19面)に「コウちゃんのクラス」という記事が載っている。「コウちゃんのクラスは、肢体不自由の特別支援学級の七組。在籍児童はコウちゃん一人で。2010年の入学に合わせて新設された。以来深谷教諭が中心となり、コウちゃんの力を伸ばす指導に取り組んできた」とあり、6年間の交流... 続きをみる
ふと何気なくテレビのスイッチを入れたら、岡林信康の歌声が聞こえてきた。(NHKテレビ・「SONGOS」・2010.2.3.午後10時)それも、こともあろうに何と、あの「悲しき口笛」(唄・美空ひばり)を口ずさんでいたのである。世の中、変われば変わるもの。あの長髪に髭だらけ「イエス・キリスト」然とし... 続きをみる
『自閉症児のための抱っこ法入門』(阿部秀雄・学習研究社・昭和63年)
人の一生は「産声」から始まる。「産声」とは、肺呼吸が始まったことを現す証しに他ならないが、いわゆる「オギャーオギャー」という「発声」のことである。以後、乳児は頻繁に「オギャーオギャー」という泣き声を発するようになる。親は、それを聞いて、乳児の状態を観察、授乳、おむつの取り替え、衣服の着せ替え等々... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・47
《第13章 Fくんの場合》(秦野智子) 1.入園時のようす・・・不安定な母子 ・6歳0カ月の時、初めて来園した。すんなりと保育室に入り、母親のひざにすわっていた。しばらくすると黒板に石油会社名を書くようにせがむことをはじめた。書いた後は必ず声にして読ませた。その後、ワゴン車に乗り込み押してもらい廊... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・46
《第12章 Eちゃんの場合》(後藤徹男) 1.入園時のようす・・・薬物療法施行中 ・4歳3カ月の時、母親と来園。何をして遊ぶでなく、フラフラと歩き回っていた。トランポリンの上では、されるままで、自分から動こうとする意欲はまったく感じられなかった。発声はあまりなく、無表情で笑い声も聞かれなかった。4... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・45
《第11章 Dくんの場合》(小柴真喜子) 1,入園時のようす・・・表情固く言葉を発しない ・Dくんは非常におとなしい子で、感情表現が乏しく、一定の表情しかみられなかった。・電気のスイッチをつけたり消したり、オルガンの音に興味をもち、オルガンの下にもぐり込んでばかりいた。シーソーブランコを動かしては... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・44
《第10章 Cちゃんの場合》(久我晴代) 1.入園時のようす・・・3日に1度くらいしか声を出さない ・2歳11カ月の時、父母と見学に来る。泣いて入ろうとしない。強引に中につれて入る。父母と面談中も泣いてぐずっていた。給食は1人で好き嫌いなく全部食べた。その後、機嫌がなおったので保育室でボール遊びを... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・43
《第9章 Bくんの場合》(荻野俊子) 1.入園時のようす・・・固執傾向と独占欲 ・4歳2カ月月の時、初めて来室した。母親と一緒だったせいか不安も抱かず、いろいろな遊具に興味を示した。興味の対象は次々と移っていく。 ・4歳3カ月から通園開始。朝、帰りの会、給食の時など皆と一緒にいることはほとんどなく... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・42
《第3部 実践》 《第8章 Aくんの場合》(石田遊子) 1,入園期のようす・・・無反応な対人関係 ・3歳4カ月の時、家庭訪問して対面した。Aくんは私たちには全く無関心、ソファーに よじ登ったり、まわりを歩き回ったり、「リーダーズ・ダイジェスト」の本をめくったりしていた。母親が抱いても、嫌がってすぐ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・41
《8.予防措置》 ・まず、危険防止に配慮しなくてはならない。 ◆不必要な道具は片づけてておく。 ◆道具は金属製のものではなく、木製、プラスチック製のものにする。 ◆子どもが転ぶ可能性のある所には、マットを敷いておく。(階段からの転落に注意する)◆吊り下げる道具はできるだけ床近くまで下ろしておく。 ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・40
《7.固有感覚訓練》 ・固有感覚刺激は、身体の各部分の関節を曲げたり伸ばしたりすることで、与えられる。・この訓練も、子どもの反応にしたがって、喜ぶ活動を選べばよい。活動の種類としては、身体各部を曲げる、伸ばす、圧泊する、そうした感覚を統合するといった運動が考えられる。身体各部の屈伸は、「赤ちゃん体... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・39
C.痛覚 ・たたくということで痛覚の刺激が与えられる。刺激の強さは、保育者自身の力の入れ具合で自由にコントロールできる。ゆうやかな刺激としては、子どもの肩や背中をリズミカルにやさしく叩いてあげればよい。子どもによっては、もっと強い刺激を必要としている場合もある。自傷行為がある場合には、その行為を止... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・38
B.圧覚 ・圧覚刺激は、子どもの身体をおしたりもんだりして与えられる。いわゆる指圧やマッサージなどと同じような活動と考えてよい。 ・触覚刺激(こすること)は興奮を高める効果を持つのにたいして、圧覚刺激(おすこと)は興奮を抑える働きがあるといわれる。したがって、圧覚刺激はとくに多動な子どもの場合に奨... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・37
《6.皮膚感覚訓練》 ・刺激を与える場所は、子どもの気に入るところならどこでもよい、ということが原則である。 ・エアーズは触覚刺激を重視しているので、触覚、圧覚、痛覚、振動覚、くすぐり覚、温(冷)覚、水中覚の順に、活動例を紹介する。 ・皮膚感覚を刺激する活動は、スキンシップといわれている行為に含ま... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・36
《5.平衡感覚訓練》 ・平衡感覚に働きかける刺激とは、身体の動きと姿勢に変化を与えるということである。刺激の種類は次の7つに分類される。 ①身体の前後方向への直進加速度 ・ブランコに乗る。電車・バスの前向きの座席に乗る。ジェットコースターに乗る。 ②身体の左右方向への直進加速度 ・電車・バスの横向... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・35
《4.刺激の与え方》 ・まず感覚診断を行い、子どもの反応を調べる。かなり強い刺激を与えても子どもがかえって喜ぶようならプラス、ちょっとした刺激でも子どもがいやがるようならマイナスの反応といえる。 ・最初はプラスの反応を示した行動から始める。子どもの反応を観察しながら、かなり強い刺激にまで高めていく... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・34
《3.子どもの反応》 ・おとなが意図的に刺激を与えるときの着眼点や注意すべき点について述べる。 A.刺激を与える前の子どもの反応 ・新しい活動ということだけで尻込みしたり、自分自身の限界について鋭く意識している子どもがいる。子どもが道具を見て不安症状を示したら、その道具が脅威を与えていると考えなく... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980)精読・33
《2.感覚回路についての一般的原則》(デラカート) A.鈍すぎる感覚の場合 ①危険な場所や危ない物、有毒など危険に対して無防備なので、事故に気をつける。 ②いろいろな強い刺激を与えて感覚を目覚めさせる。 ③強い刺激からだんだん弱い刺激へと進める。 ④与えっぱなしにして慣れをおこさないように気をつけ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・32
《第7章 統合訓練の方法》(石田遊子) 《1.子どもにとって最適な刺激》 ・エアーズは、一般的原則として次のように言っている。「一般的にいって、楽しいもの・喜ぶものは統合されるものだと考えられる。」「もし子どもがその刺激が好きで自分からすすんでそれを求め、そのあと気持ちよく感じ、それによって興奮過... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・31
《6.療育キャンプの経験から》 ・千葉県中央児童相談所の好意により、1泊2日の自閉症療育キャンプ(昭和53年9月7~8日)に参加した自閉症児及び自閉傾向児18名(3~9歳)について感覚診断を行う機会を得た。母親に記入してもらった常同行動チェックリスト、児童相談所の個別記録、および、平衡感覚・皮膚感... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・30
《4.診断の実例 2(『自閉性精神薄弱児の家庭指導1』(小林提澍著・福村出版)のYくん)》 ・昭和30年5月30日から同年10月24日までの約半年間の記述を利用して、感覚診断の演習を行う。 ◆Yくんの感覚診断の結果 ●平衡感覚《鈍い》→・同一の位置で盛んにとび上がる。・ブランコが大好き。・電車は好... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・29
《3.診断の実例 1(『愛の奇跡」のアン』》 ・現実に子どもを相手にするのでないから、第2の方法である設定刺激は利用できない。◆診断の結果 ●平衡感覚《鈍い》・特定のイスにかけて何時間もゆすっている。・ブランコを何時間も乗っている、大きく前後に揺すって喜ぶ ●皮膚感覚《鋭い》・(触覚)→・抱き上げ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・28
《2.感覚診断の方法》 ・私たちはデラカート(の感覚障害論)を踏襲している。しかしデラカートの分類では「触覚」が広義に用いられすぎているため、感覚統合訓練の中で特に重要な、近接受容器の諸感覚が詳しくとらえられていないという欠点がある。そこで私たちは、次のような実用的な分類法を用いている。 ◆平衡感... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・27
《第2部 方法》 《第6章 感覚診断の方法》(鈴木佐江子) 《1.母子関係の評価》 ・まず最初に、母子関係がどの程度に育っているかを評価する。そして、母子関係が十分に育ち切っていなことが疑われる場合には、母子関係の発達を阻害している感覚障害が存在しないかどうかの診断に進むのである。 ・評価を容易に... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・26
【中間的総括】(感想) ・以上で「第1部 理論」の各章を読み終えた。ウィング理論、田口理論を著者らの批判を交えながら、「感覚統合」を提唱する論述はわかりやすく、たいへん参考になった。 ・私が最も知りたかったのは、「母子関係」と「感覚障害」の《関連性》、つまり①母子関係が形成されないと感覚障害が生じ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・25
《5.『愛の奇跡』(ホッジス手記、コープランド著述・篠崎書林・昭和50年)のアン》 ・1973年イギリスで出版され、1975年わが国で翻訳されたこの本が私たちの関心をひくきわめてユニークな点は、両親の愛の「しごき」によって少女が自閉の壁を打ち破り、大きく成長することができたという点である。 ◆アン... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・24
《4.テレビと自閉》 ・岩佐京子氏の著書『テレビに子守をさせないで』は昭和51年に発行され、「自閉症の原因はテレビである」という仮説によって話題をにぎわしたが、その間に岩佐氏自身の自閉症に対する考え方が大きく変化し、昭和53年に『新版テレビに子守をさせないで』が発行された。 ・旧版では、「ことばは... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・23
《3.原始感覚と弁別感覚》 ・セガンは、触覚を例に取りながら「同一感覚の二種の作用」(1866年)(『障害児の治療と教育』(ミネルヴァ書房・昭和48年)に言及して次のように述べている。 ◆触覚には、1つ以上の感覚が含まれている。1つは触覚そのものを形成する感覚の受容器官として、今1つは、接触という... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・22
《2.近接受容器と遠隔受容器》 ・自閉的な子どもにおける感覚障害を強調する論者の中で、デラカートは、五官をすべて同じ程度に重視している。五官とは、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚であり、平衡感覚や体性感覚、温覚、痛覚などもろもろの皮膚感覚は、すべて「触覚」というカテゴリーに包含されている。「触覚」に無... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・21
《第5章 母子関係と感覚統合》(阿部秀雄) 《1.ハーロウの実験をどう読むか》 ・サルの乳児を使った有名なハーロウの隔離飼育実験から明らかになった事実は、母子関係とは子どもがこの世界で生きて行くのに不可欠な基本的安心感の源泉であり、生後一定期間母親(ないしはそれに代わるもの)を与えられずに育つと、... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・20
⑶服薬に対する指導について ・ティンバーゲン夫妻は「お医者さんの中には、自閉症児とみるとすぐに精神安定剤その他の薬を飲ませようとする人がいます。・・・これは緊急の場合か短期間だけの場合でないかぎり、好ましくありません」(「自閉症 文明社会への動物行動学的アプローチ」(田口恒夫訳編・新書館・1972... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・19
《3.考察・・・ 田口理論実践面での疑問点》 ⑴田口理論の適応について ・「ことばの遅れ」の要因は,田口氏の古い著書(「言語発達の病理」・医学書院・昭和45年)から引用すると、①知能発達の遅れ、②聴覚障害、③発語器官の異常、④情緒的要因、⑤中枢神経機能障害、⑥環境的条件、である。筆者も同じ見解であ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・18
◆症例4.女(昭和46年7月20日生) ・6歳2カ月の時、通園中のE肢体不自由児通園施設にて面接をした。 ・脳性マヒ(四肢マヒ)のため座位も保持できない。 ・対人関係はよくとれ、言語理解力はほぼ年齢相当であったが、言語表出では、発声・発語器官のマヒの影響で、発声しようとすると緊張が強まり声が出ない... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・17
《第4章 言語臨床から見た田口理論》(千葉県障害者相談センター 鈴木弘二) 《1.はじめに》 ・筆者は言語治療に携わって6年になるが、子どもの相談では「ことばの遅れ」を主訴とする相談ケースが相当数あり、その中で田口氏らが言う「しばしば、自閉症とか自閉傾向とか微細脳障害症候群とか発達性失語症とかいっ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・16
《3.「子どもの不安・緊張の原因」の分析》 ・『言語発達の臨床第2集』では62例にもわたる「不安・緊張の原因」が次の11項目の下に整理されている。A.視線、B.顔、C.声、D.音、E.人の接近、F.接触、G.人の動き・姿勢、H.人からの働きかけ、I.周囲の状況、J.子どもの身体的状態、K.母親の状... 続きをみる
『「自閉」をひらく母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・15
《2.「子どもの不安緊張症状と思われる行動」の再整理》 ・田口恒夫編『言語発達の臨床第2集』に収められた「子どもの不安緊張症状と思われる行動」は、現実に子どもが不安な状態に陥っているかどうかを見抜くうえで、臨床上きわめて有益である。そこには、144例の行動例が、A.声に関するもの、B.ことばに関す... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・14
《第3章 田口理論をめぐって Ⅱ》(鈴木佐江子) 《1.「人にしてもらって楽しい活動」の生理学的分析》 ・田口氏らによって推奨されている「人にしてもらって楽しい活動」90余例を感覚の種類別に系統的に分類整理してみた。その結果、平衡感覚および皮膚感覚刺激の活動例が圧倒的に多く、聴覚、視覚などの活動例... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・13
《9.自閉論への寄与》 ・田口理論やティンバーゲン夫妻の理論をめぐって、心因論か素質論か器質論かをあげつらってみても、あまり生産的ではないかもしれない。 ・田口理論の持つ最も重要な意義は、「言語発達遅滞」児にとっても、正常に発達した児童とまったく同様に、母子関係が言語発達の基盤である、という命題を... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・12
《8.集団生活に入れる時期》 ・母子関係ができて初めて他児への関心が育ってくるのが発達の原則であるから、早すぎる母子分離が子どもの発達の基盤を弱めてしまう危険は十分にある。「お母さんから離れたがらない子どもを子どもを無理に引き離して、子どもの成長のためにはよいことはひとつもありません」という助言は... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・11
《6.「喜ばせる」活動の位置づけ》 ・「喜ばせる」活動は、『第1集』では「言語発達遅滞」児を援助する主要な活動であったが。『第2集』以後になると、「ただ喜ばせることから、安心させること、おびえさせないことに重点をおく」ように方針が少し変えられている。 ・「喜ばせる」ことのこの比重低下は、それが母子... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・10
《5.子どもの側の問題》 ・田口理論をさらに発展させるためには、むしろ子どもの側に視点をずらして、そうした子どもたちはなぜ生得的に泣かないか、あるいは泣きやまないかという問いを提起することが必要であろう。母性行動は本来、最も切実な基本的欲求を満たすものとして、子どもから泣き求められ、かつ喜びをもっ... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・9
《4.心因論への偏り》 ・田口理論の問題点のひとつは、心因論に傾きやすい点である。 ・『第1集』において生得的に愛着行動が弱い事実は認められているにしても、それによって誘発される育児行動が少なくなることが直接の原因として重視されている。 ・『第2集』以後では泣かない子どもに加えて逆に「泣き出すと何... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・8
《2.「言語発達の臨床」理論から人格発達の臨床理論へ》 ・田口理論の卓越した点は、家庭から離れて育てられている児童に対してでなく、また実の家庭にあって両親から虐待ないしは放置されている児童に対してでもなく、両親の愛護のもとで育てられている「言語発達遅滞」児に一貫して適用した点にある、ということがで... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・7
《第2章 田口理論をめぐって Ⅰ》(阿部秀雄) ・本稿では、お茶の水女子大学の田口恒夫氏を中心とする言語発達臨床研究会の言語発達遅滞」児に関する理論(以下「田口理論」と称する)を紹介しながら、私見を述べる。 《1.田口理論でいう言語発達遅滞児》 ・田口氏らは自閉症とか自閉傾向とか微細脳障害症候群と... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・6
《4.「基本的障害」を腑分けすれば》 ・ウィング女史の「基本的障害」にある「コミュニケーションの障害」というカテゴリーは、対人関係の障害という二次的障害の結果生じるいわば三次的障害としてはずすことにする。 ・また「運動統制の障害」にある「腕を交互に振らずに、爪先立ちで跳ねるようにして歩く」「自発的... 続きをみる
朝刊(東京新聞)を見ながら朝食を摂ろうとして、思わず、激しい吐き気におそわれた。一面トップ記事の見出しに《道路脇に「黄金のペットボトル」 用済みをポイ捨て!? 「トラック運転手がトイレ面倒と・・・」》という文言が見える。私はその記事自体が不潔な感じがして、食欲を失った。苛酷な労働条件のため長距離... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・5
《3.コミュニケーション能力は上部構造》 ・ウィング女史に従えば、自閉症児におけるコミュニケーション能力の障害は、表現と理解、話しことば(スピーチ)、言語(ランゲージ)、言語以前のコミュニケーションというあらゆる水準に及んでいる。「自閉症児の障害は、コミュニケーションのすべての形態にわたっている」... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・4
《2.母子関係の軽視》 ・ウィング女史らに発達的な視点が欠落している、と言えばたしかに言い過ぎであろう。しかし、対人関係がどのように発達するか、対人関係とコミュニケーション能力との発達的関連はどのようなものであるか、についての考察は不十分である。 *対人関係の発達 ◆人に無関心→人一般との関係→【... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・3
【第1部 理論】 《第1章 ウィング理論を超えて》(阿部秀雄) 《1.あまりに多面的すぎる》 ・ウィング夫妻らの自閉論の特徴は、自閉を派生的な(二次的)な障害としてとらえる器質論的共通の立場に立ちながら、基本的(一次的)な障害は単一のものではなく、言語障害を中核とする多面的な障害群から成っている... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・2
《まえがき》(つくも幼児教室施設長・阿部秀雄) ・現状では(自閉症、早期小児自閉症、自閉的傾向、自閉性精神薄弱などと呼ばれている子どもたちの)本態も原因も治療の方法もほとんどわかっていない。せいぜい1つの状態像(症状)を記述する用語として「自閉」という表現を用いるにとどめ、その原因はけっせて単一の... 続きをみる
『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・1
【序】 『「自閉」を開く 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)を精読する。この本の目次を見ると「第1部 理論 第1章 ウィング理論を超えて 第2・3章 田口理論をめぐって 第4章 言語臨床から見た田口理論 第5章 母子関係と感覚統合」「第2部 方法 第6章 ... 続きをみる
今日で大学附属病院の「心臓リハビリ」は終了となった。ただし、体調が回復したからではない。もともと病院の方針で、治療開始から5ヶ月間は「心臓リハビリ」を行い、以後は行わないということが決まっているからである。私の治療開始日は6月25日なので、今月の25日までということだ。最終日と言うことで、月1回... 続きをみる
「言語発達の臨床第1集」(田口恒夫編・言語臨床研究会著・光生館・昭和49年)通読・18
【感想】 E 既存の概念との関係 ⑷心理神経学的学習障害児・各種の行動問題児とはどこが共通し、どこが本当に違っているのか。 《所見》 ・いわゆる「学習障害(LD)児」は、WISC知能診断検査やITPA言語学習能力診断検査などにより、下位検査項目の「アンバランス」が認められる。「動作性検査」と「言語... 続きをみる
「言語発達の臨床第1集」(田口恒夫編・言語臨床研究会著・光生館・昭和49年)通読・17
【感想】 D 治療 ⑴ひとりひとりの子どもに即した、もっとも有効的なアプローチは、どのようにしたらもっとも能率的に発見することができるか。 《所見》 ・子どもへのアプローチで最も大切なことは、「実態を的確に把握すること」(今、どんなことができるか)だと思う。そのためには「行動観察」が必要不可欠だが... 続きをみる
「言語発達の臨床第1集」(田口恒夫編・言語臨床研究会著・光生館・昭和49年)通読・16
6)残された課題と問題点 【感想】 著者は、今後の研究課題として、29項目列挙しているが、その中から私の独断と偏見で抜粋すると、以下の通りである。また、それぞれの課題について、私なりの《所見》も加えたい。 A 人関係と症状 ⑴人関係の(“構造”の変化)発達の過程のどの時期に、どの面に、どのよう... 続きをみる
「言語発達の臨床第1集」(田口恒夫編・言語臨床研究会著・光生館・昭和49年)通読・15
【要約】 3)解釈と仮説 以下に述べるのは、われわれの解釈およびそれに基づく臨床仮説である。この考えの基礎にあるのは、既述した「1章1節5)新しい見方」や3章で紹介する資料などに含まれた見方である。 ⑴正常発達(既述したA~Hの行動項目参照) ・H(言語)はG(模倣)に依存し、Gの基礎にはC(愛... 続きをみる