梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

2023年11月のブログ記事

  • 私家版・昭和万謡集・46・「シベリアエレジー」

    46「シベリアエレジー」(詞・野村俊夫 曲・古賀政男 歌・伊藤久男) 《寸感》 間奏に挿入された「誰か故郷を思わざる」のメロディが、ひときわ郷愁をさそう。 ウィキペディア百科事典には、「シベリア抑留」について、以下の記述がある。 (2023.11.30) 《シベリア抑留は、第二次世界大戦の終戦後、... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・45・「おんなの海峡」

    45「おんなの海峡」(詞・石本美由紀 曲・猪俣公章 歌・都はるみ) 《寸感》  都会での恋に破れた女がひとり、「汽車から船に乗り換えて」、北に向かう。しかし、夢はもうない。「私の明日はどこににある」と問いかけながら、暗い海を見つめるのだ。数あるヒット曲の中でも、ひときわ鮮やかな名曲である。 (20... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・44・「生活の柄」

    44「生活の柄」(詞・山之口漠 曲・高田渡 歌・高田渡) 《寸感》  詩人・山之口漠の放浪生活を、高田渡が淡々と、飄々と、そして切々と歌っている。「陸をひいては眠れない」とは、「陸を敷き布団にして(意味:野宿をして)は眠れない」という意味だそうだ。また「柄」とは、「柄でもない」「柄が悪い」の「柄」... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・43・「島の娘」

    43「島の娘」(詞・長田幹彦 曲・佐々木俊一 歌・小唄勝太郎) 《寸感》  昭和8年に作られた映画「島の娘」(監督・野村芳亭)の主題歌である。以下は6年前に綴った私の駄文である。(2023.11.27)

  • 私家版・昭和万謡集・42・「別れの一本杉」

    42「別れの一本杉」(詞・高野公男 曲・船村徹 歌・船村徹) 《寸感》  夭折した盟友の作詞家・高野公男を思い浮かべながら、作曲家・船村徹が切々と歌う。歌唱力は抜群、春日八郎の歌声は「陽」、どこか乾いているのに対して、船村は「陰」、しっとりと濡れていて、味わい深い。 (2023.11.26)

  • 私家版・昭和万謡集・41・「黒百合の歌」

    41 「黒百合の歌」(詞・菊田一夫 曲・古関裕而 歌・織井茂子) 《寸感》   菊田一夫原作のメロドラマ「「君の名は」(第二部)の主題歌である。牧場を訪れた主人公・春樹には真知子という恋人があると知りながら、春樹を愛してしまったアイヌの娘・ユミの「(絶望的な)慕情」を、織井茂子が見事に歌い上げる。... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・40・「安宅の松風」

    40「安宅の松風」(詞・猪又良 曲・長津義司 歌・三波春夫) 《寸感》  平成20年頃であったか、「鹿島順一劇団」の舞踊ショー、蛇々丸の個人舞踊「安宅の松風」が忘れられない。「勧進帳」の弁慶、富樫、義経を、見事に踊り分けた。その後、劇団は消滅、蛇々丸も役者を辞めたと聞く。「光陰は矢の如し」「栄枯盛... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・39・「花と龍」

    39「花と龍」(詞・藤田まさと 曲・古賀政男 歌・美空ひばり) 《寸感》   昭和48年頃だったか、「梅沢武生劇団」の舞踊ショー、竹沢隆子、市川吉丸夫妻の息子と娘(芸名は失念)、まだ幼かったが二人で懸命に踊った相舞踊「花と龍」は、素晴らしかった。今でもその「勇姿」が目に浮かぶ。 (2023.11.... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・38・「演歌みたいな別れでも」

    38「演歌みたいな別れでも」(詞・中山ラビ 曲・小椋佳 歌・梅沢富美男) 《寸感》  昭和後期(昭和40年~)の大衆演劇は、「前狂言」「歌謡(楽団)ショー」「切り狂言」「舞踊ショー」といった構成で、役者全員が歌唱、楽器演奏を担当した。どの役者も巧みにこなしたが、中でも梅沢富美男の「歌唱力」は群を抜... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・37・「東京、宵待草」

    37 「東京、宵待草」(詞・もりちよこ 曲・五木ひろし 歌・前田有紀) 《寸感》  恵比寿、吉祥寺、六本木、新宿、三軒茶屋、池袋といった東京の地名が歌詞に織り込まれ、都会に出てきた田舎娘が、「純な生き方は流行らないけど」「夢だけは捨てたくないの」と歌う姿が爽やかだ。大衆演劇の舞踊ショーや歌謡ショー... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・36・「ああ、いい女」

    36 「ああ、いい女」(詞・星野哲郎 曲・叶弦大 歌・細川たかし)  《寸感》  10年以上前の「鹿島順一劇団」舞踊ショー、座長・二代目鹿島順一(甲斐文太)の歌声で妻女・春日舞子が踊った「ああ、いい女」が忘れられない。その後、劇団は消滅・・・、しかし、鹿島順一は今も他の劇団を渡り歩き、後進の指導に... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・35・「一本刀土俵入り」

    35 「一本刀土俵入り」(詞・藤間哲郎 曲・桜田誠一 歌・二葉百合子) 《寸感》  相撲取りを目指すが、一文無しの駒形茂兵衛に、櫛、簪,巾着まで与えて励ます茶屋女・お蔦の「意地」と、十年後、やくざになり果てた茂兵衛が、窮地のお蔦を救う「有様」が、鮮やかに描き出されている。数多い二葉百合子の曲の中で... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・34・「加賀の女」

    34 「加賀の女」(詞・星野哲郎 曲・島津伸男 歌・北島三郎) 《寸感》  金沢旅行から帰ってまもなく、大宮の芝居小屋で観た舞踊ショー、座長の「加賀の女」が忘れられない。その時の様子を以下の通り駄文に綴った。今から15年前のことである。北島三郎の曲では「薩摩の女」も捨てがたい。(2013.11.1... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・33・「再会」

    33 「再会」(詞・佐伯孝夫 曲・吉田正 歌・松尾和子) 《寸感》  男は罪を犯して服役中である。「みんなは悪い人だと言うが」《私》には良い人だった。もしかしたら、《私》を守るために罪を犯したのかもしれない。《私》は、二人の思い出を確かめるために、一緒に泳いだ海へ行く。そして、「指折り数えて」男の... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・32・「ハルピン旅愁」

    32 「ハルピン旅愁」(詞・佐藤惣之助 曲・服部逸朗 歌・東海林太郎) 《寸感》  国民的歌手・東海林太郎のレパートリーは広く、ヒット曲は、「赤城の子守唄」「湖底の故郷」「野崎小唄」「すみだ川」など、本土の作品に加えて「国境の町」「麦と兵隊」「上海の街角で」といった大陸を舞台にした物も少なくない。... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・31・「はしご酒」

    31 「はしご酒」(詞・はぞのなな 曲・:赤坂通  歌・藤圭子) 《寸感》  藤圭子の歌は、五木寛之が「怨歌」と名づけたように、一様に暗い。「十五、十六、十七と私の人生暗かった・・・」(「夢は夜ひらく」)そんな中で、珍しく明るい歌がある。錦糸町、平井、亀戸、小岩から押上、金町を通って浅草まで飲み歩... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・30・「うさぎ」

    30 「うさぎ」(詞・保富康午 曲・猪俣公章 歌・森進一) 《寸感》  森進一の母の歌では「おふくろさん」が有名だが、「うさぎ」は、その陰に隠れた名曲である。(2023.11.14) うさぎ

  • 私家版・昭和万謡集・29・「夜のプラットホーム」

    29 「夜のプラットフォーム」(詞・奥野椰子夫 曲・服部良一 歌・二葉あき子) 《寸感》  二葉あき子の「歌唱力」は、半端ではない。以下は、20年前に綴った私の駄文である。 《二葉あき子の「歌唱力》  二葉あき子の歌を聴いたことがあるだろうか。私が初めて彼女の歌を聴いたのは「夜のプラットホーム」(... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・28・「若いお巡りさん」

    28 「若いお巡りさん」(詞・井田誠一 曲・利根一郎 歌・曽根史郎) 《寸感》  戦前の巡査は,天皇に仕える臣民の上司だったから、「オイ、コラ!」と言って、人々を恫喝・統制した。それが戦後になると一変、、民主警察のもとで、巡査は「モシ、モシ」と言いながら、国民を守る立場になった。家出娘や納豆売りの... 続きをみる

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  • 「チコちゃんに叱られる」の《お粗末》

     NHKテレビ「チコちゃんに叱られる」(11月10日放送)で、《緊張するとトイレにいきたくなるのはどうしてか》という問いの答えは《神経が戦闘モードに入るから》だったが、その内容は「取るに足らない」お粗末なものであった。受信料を取って放送している以上、視聴者が「なるほど」と納得できるものでなければな... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・27・「明治一代女」

    27 「明治一代女」(詞・藤田まさと 曲・大村能章 歌・新橋喜代三) 《寸感》  山中貞雄監督の映画「丹下左膳余話 百万両の壺」の中で、新橋喜代三は「彼女ならでは」の音曲を数多く披露している。また演技の面でも、大河内伝次郎と五分に渡り合い、鹿児島訛りの台詞回しが魅力的である。種子島出身、鹿児島の座... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・26・「道頓堀左岸」

    26 「道頓堀左岸」(詞・石浜恒夫 曲・アイ・ジョージ 歌・アイ・ジョージ) 《寸感》  アイ・ジョージの歌声は、どれも「永久保存」に値する。  テイチクのCD全集「アイ・ジョージ ベストコレクション」によれば、「硝子のジョニー」「赤いグラス」「道頓堀左岸」などの持ち歌から、「ラ・マラゲーニア」「... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・25・「江の島エレジー」

    25・「江の島エレジー」(詞・大高ひさを 曲・倉若晴生 歌・菅原都々子) 《寸感》  菅原都々子は、今年96歳、数々の名曲とともに、今も燦然と輝いている。以下は、10年前に綴った私の駄文である。 《悲歌の女王・菅原都々子の「泣きべそ声」》  菅原都々子は、昭和2年(1927年)8月15日生まれ、今... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・24・「石狩エレジー」

    24「石狩エレジー」(詞・桂土佐海 曲・古賀政男 歌・霧島昇) 《寸感》   霧島昇の数多いヒット曲の陰に隠れた、珠玉の名品である。詞は雑誌「平凡」のコンテストに応募した当選作だそうだ。どこか「流れの旅路」(詞・吉川静夫 曲・上原げんと 歌・津村謙)の空気も漂う。「あの娘の馬車」は、「夜汽車」に変... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・23・「織江の唄」

    23 「織江の唄」(詞・五木寛之 曲・山崎ハコ 歌・山崎ハコ) 《寸感》 筑豊で育った織江は、幼馴染の信介が好きだった。でも中学を卒業してまもなく、小倉に「売られて」行ってしまう。その別れを織江が切々と歌う。  作詞は、「昭和万謡集」の発案者(発起人)の五木寛之氏、代表作「青春の門」の空気を、山崎... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・22・「哀愁列車」

    22 「哀愁列車」( 詞・:横井弘 曲・鎌多俊与 歌・三橋美智也) 《寸感》   以下は、今から11年前に綴った駄文(大衆演劇見聞記)である。座長の舞踊「哀愁列車」は、今でも私の脳裏に焼き付いている。  大阪からJR宝塚線(7時55分発)で篠山口、福知山線に乗り継いで谷川駅下車(9時44分着)、そ... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・21・「昭和籠の鳥」

    21 「昭和籠の鳥」(詞・喜多条忠 曲・むつひろし 歌・河野さくら) 《寸感》  故郷を捨てた女がひとり、夢を求めて東京に来たが、住むところは安アパートの八畳間。一緒に暮らした男の姿はすでになく、夜の化粧で、その日を暮らす。「水商売」という「籠」の中で、もう一度飛びたい、飛びたいと思いながら、やる... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・20・「教訓・Ⅰ」

    20 「教訓・Ⅰ」(詞・加川良 曲・加川良 歌・加川良) 《寸感》  戦前の「大日本帝国」にいたのは「国民」ではなく「臣民」だった。天皇の家臣という意味である。明治以後、日本は戦争を繰り返したが、いずれも。主権者である「天皇」に殉じる戦いであった。「臣民」は「大日本帝国」を守るために戦わされ、「天... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・19・「浜千鳥情話」

    19 「浜千鳥情話」(詞・:茜まさお 曲・:平尾昌晃 歌・金沢明子) 《寸感》  「捨てないで、行かないで、愛した人はあなただけ」、泣きすがる女を捨てて、男は行ってしまった。船に乗って海の彼方へ消えてゆく・・・。追いかけようにも、羽が傷ついて飛べない浜千鳥のように、私はむなしく見送るだけなのか。 ... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・18・「ミオミオミオ」

    18 「ミオミオミオ」(詞・:鄭豊松 曲・:鄭旭・谷村新司 歌・チョーヨンピル) 《寸感》  憎い、憎い、憎い、女の愛は憎しみに変わった。「愛憎劇」はどのように終わるのだろうか。「部屋にたたずみナイフを握る」女は、「わけも言わずに消えた」男の匂いを求めながら、《自死》という道を選ぶか・・・。 (2... 続きをみる