梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

2019年7月のブログ記事

  • 《夏籠り》記・2

     今日で7月は終わる。6月20日から《夏籠り》に入って1か月余りが過ぎた。今年の梅雨は長引いて、最高気温が30度を超える日は、ここ数日まで皆無であった。だから、籠もる必要は感じられなかったが、目標としたいくつかの課題は達成しつつある。体調面では、少しずつ食欲が回復し、体重の低下は50.5㎏まで、そ... 続きをみる

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  • 《「超人」の偉業》

     〈ニーチェはその著『ツァラトゥストラはかく語りき』において、人間関係の軋轢におびえ、生活の保証、平安、快適、安楽という幸福を求める現代の一般大衆を「畜群」と罵った。その上で、永劫回帰の無意味な人生の中で自らの確立した意思でもって行動する「超人」であるべきと説いた。〉(「ウィキペディア百科事典」よ... 続きをみる

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  • 子育ての「基本」

     子育ての「基本」は、子どもを両手でしっかりと「抱きしめる」ことである。そのとき、大切なことは、抱きしめられる子どもと抱きしめる人(主として親)の双方が、ともに「心地よい」という感覚、感情を共有できるかどうかということである。    最近では、「抱っこ紐」を利用する親をよく見かける。親は両手で子ど... 続きをみる

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  • 子どもを「自閉症」にするかもしれない《30の方法》

     「自閉症スペクトラム」の原因が「脳の機能的障害」であるか否かという問題にかかわりなく、生育上の環境、とりわけ育児法のあり方が、「自閉症状」(行動特徴)に多大な影響を及ぼしていることは明らかである。  20世紀初頭、アメリカの行動主義心理学の創始者・ジョン・ワトソンは、以下のような育児法を提唱した... 続きをみる

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  • 自閉症の《本質》

     もし生まれたばかりの乳児を母親から引き離し(隔離し)、何の刺激も与えずに「栄養補給」だけで育てたらどのような結果になるだろうか。そのような実験は許されるはずもないが、アカゲザルなどを対象にした「隔離実験」では、子ザルに様々な異常行動が発生することが報告されている。(「子ザルの異常な社会的行動」(... 続きをみる

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  • 「2020東京五輪」の《どっちらけ》

    「2020東京五輪」まであと1年を切り、にわかに期待が高まってきた、と言いたいところだが、私自身は全く白けている。その理由は以下の通りである。  まず第一に、「オリンピック憲章」にある《オリンピズムの根本原則》が具現化されそうもないからである。  根本原則には、《オリンピズムの目的は、人間の尊厳の... 続きをみる

  • 《感情》の育て方

     「感情」の源は「快・不快」という生理的感覚である。胎児は母胎に護られて「快」の感覚を味わっている。(母胎が十分に護れない場合は「不快」を感じるかもしれないが・・・。)その快感は、出生時に妨げられる。産道内での圧迫に堪え、大気中に生まれ出る時には、肺呼吸を始めなければならない。気圧、気温、湿度など... 続きをみる

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  • 学校教育の「誤り」

       学校教育の「誤り」は、以下の2点に集約される。①児童・生徒の成績を評定すること、②卒業を認定し、いわゆる「学歴」を授与すること。①によって、児童・生徒は、当然のことながら、「優秀」「普通」「劣等」に分類され、それが「社会の評価」にまで敷衍される。「優秀」に分類された児童・生徒は、自尊心が満た... 続きをみる

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  • 「学力」とは何か・《ある私立中学校の入試問題》

        ある私立中学校の入学試験(算数)に、「2時から3時の間で、長針と短針がぴったり重なる時刻は何時何分でしょうか」という問題が出された。はたして、この問題を何人(の大人)が解けるだろうか。この問題を解くためにどうすればよいか。実物の時計で確かめるのが手っ取り早いとは言え、いくら時計を眺めてみて... 続きをみる

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  • 参議院予算委員会の《ベビーカー論議》

     テレビの「国会中継」(参院予算委員会)を観ていたら、以下のような「やりとり」があった。質問者御本人のホームページから、その内容を引用すると、〈予算委員会の質疑は何度立っても、緊張します。慣れません。NHK中継付であろうと、なかろうと独特の雰囲気があるのが予算委員会室です。今日は、太田国土交通大臣... 続きをみる

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  • 「今、赤ちゃんが危ない」(田口恒夫・近代文芸社・2002年)という《警告》

     今、私の手元に一冊の本がある。タイトルは「今、赤ちゃんが危ない 母子密着育児の崩壊」(田口恒夫・近代文芸社・2002年)。新書版180ページの小冊子で、定価は953円だが、現在、この本は絶版、書店では入手できない。インターネットの通販(アマゾン)では、中古品12000円という値がついている。12... 続きをみる

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  • 続・「参《愚》院」

     「2019参院選」の結果が判明した。投票率48.80%、最多議席(38議席)を獲得した自民党の「絶対得票率」は18.9%に過ぎなかったが、議席占有率は51.4%である(東京新聞7月23日付け朝刊1面「自民 選挙区勝ったけど 全有権者2割支持 議席占有は5割超」)。今回に限らず、国政選挙の結果がい... 続きをみる

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  • 続・参院選の《愚》

     「2019参院選」は終わった。現時点で推定投票率は49.19%。もし確定投票率が50%を超えなければ、今回の選挙結果は「無効」である。それが「多数決の原理」というものだ。しかし、そんなことを言うものは誰もいないだろう。なぜなら、そんな決まり(法律)はないからである。これまでも投票率が50%に満た... 続きをみる

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  • 私の戦後70年・浪人生詩人

     高校の文芸部の中で、石賦助(ペンネーム)は見るからに温厚・柔和な風貌で、目立つ存在ではなかったが、彼の詩作は際立っていた。今、手元に残存する詩集の中に以下の作品がある。《真間川にて》たそがれの/真間川の/ふちの/野いちご//赤い/野いちごの/影はとかげ//とかげよ//真間川の/岸のコンクリートに... 続きをみる

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  • 夏の思い出

      今日から学校は「夏休み」、現役時代は、1年中で1番「楽しい日」であった。(ちなみに、1番「憂鬱な日」は8月31日であった)  〈夏が来れば思い出す、はるかな尾瀬・・・〉という歌があるが、私の場合、思い出すのは「静岡」である。静岡には母方の実家があり、満州から引き揚げてきた私は、小学校入学時まで... 続きをみる

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  • 私の戦後70年・生徒会役員選挙

     高校三年になった新学期、私は文芸部の仲間を誘って生徒会役員の選挙に立候補した。「高校は大学の予備校ではない、本来の高校生活を楽しもうではないか。学校はただちに受験教育を止めるべきである。学業成績による序列にとらわれず、本当の学問を始めよう。文化、スポーツのサークル活動を活発にし、個性を伸ばそう」... 続きをみる

  • 私の戦後70年・山の男

     高校の文芸部には山岳部部員Mもいた。Mは両親と死別、叔父夫婦のもとから通学していた。早熟で「60年安保闘争」にも参加していた。先輩の詩作「《Revolution》革命と/訳されるが/日本の社会には/いまだ/訳されない/」に共鳴し、文芸部に入部したのであろう。Mはまた山を愛し、穂高、槍ヶ岳、谷川岳... 続きをみる

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  • 私の戦後70年・浄瑠璃寺

     高校二年の春休み、知友六人で京都・奈良・大阪方面を訪れた。一足早い「修学旅行」を気取っていたが、リュックサックにテント持参、食糧はアメヤ横町で調達、早朝の鈍行列車で東京駅を出発、京都、木津を経て加茂駅下車、そこから徒歩で浄瑠璃寺に向かう、10時間以上かけての「山行」であった。私たちは近隣農家の許... 続きをみる

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  • 私の戦後70年・ラグビー

     高校の体育の授業は「ラグビー」が必修であった。まず、楕円形のボールを相手の胸元にパスする練習、その時ボールが回転しないようにしなければならない。次は、横一列に並んで走りながらするラインパス、さらにフォワードとバックスに分かれてのフォーメーション、スクラムの組み方、タックルの仕方、ラインアウトのキ... 続きをみる

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  • 私の戦後70年・文芸部

     高校では文芸部に所属した。今、私の手元には当時の文集、詩集が残存している。作品はいずれも青春特有のメランコリーに覆われている。表現は生硬、未熟で採るに足らな代物だが、「若気の至り」の記念として一編の詩を記したい。《かげろう》十二月になると/街角から/白いかげろうが/立ち/祈る/平和/もう誰も知ら... 続きをみる

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  • 私の戦後70年・美術の授業

     高校の授業の中では「美術」が好きだった。石膏像のデッサンから始まり、水彩の静物画、風景画へと進み、デザイン、陶器皿の絵付けで終わった。一つの作品が完成すると、それを並べて、担当のT先生が批評する。先生は「事物をよく見なさい、頭の中で描いてはダメだ」と言いながら、生徒の作物を楽しそうに鑑賞していた... 続きをみる

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  • 私の戦後70年・高校

     昭和35年4月、私は東京郊外の公立高校に進学した。広い敷地には、木造校舎、食堂、図書館、体育館、プール等が立ち並び、校門から校舎玄関までは銀杏並木が続いていた。校則は緩く、下駄(朴歯)履きが許されるなど「自由」な雰囲気であったが、授業の内容は大学受験「一辺倒」で、学期末には成績優秀者の氏名が掲示... 続きをみる

  • 私の戦後70年・戦争の話

     中学校のN先生は保健体育を担当したが、生徒にせがまれると時折り「戦争の話」をしてくれた。先生は体操競技を専攻し、とりわけ鉄棒の演技が得意であった。「日頃から運動で体を鍛えていたので、私は戦地から生還できた。極寒の埠頭に重装備のまま降りたとき、表面の氷で軍靴が滑り海中に転落する者が続出した。私は右... 続きをみる

  • 「指さし行動」の意味

     生後1年ほどになると、乳児は「マンマ」「ブーブ」などと片言を話すようになるが、同時に(人差し指1本で)「指を差す」行動が現れる。この行動は、「人間」特有の行動であり、他の動物には見られない。そしてまた、その行動は、「指差し確認」とか「人から後指を差されないように」とか「指示する」とか、言われるよ... 続きをみる

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  • 学校は何のためにあるか

     学校は「人間の生活」を学ぶためにある。「人間の生活」とは何か。それは、母親(またはそれに代わる人)と一緒にいることから始まる。多くの場合、「抱かれる」「背負われる」という形で、母親と直接的に触れ合いながら、互いに「生きていること」を感じ合うことから始まる。その時、母親も子どもも「快感」を感じてい... 続きをみる

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  • 「両院制」の意味

     「多数決」は民主主義の構成原理だが「多数の専制」を招くおそれもある。そこで「少数意見の尊重」という原則が不可欠となる。日本の国会は、この二つの原理・原則を具現化するために「両院制」(衆議院と参議院)を採っている。衆議院で決まったことが参議院で否とされることもある。それが重なると「ねじれ国会」など... 続きをみる

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  • 自閉症・《負のスパイラル》

     平成15年、文部科学省は「自閉症とは、3歳位までに現れ、1他人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される」と定義した。厚生労働省もホームページで、「自閉症の原因... 続きをみる

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  • 「薬剤負荷心筋シンチグラフィ検査」

     昨年6月末に急性心筋梗塞を発症、1年が経過したので、血管の状態を再検査(の予約を)するために、大学病院に赴いた。事前の説明では、2泊3日の入院でカテーテル検査を行うということだった。その予約のために訪れたが、受付で「主治医の診察の前に検査を受けてください」と言われ、①血液採取検査、②血管伸展性検... 続きをみる

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  • 「参《愚》院」

     賢者と愚者の数はどちらが多いか。いうまでもなく愚者の方であろう。だから、選挙では愚者(選挙民)を大切にし、彼らの「清き一票」をできるだけ多く掠め取らなければならない。愚者は煩悩の塊であり、特に、欲望は無限である。それゆえ、立候補者(被選挙民)は、愚者の欲望を駆り立て、甘い汁(公約という)を目の前... 続きをみる

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  • 映画「洲崎パラダイス赤信号」(監督・川島雄三・1956年)

     この映画のあらすじ(「映画.com」https://eiga.com/movie/37351/より引用)は以下のとおりである。 《両親に結婚を反対されたため、連れ立って栃木から上京した義治と蔦枝は、どこへ行くアテもなく夕暮の浅草吾妻橋附近を歩いていた。以前廓にいた好みで洲崎遊廓へ入り込んだ蔦枝は... 続きをみる

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  • 参院選の《愚》

     参院選が公示された。でも、毎度のことながら、「参議院は良識の府」ということに《誰一人として》頓着しない、ということに空いた口がふさがらない。よくもまあ、懲りもせずに、政党所属者の面々がしゃしゃり出てくるものよ。何度でも言うが、参議院はあなたたち政党政治家が登場する場ではないのである。あなたたちが... 続きをみる

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  • テレビドラマ「日本の日蝕」(NHK・1959年)

     ユーチューブでテレビドラマ「日本の日蝕」(NHK・1959年)を観た。原作は安部公房、演出は和田勉である。戦後15年、場所は大都会のとある居酒屋、酔客に混じって一人の老人・大貫忠太(伊藤雄之助)がコップ酒を口にしている。隣の客の話を聞きながらニヤリとすると「何がおかしい!」と一蹴された。思わず「... 続きをみる

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  • 参議院の《消滅》

     参院選が終わった。各政党は勝った負けたと騒いでいるが、実は大変な過ちを犯していることに気づいていない。それは、国会における二院制の意味、参議院の役割を全く無視しているという点である。本来の参議院は衆議院を抑制・均衡・補完する機能を持たなければならない。そのためには、参議院議員は「党議」に拘束され... 続きをみる

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  • 何のために血圧を測るか

     サラリーマン川柳に「いい数字出るまで測る血圧計」という傑作があった。これまでの経験によると、医師は1回しか測らない。看護師も2回までしか測らない。ところが、血圧を気にしている当人は何回でも測りたくなる。なぜなら、測るたびに数値が変動するからだ。いったい、どの値が正しいのかわからない。測れば測るほ... 続きをみる

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