梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

『「自閉」をひらく 母子関係の発達障害と感覚統合訓練』(つくも幼児教室編・風媒社・1980年)精読・40

《7.固有感覚訓練》
・固有感覚刺激は、身体の各部分の関節を曲げたり伸ばしたりすることで、与えられる。・この訓練も、子どもの反応にしたがって、喜ぶ活動を選べばよい。活動の種類としては、身体各部を曲げる、伸ばす、圧泊する、そうした感覚を統合するといった運動が考えられる。身体各部の屈伸は、「赤ちゃん体操」を参考にするとよい。
◆赤ちゃん体操
【赤ちゃんを仰向きに寝かせて】①両膝下を持ち上げて、腰を前に曲げ伸ばす。②腰を曲げたまま両膝下を左右に曲げ、伸ばす ③股を少し開き、膝を立てて交互に内側に倒す。④両かかとを着けて膝を曲げ、外側に同時にゆっくりと開く。⑤片足を曲げて他方の足に交差させ、反対側に倒す。⑥片足ずつ持って上下に振る。⑦両足首を同時に持って左右に振る。⑧両足を持って左右に動かし、からだを側方に曲げる。
【赤ちゃんをうつ伏せに寝かせて】⑨膝を曲げ、片足ずつ外側と内側、交互に倒す。⑩膝を曲げ、片足ずつぐるぐる回す。⑪両足を持って床からもちあげ、腰を後ろに曲げる。
【背中を抱きかかえるようにして】⑫両手を横に伸ばし、閉じる。⑬両手を上に伸ばし、降ろす。
【再び仰向けに寝かせて】⑭脇腹をくすぐって身をよじらせる。
◆「あがりめさがりめ」の歌に合わせて、両足を上、下、ぐるっと回して、伸ばして振る。◆エアーズは、子どもをその子の身体よりも小さめのスクーターボードに腹臥位で乗せるという方法が特に重要だといっている。手足が床から離れるように体幹背部、腰、肩甲帯などの筋を収縮させなければならなくなる。その筋の収縮が脳幹の統合に効果的なので
スクーターボードは小さめにする、ということである。以下の方法も紹介されている。
◆足関節と手関節に錘をつけて牽引刺激を与える。
◆タイヤのチューブを切って作った紐を部屋の両壁に張り渡しておき、1人または2人の子どもがスクーターボードに座るか膝立ちするかしたまま、ゴム紐を交互に引いたり押したりして、スクーターボードを前後に動かす。
◆筋の骨への起始または停止点へ手で圧迫を加える。(専門性が要求される) 
◎最後に、これらを統合する活動として、水泳が挙げられる。泳ぐためには、各部分の関節を自発的に統合しなければならない。活動としては最後にきるものであろう。
【感想】
・ここでは「固有感覚訓練」の活動例が、わかりやすく具体的に紹介されている。固有感覚の刺激は、身体各部の関節を曲げたり伸ばしたりすることで与えられる。乳幼児の場合は、親(保育者)が子どもの身体を動かしてあげる。学齢期以降の場合は、(自発的に)ラジオ体操はじめ、各種の徒手体操を行うことが「固有感覚訓練」になるのだろう。また青年期・成人期には水泳、フィールド・アスレチック、各種のスポーツに該当するものがあるかもしれない。
(2016.5.11)