梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「浅草資産家一家の事件」で思うこと

 4歳の女児(次女)を殺害したという疑いで両親が逮捕された。資産家一家の事件で、女児には10歳の兄(長男)と8歳の姉(長女)がいる。私がまっさきに思ったことは、両親が逮捕されていなくなった家で、この10歳と8歳の兄妹は、今後どのように暮らしていくのだろうか、という一点である。新聞の報道を見る限りでは、亡き次女についての情報はあるが、その兄妹に関する情報は皆無である。もちろん、兄妹の「個人情報」は守られなければならない。彼らは小学生、両親の氏名、住所は公表されているのだから、通学する学校では、すでに状況を把握しているはずだ。私が知りたいのはそのようなことではない。兄と妹は、末妹の死に加えて両親の逮捕を経験しているのだから、少なからずショックを受けているに違いない。さればこそ、周囲のきめ細かな配慮によって「ひとまずは無事に暮らしている」かどうか・・・。それが最も重要なことではないか。
 他にも、三人の兄妹のなかでなぜ4歳の次女だけが殺されたのか、彼女はどのように弔われたか、近隣の住民は次女の死を知っていたか、などなど「謎」は深まるばかりだが、今となっては、残された兄妹の「今」「将来」が最優先で守られなければならない、と私は思う。
(2024.2.16)