梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

時間との闘い

 「急性心筋梗塞」を発症後、5カ月が経過した。緊急手術の結果は良好で10日間で退院できたが、その後の回復は遅々として進まず、いまだに「寝たり起きたり」の生活が続いている。入院中に梅雨が明け、退院後は「災害並みの猛暑」に見舞われた。病院での栄養指導を受け、1日6グラム以下の減塩を行ったが、食欲は減退、体重は5キロ減という有様で、リハビリの看護師からは「まず、塩分は気にしないで、思う存分食べたいものをたべてください」といわれる始末・・・、その時は「吐き気」「膨満感」で食べたいものなど皆無であった。自宅の室内でも、油断すると気温が30度近くになることがあり、熱中症対策ばかりで2カ月間が過ぎた。「涼しくなれば何とかなる」という思いで、文字通り「一日延ばし」の生活を繰り返し、今もその続きなのである。
 たしかに、体調は少しずつ改善しているようだ。通常の三分の一程度に減っていた食事の量は三分の二程度に増え、食欲も出てきた。脊柱管狭窄症の症状(間欠跛行)も消失し、1キロ程度の持続歩行が可能になった。1日1回は外出し、5000歩以上歩くことを目指している。ただし、「一難去ってまた一難」、今度は歯が痛くて噛めない。乳児用の離乳食や歯茎でつぶせる介護食、ゼリー飲料などで、どうにか栄養を補給しているのだが・・・・。
 いずれにせよ、「覆水は盆に返らず」、もう昔のように「元気に暮らす」ことはできない。起きているだけで、すぐに疲れ、横になりたくなる。外出後は1~2時間の休憩が不可欠になった。これ以上の快復は望めない。だとすれば、今、私は何をしなければならないか。いうまでもなく、身の回りの整理であろう。次世代への「引き継ぎ」であろう。余命が尽きるまでに、どれほどのことができるだろうか。時間との闘いが始まっている。
(2018.11.26)