梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・58

■範疇化
【要約】
 代表過程の発生と発達を具体的に考えてみる。認知に対して作用する代表機能は、要するに、客観的事象を意味的なものへと変形することであり、範疇化することである。
 特定の1匹の動物が特定の“そのもの”としてではなく、“イヌ”という範疇(カテゴリー)ないし級(クラス)に入れられるときに、その動物ははじめて、イヌとして意味づけられる。その1匹の動物が、一部は別の諸性質(たとえば、大きさや色)が異なる一群の対象の級によって代表されるということに他ならない。


【感想】
 これまでわからなかった「代表過程」「代表機能」ということがわかった。この世に存在する事物は一つとして同じ物はない。しかし、人間は、それらの事物の属性等に「共通点」を見出し(異同弁別をし)、範疇化する。その範疇化が顕現したものが「言語」であるということである。様々な事物を範疇化(分類)した結果が「概念」であり、それを具現化したものが「言語」(音声・文字)であるとすれば、なるほど前節で著者が結んだように、「談話」(言語的象徴行動)は、代表過程(範疇化)からの強い統制を受ける行動の「代表的なもの」であるに違いない。
 私自身は、「談話」(言語的象徴行動)の中でも、音声による感情表現(泣き声、笑い声、呼び声、叫び声、溜息など)の「共感」「交換」が最も重要であると考えているが、以後の論述はどうなるか、興味を持って読み進めたい。(2018.8.1)