梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

梨野礫・著作集の新着ブログ記事

  • 昭和万葉集・98・「木浦の涙」

    98「木浦の涙」(詞・文一石 曲・孫牧人 歌・李蘭影) 《寸感》  日本統治時代の1935年に発売され、朝鮮全土で一躍大ヒットし、湖南地方の南端に位置する港町・木浦を全国的に知らしめた。そして木浦出身で当時10代後半だった新人歌手の李蘭影は一気にスター歌手へと上りつめた。(略)歌詞を一見すると、木... 続きをみる

  • 昭和万葉集・97・「海ほおずきの歌」

    97「海ほおずきの歌」(詞・田中一郎 曲・山本雅之 歌・近藤圭子) 《寸感》  『昭和の童謡アラカルト』(長田暁二)によれば、作詞者は水戸一高出身のキングレコード常務。大洗から芸者として水戸に出てきた女性たちを、海ほおずきに重ねて書いた。大洗の「磯節」をモチーフに、その子供版として作られた。「おか... 続きをみる

  • 昭和万葉集・96・「かえりの港」

    96「かえりの港」(詞・豊田一雄 曲・豊田一雄 歌・藤島恒夫) 《寸感》  島へ寄らずにこのまま行こうか、それとも島に帰って愛しい人に逢おうかか。船の上でしばし逡巡する。・・・逢ったところでどうなるものか。やはり、このまま行こう。帰る港はもうないのだ。 (2024.1.23)

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  • 昭和万葉集・95・「奥飛騨慕情」

    95「奥飛騨慕情」(詞・竜鉄也 曲・竜鉄也 歌・竜鉄也) 《寸感》  風の噂をたよりに、奥飛騨にやって来た。平湯、栃尾、福地、新穂高などなど、湯の宿を巡り歩いたが、君には逢えない。「未練残した盃に」雷鳥の声だけが悲しく鳴り響いている。 (2024.1.22)

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  • 昭和万葉集・94・「夕日は落ちて」

    94「夕日は落ちて」(詞・久保田宵二 曲・江口夜詩 歌・松平晃、豆千代) 《寸感》  故郷を捨てて、愛馬とともに大陸にやって来た。七つの丘を越え、湖のほとりに辿りついたが、荒野を彷徨うばかりで、日が暮れる。花が開き、鳥がさえずる春となったが、寂しさは変わらない。恋しい人を思い浮かべながら、今日も旅... 続きをみる

  • 昭和万葉集・93・「春よ来い」

    93「春よ来い」(詞・相馬御風 曲・弘田龍太郎 歌・朝田 椛) 《寸感》  朝田椛ちゃん(3歳)、詞の中から「みいちゃん」が抜け出したような風情で、のびのびと歌っている。その歌声を聴いていると、もう春がそこまで来ているようで、希望が湧いてくる。 (2024.1.20)

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  • 昭和万葉集・92・「子連れ狼」

    92「子連れ狼」(詞・小池一雄 曲・吉田正 歌・橋幸夫、若草児童合唱団) 《寸感》妻を亡くした介錯人・拝一刀が浪人となって柳生一族に復讐をはたそうとする物語。一刀には3歳の男児・大五郎がいる。雨の中、刺客を業とする父の帰りを、東屋で待っている。「帰りゃあいいが、帰らんときゃあ、この子も雨ん中、骨に... 続きをみる

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  • 昭和万葉集・91・「おばこ船頭さん」

    91「おばこ船頭さん」(詞・吉川静夫 曲・吉田正 歌・野村雪子) 《寸感》  娘船頭さんは,今、二十歳、まもなく嫁入りだ。でも、それは親がきめたこと、私には愛しい人がいる。さればこそ「月の夜船のかげで泣き」「うす紅つけて」忍び逢うのだった。 (2024.1.18)

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  • 昭和万葉集・90・「夕焼け雲」

    90「夕焼け雲」(詞・横井弘 曲・一代のぼる 歌・千昌夫) 《寸感》  二人が育った,懐かしいあの村に、「帰らない」と決めていた。でも、「帰りたい」という想いがつのる。「我慢、我慢・・・」と抑えているうちに、いつしか月日がたち、本当に帰れなくなってしまった。夕焼け雲だけが、故郷をしのばせる。 (2... 続きをみる

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  • 昭和万葉集・89・「愛ちゃんはお嫁に」

    89「愛ちゃんはお嫁に」(詞・原俊雄 曲・村沢良介 歌・鈴木三重子) 《寸感》「愛ちゃんは太郎の嫁になる」「愛ちゃんはおいらに嘘ついた,嘘とは知らずに真に受けて、夢を見ていた甘い夢」でも、しかたないさ、あきらめよう。そして「愛ちゃんは太郎と幸せに」と、おいらは祈るのだった。嗚呼・・・・・。 (20... 続きをみる

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  • 昭和万葉集・88・「長崎の鐘」

    88「長崎の鐘」(詞・サトウハチロー 曲・古関裕而 歌・藤山一郎) 《寸感》  原爆に斃れた人々へのレクイエムである。この詞は、自らも被爆、妻を亡くしながらも被爆者たちの治療に当たった永井隆博士の著書「長崎の鐘」をモチーフに作られた。後日、この曲に感動した永井博士は,以下の歌を寄せたという。「新し... 続きをみる

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  • 昭和万葉集・87・「おぼろ月十三夜」

    87「おぼろ月十三夜」(詞・時雨音羽 曲・佐々木俊一 歌・榎本美佐江) 《寸感》  榎本美佐江は、小笠原美津子の「十三夜」もカバーしているが、「おぼろ月十三夜」の方が情感豊かではないか。月の光の下で逢瀬を重ねる男女のやるせなさが、彼女の歌声によって艶やかに浮かび上がる。時雨音羽には「君恋し」「出船... 続きをみる

  • 昭和万葉集・86・「ガード下の靴みがき」

    86「ガード下の靴みがき」(詞・宮川哲夫 曲・利根一郎 歌・宮城まり子) 《寸感》  「東京シューシャインボーイ」とは対照的に、「ガード下の靴磨き」は哀愁を帯びている。「おいら貧しい靴磨き 夜になっても帰れない」、墨に汚れたポケットには小さなお札だけ、「風の寒さやひもじさにゃ 馴れているから泣かな... 続きをみる

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  • 昭和万葉集・85・「東京シューシャインボーイ」

    85「東京シューシャインボーイ」(詞・井田誠一 曲・佐野鋤 歌・暁テル子) 《寸簡》  戦後、東京のあちこちの繁華街では「靴磨き」という商売が繁盛、仕事にあぶれた人たちが手っ取り早い職業としたが、中には未成年の「ボーイ」たちも混じっていた。いつも来てくれる「お嬢さん」に憧れ、一緒にダンスをしたいな... 続きをみる

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  • 「吉本興業」と「週刊文春」の不毛な《対立・抗争》

     年末から「吉本興業」と「週刊文春」の抗争が始まり、裁判沙汰になりそうな気配だと、メディアは面白半分に伝えているが、全く不毛な争いだと、私は思う。「週刊文春」は、《いつ》《どこで》《誰が》《どうしたか》を明らかにしたが、「吉本興業」はそれが事実無根だと否定している。ならば、「吉本興業」は、「週刊文... 続きをみる

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  • 昭和万葉集・84・「港のおりくさん」

    84「港のおりくさん」(詞・伊藤岸子 曲・徳久地政信 歌・若原一郎) 《寸感》  若原一郎には珍しいマドロス演歌である。浅黄にこぼれ松葉の暖簾をくぐれば、縞のお召しに西陣帯を締めた「おりくさん」が微笑んでいる。彼女に酌でほろ酔い機嫌、明日の船出を前にした一時のやすらぎか・・・。詞にある「与太さん」... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・83・「田舎のバス」

    83「田舎のバス」(詞・三木鶏郎 曲・三木鶏郎 歌・中村メイコ) 《寸感》  バスガールは田舎にもいる。東京と違って、道ばたで草を食っている牛をどけたり、パンクして動けなくなったオンボロ車を馬に引かせたり、仕事の量は倍増する。「それでもお客さん、ガマンをしてるよ、それは私が美人だから」。 (202... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・82・「俺ら東京さ行ぐだ」

    82「俺ら東京さ行ぐだ」(詞・吉幾三 曲・吉幾三 歌・吉幾三) 《寸感》  望郷の思いが濃い昭和歌謡の中では、異色である。「オラこんな村イヤダ」と断言したが、都会生活に憧れるわけでもなく「東京でベゴ飼うだ」と言ってのけるあたりが、真骨頂というべきか。和製ラップのはしりと言われている。 (2024.... 続きをみる

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  • 能登半島地震発生から1週間

     能登半島地震が発生してから1週間が経過した。これまでの死者128人、不明者195人、孤立集落には2300人が取り残されている。今、最優先で行わなければならないことは何か。いうまでもなく「人命救助」だ。不明者の救出に全力を注ぐべきだが、それと併行して重要なことは、これ以上の死者(関連死)を出さない... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・81・「ちゃっきり節」

    81「ちゃっきり節」(詞・北原白秋 曲・町田佳声 歌・市丸) 《寸感》  昭和2年に静岡を舞台につくられた新民謡である。北原白秋は、当初「きゃあるが鳴くから雨ずらよ」と書いたが、方言を取り入れて「きゃあるが鳴くん《て》」と改めた。しかし、歌手の市丸は「きゃあるが鳴くん《で》」に代え、「雨ずらよ」を... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・80・「スタコイ東京」

    80「スタコイ東京」(詞・北原じゅん 曲・北原じゅん 歌・菊地正夫) 《寸感》  「スタコイ」とは、鳥取弁で「すばしこい」「油断も隙もならない」という意味らしい。東京に出て来た息子が、故郷の母親から「気をつけなさい」と警告されたことを思い出して気を引き締める様子が窺われる。菊地正夫は、後日、城卓矢... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・79・「東京のバスガール」

    79「東京のバスガール」(詞・丘灯至夫 曲・上原げんと 歌・初代コロムビアローズ) 《寸感》  昭和の乗り合いバスには車掌が居た。若い女性たちで「バスガール」と呼ばれていた。 悲しいこと、辛いことがあっても,努めて明るく振る舞う。乗客は、そんな姿を見て「今日もがんばろう」と元気づけられたのである。... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・78・「蟹工船」

    78「蟹工船」(詞・星野哲郎 曲・遠藤実 歌・村田英雄) 《寸感》  命をかけてカムチャッカへ向かう、漁師の心意気を村田英雄が、小気味よく描出する。 大衆演劇「鹿島順一劇団」の舞踊ショーで観た、三代目・鹿島順一の「蟹工船」が忘れられない。 (2024.1.5)

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  • 「箱根駅伝」で思うこと

     恒例の箱根駅伝をテレビで観て、いつも思うことがある。その一は、各チームの監督が車で伴走し、選手に声をかける光景である。「そうそうそう、動いているよ」「・・・頑張って、男になれ!」などという言葉が断片的に聞こえる。監督が声をかければ選手が元気になることはわかるが、走者と走者の間に監督の乗った車が割... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・77・「吉良の仁吉」

    77「吉良の仁吉」(詞・萩原四朗 曲・山下五朗 歌・美ち奴)  《寸感》  縄張り争いで神戸の長吉から助力を頼まれた吉良の仁吉は、三月前にもらったばかりの恋女房・お菊に離縁状を渡して荒神山へ向かう。長吉の敵・安濃徳次郎はお菊の実兄だったのだ。争いは勝ったが、仁吉は落命した。義理を通した仁吉の生き様... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・76・「お島千太郎旅唄」

    76「お島千太郎旅唄」(詞・西条八十 曲。奥山貞吉 歌・伊藤久男・二葉あき子) 《寸感》  昭和15年に作られた映画「蛇姫様」(原作・川口松太郎)の主題歌である。旅役者に身をやつした千太郎の復讐劇、一座の花形・お島との交情を、伊藤久男と二葉あき子の澄み切った歌声が、艶やかに描出する。 (2024.... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・75・「親子舟唄」

    75「親子舟唄」(詞・藤田まさと 曲・大久保徳二郎 歌・田端義夫・白鳥みづえ) 《寸感》  母を亡くした娘とその父親が、艪を操りながら舟唄を歌う。・・・「暗い波間をギッチラコ、ギッチラコ、今日はどこまで行くのやら」当時、白鳥みづえは10歳、田端義夫は36歳であった。 (2023.12.31)

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  • 私家版・昭和万謡集・74・「麦畑」

    74「麦畑」(詞・榎戸若子 曲・榎戸若子 歌・オヨネーズ) 《寸感》  農村を舞台にした、若い男女、松つあんとおよねの相聞歌である。「オラでええのか」「オラおめえでええでば」、「オラ信じてええのか」「オラ絶対嘘つかね」、「オラ本当にハッピー」「オラも本当にハッピー」と言いながら「愛の花咲く麦畑」と... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・73・「鴨川艶歌」

    73「鴨川艶歌」(詞・萩原四朗 曲・上原賢六 歌・石原裕次郎・久美悦子) 《寸感》京都を舞台にした、石原裕次郎と久美悦子の珠玉のデュエット曲である。久美悦子の《一途な》伸びのある歌声が、石原裕次郎のソフトな歌声に包まれて、はかない男女の逢瀬を見事に描出する。 (2023.12.29)

  • 私家版・昭和万謡集・72・「東京の人」

    72「東京の人」(詞・佐伯孝夫 曲・吉田正 歌・三浦洸一・柏木由紀子 《寸感》  現在、三浦洸一95歳、柏木由紀子76歳、今から57年前のデュエットである。折り目正しい端正な三浦洸一の歌声が、若々しい柏木由紀子の女声と響き合い、都会の哀愁を際立たせる。 (2023.12.28)

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  • 私家版・昭和万謡集・71・「さんさ恋時雨」

    71「さんさ恋時雨」(詞・石本美由紀 曲・岡千秋 歌・美空ひばり) 《寸感》 8年前に観た大衆演劇「たつみ演劇BOX」の舞踊ショー、葉山京香の舞姿が忘れられない。 (2023.12.27)

  • 私家版・昭和万謡集・70・「逢いたかったぜ」

    70「逢いたかったぜ」(詞・石本美由紀 曲・上原げんと 歌・岡晴夫) 《寸感》  3年ぶりに会った「男同士」が居酒屋で「酒くみ交わし」、昔を偲ぶ。高野公男と船村徹のしめっぽい「男の友情」に比べると、実に明るく爽やかである。「今度あの娘に出会ったならば“まめでいるよ”と言ってくれ」という頼み事にも、... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・69・「雨の田原坂」

    69「雨の田原坂」(詞・野村俊夫 曲・古賀政男 歌・神楽坂はん子) 《寸感》  うぐいす芸者の神楽坂はん子が、艶っぽい歌声で、「西南戦争」という武張った場面を凜として描出する。挿入される吟詠もひときわ魅力的である。 (2023.12.24)

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  • 私家版・昭和万謡集・68・「ふるさと列車」

    68「ふるさと列車」(詞・小山敬三 曲・船村徹 歌・青木光一) 《寸感》  一度は捨てた故郷へ、都会暮らしの「恋も望みも憧れも」振り捨てて、帰らなければならない。ホームで名残を惜しんでくれた人の涙が忘れられない。でも、すでに父は亡く、兄も旅だった今、母を一人ぼっちにさせるわけにはいかないのだ。 (... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・67・「十三夜」

    67「十三夜」(詞・石松秋二 曲・長津義司 歌・小笠原美都子) 《寸感》  河岸のたもとで巡り会った、幼馴染みの男女。「懐かしいやら、嬉しいやら」、でも男はまだ学生、女も半玉の身だから、添い遂げることはできない・・・。「さようなら」と、こよない言葉をかける他はなかった。 (2023.12.22)

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  • 私家版・昭和万謡集・66.「霧にむせぶ夜」

    66「霧にむせぶ夜」(詞・丹古晴己 曲・鈴木淳 歌・黒木憲) 《寸感》  また会えるとわかっているのに、別れがこんなに辛いとは、「こらえても こらても 睫毛がぬれる・・・」。黒木憲の歌声が、はかない恋の切なさをいっそう際立たせる。 (2023.12.21)

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  • 私家版・昭和万謡集・65・「筏流し」

    65「筏流し」(詞・水田茂 曲・森安勝 歌・越路吹雪) 《寸感》  今から15年前(平成20年)、立川大衆劇場で観た「劇団サキガケ」の座長・南条時宏の舞姿が忘れられない。劇団はその後「座夢舞倶羅」と名を改め、南条時宏も高峰調士となった。 (2023.12.20)

  • 私家版・昭和万謡集・64・「ダンスパーティーの夜」

    64「ダンスパーティーの夜」(詞・和田隆夫 曲・林伊佐緒 歌・林伊佐緒) 《寸感》  昭和20年代、盛んだったダンスパーティーで出会った男女、つかの間の逢瀬を重ねたが、終わりの時が来た。「熱い涙を溜めながら」「忘れましょうと言った君」、星が冷たく光っていた。 (2023.12.19)

  • 私家版・昭和万謡集・63・「南国土佐を後にして」

    63「南国土佐を後にして」(詞・武政英策 曲・武政栄策 歌・ペギー葉山) 《寸感》  昭和34年に作られた小津安二郎の映画「浮草」の中で、同じ年にヒットしたこの曲が二度ほど演奏される。その一は、嵐駒十郎一座がお披露目で街頭を練り歩く場面、その二は、町娘に扮した一座の座員・若尾文子と小坊主に扮した子... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・62・「惜別の唄」

    62「惜別の唄」(詞・島崎藤村 曲・藤江英輔  歌・三善英史) 《寸感》  島崎藤村の詩が素晴らしい。本来は嫁ぎゆく姉を見送る妹と姉の問答歌だったが、戦時中、中央大学の学生だった藤江英輔が、出征する友を送る歌として、「姉」を「友」に代えて作曲したという。戦後の私たちにとっても、高校時代の愛唱歌だっ... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・61・「熱海ブルース」

    61「熱海ブルース」(詞・佐伯孝夫 曲・縞六郎 歌・由利あけみ)  《寸感》  小学校入学まで母方の祖母がいる静岡で過ごしたが、昭和26年に上京した。学校が休みになるたびに、静岡に遊びに行った。4年生からは一人で汽車に乗って行った。鈍行で4時間かかった。ちょうど中間に差し掛かると、車窓から熱海の町... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・60・「僕は泣いちっち」

    60「僕は泣いちっち」(詞・浜口庫之助 曲・浜口庫之助 歌・守屋浩) 《寸感》  浜口庫之助は「泣いちゃった」という日本語を「泣いちっち」、「行っちゃった」を「行行っちっち」とデフォルメした。その音韻が彼の美学にかなったからであろう。そして、守屋浩の、やや翳りのある歌声が曲想を際立たせる。この二人... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・59・「大阪ブギウギ」

    59「大阪ブギウギ」(詞・藤浦洸 曲・服部良一 歌・笠置シズ子) 《寸感》  有名な「東京ブギウギ」の陰に隠れた名曲である。大衆演劇「三河家劇団」の舞踊ショーで、花形・三河家諒が、この曲をバックに絶妙のコミックダンスを披露している。DVD に収められたその場面を観るたびに、大きな元気がわいてくる。... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・58・「高原の駅よ、さようなら」

    58「高原の駅よ、さようなら」(詞・佐伯孝夫 曲・佐々木俊一 歌・小畑実) 《寸感》  別れの時が来た。ほんの短い逢瀬だった。再会を誓ったが実現できるだろうか。汽車が高原の駅を離れたとき、初めて男の頬に涙がこぼれ落ちた。小畑実、渾身の一作である。 (2023.12.13)

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  • 私家版・昭和万謡集・57・「マロニエの木陰」

    57「マロニエの木陰」(詞・坂口淳 曲・細川潤一 歌・松島詩子) 《寸感》  この歌は戦前(昭和12年)に作られたが、松島詩子によって戦後まで歌い継がれた。、淡谷のり子が「別れのブルース」を磨き上げたように、松島詩子もまたこの曲を、珠玉の名品に仕上げたのである。 (2023.12.11)

  • 私家版・昭和万謡集・56・「さすらい」

    56「さすらい」(詞・西沢爽 曲・狛林正一 歌・小林旭) 《寸感》  小学校からの友人Kが高校時代に歌い、仲間の愛唱歌になった。60年余り前のことである。Kは美術を専攻し、大学教授になった。5年前(平成31年)、74歳で旅立ったが、往時の歌声は今も聞こえる。 (2023.12.10)

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  • 私家版・昭和万謡集・55・「カスバの女」

    55「カスバの女」(詞・大高ひさを 曲・久保山明 歌・エト邦枝) 《寸感》  この曲は、昭和30年、映画「深夜の女」の主題歌として制作されたが、映画が制作中止となったので、自然消滅し、歌唱のエト邦枝も芸能界を去ることになった。その12年後、緑川アコがカバーしたところヒットし、竹越ひろ子、沢たまき、... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・54・「刃傷松の廊下」

    54「刃傷松の廊下」(詞・藤間哲郎 曲・桜田誠一 歌・真山一郎) 《寸感》  大衆演劇「鹿島順一劇団」のラストショーで見聞した、二代目・鹿島順一の歌声が忘れられない。(2023.12.8)

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  • 私家版・昭和万謡集・53・「未練ごころ」

    53「未練ごころ」(詞・西沢爽 曲・遠藤実 歌・こまどり姉妹) 《寸感》  昭和38年に作られた映画「非行少女」(監督・浦山桐郎)の一場面に挿入されたこの曲が忘れられない。以下は、2年前に綴った私の駄文である。 (2023.12.7)

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  • 私家版・昭和万謡集・52・「水色のスーツケース」

    52 「水色のスーツケース」(詞・井田誠一 曲・利根一郎 歌・灰田勝彦) 《寸感》  「どこかで誰かが呼ぶような」気がして旅へ出た。荷物は水色のスーツケース、その中には「消えた恋の花束・秘めた歌の数々・数え切れない夢の花束」が入っている。悲しみを忘れるための旅が、南へ向かったとき、幸せをつかむ旅へ... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・51・「明日はお立ちか」

    51「明日はお立ちか」(詞・佐伯孝夫 曲・佐々木俊一 歌・三沢あけみ) 《寸感》  戦時下(昭和17年)、出征する夫を見送る妻の心情を、小唄勝太郎が艶やかに歌ったが、戦後、三沢あけみがカバーしている。それに際して、佐伯孝夫は歌詞を以下のように改めた。戦前には、思っても書けなかった詞なのかもしれない... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・50・「ハバロフスク小唄」

    50「ハバロフスク小唄」(詞・野村俊夫 曲・島田逸平 歌・近江俊郎、中村耕造) 《寸感》  最近(2023年12月1日)、厚生労働省は「終戦後に旧ソ連に抑留され、シベリア・モンゴル地域で死亡した計9人の身元を新たに特定し、漢字氏名や出身地を同省ホームページで公表した。シベリア・モンゴル地域で個人を... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・49・「ああモンテンルパの夜は更けて」

    49「ああモンテンルパの夜は更けて」(詞・代田銀太郎 曲・伊藤正康 歌・渡辺はま子、宇都宮清) 《寸感》  戦争は多くの「悲しみ」をもたらした。この歌の誕生について、ウィキペディア百科事典には、以下の記述がある。(2023.12.3) 《1952年(昭和27年)1月、歌手の渡辺はま子は、来日したフ... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・48・「異国の丘」

    48「異国の丘」(詞・増田幸治・佐伯孝夫 曲・吉田正 歌・竹山逸郎、中村耕造) 《寸感》  以下は、7年前に綴った私の駄文である。(2023.12.2) 異国の丘

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  • 私家版・昭和万謡集・47・「岸壁の母」

    47「岸壁の母」(詞・藤田まさと 曲・平川浪竜 歌・菊池章子) 《寸感》  戦争が人々に「幸せ」をもたらしたことは、一度もない。シベリアに抑留された我が子を待ち続ける母の姿を、菊池章子が「涙をこらえて」歌う。ウィキペディア百科事典の「岸壁の母」には以下の記述があった。(2023.12.1) 《作詞... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・46・「シベリアエレジー」

    46「シベリアエレジー」(詞・野村俊夫 曲・古賀政男 歌・伊藤久男) 《寸感》 間奏に挿入された「誰か故郷を思わざる」のメロディが、ひときわ郷愁をさそう。 ウィキペディア百科事典には、「シベリア抑留」について、以下の記述がある。 (2023.11.30) 《シベリア抑留は、第二次世界大戦の終戦後、... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・45・「おんなの海峡」

    45「おんなの海峡」(詞・石本美由紀 曲・猪俣公章 歌・都はるみ) 《寸感》  都会での恋に破れた女がひとり、「汽車から船に乗り換えて」、北に向かう。しかし、夢はもうない。「私の明日はどこににある」と問いかけながら、暗い海を見つめるのだ。数あるヒット曲の中でも、ひときわ鮮やかな名曲である。 (20... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・44・「生活の柄」

    44「生活の柄」(詞・山之口漠 曲・高田渡 歌・高田渡) 《寸感》  詩人・山之口漠の放浪生活を、高田渡が淡々と、飄々と、そして切々と歌っている。「陸をひいては眠れない」とは、「陸を敷き布団にして(意味:野宿をして)は眠れない」という意味だそうだ。また「柄」とは、「柄でもない」「柄が悪い」の「柄」... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・43・「島の娘」

    43「島の娘」(詞・長田幹彦 曲・佐々木俊一 歌・小唄勝太郎) 《寸感》  昭和8年に作られた映画「島の娘」(監督・野村芳亭)の主題歌である。以下は6年前に綴った私の駄文である。(2023.11.27)

  • 私家版・昭和万謡集・42・「別れの一本杉」

    42「別れの一本杉」(詞・高野公男 曲・船村徹 歌・船村徹) 《寸感》  夭折した盟友の作詞家・高野公男を思い浮かべながら、作曲家・船村徹が切々と歌う。歌唱力は抜群、春日八郎の歌声は「陽」、どこか乾いているのに対して、船村は「陰」、しっとりと濡れていて、味わい深い。 (2023.11.26)

  • 私家版・昭和万謡集・41・「黒百合の歌」

    41 「黒百合の歌」(詞・菊田一夫 曲・古関裕而 歌・織井茂子) 《寸感》   菊田一夫原作のメロドラマ「「君の名は」(第二部)の主題歌である。牧場を訪れた主人公・春樹には真知子という恋人があると知りながら、春樹を愛してしまったアイヌの娘・ユミの「(絶望的な)慕情」を、織井茂子が見事に歌い上げる。... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・40・「安宅の松風」

    40「安宅の松風」(詞・猪又良 曲・長津義司 歌・三波春夫) 《寸感》  平成20年頃であったか、「鹿島順一劇団」の舞踊ショー、蛇々丸の個人舞踊「安宅の松風」が忘れられない。「勧進帳」の弁慶、富樫、義経を、見事に踊り分けた。その後、劇団は消滅、蛇々丸も役者を辞めたと聞く。「光陰は矢の如し」「栄枯盛... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・39・「花と龍」

    39「花と龍」(詞・藤田まさと 曲・古賀政男 歌・美空ひばり) 《寸感》   昭和48年頃だったか、「梅沢武生劇団」の舞踊ショー、竹沢隆子、市川吉丸夫妻の息子と娘(芸名は失念)、まだ幼かったが二人で懸命に踊った相舞踊「花と龍」は、素晴らしかった。今でもその「勇姿」が目に浮かぶ。 (2023.11.... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・38・「演歌みたいな別れでも」

    38「演歌みたいな別れでも」(詞・中山ラビ 曲・小椋佳 歌・梅沢富美男) 《寸感》  昭和後期(昭和40年~)の大衆演劇は、「前狂言」「歌謡(楽団)ショー」「切り狂言」「舞踊ショー」といった構成で、役者全員が歌唱、楽器演奏を担当した。どの役者も巧みにこなしたが、中でも梅沢富美男の「歌唱力」は群を抜... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・37・「東京、宵待草」

    37 「東京、宵待草」(詞・もりちよこ 曲・五木ひろし 歌・前田有紀) 《寸感》  恵比寿、吉祥寺、六本木、新宿、三軒茶屋、池袋といった東京の地名が歌詞に織り込まれ、都会に出てきた田舎娘が、「純な生き方は流行らないけど」「夢だけは捨てたくないの」と歌う姿が爽やかだ。大衆演劇の舞踊ショーや歌謡ショー... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・36・「ああ、いい女」

    36 「ああ、いい女」(詞・星野哲郎 曲・叶弦大 歌・細川たかし)  《寸感》  10年以上前の「鹿島順一劇団」舞踊ショー、座長・二代目鹿島順一(甲斐文太)の歌声で妻女・春日舞子が踊った「ああ、いい女」が忘れられない。その後、劇団は消滅・・・、しかし、鹿島順一は今も他の劇団を渡り歩き、後進の指導に... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・35・「一本刀土俵入り」

    35 「一本刀土俵入り」(詞・藤間哲郎 曲・桜田誠一 歌・二葉百合子) 《寸感》  相撲取りを目指すが、一文無しの駒形茂兵衛に、櫛、簪,巾着まで与えて励ます茶屋女・お蔦の「意地」と、十年後、やくざになり果てた茂兵衛が、窮地のお蔦を救う「有様」が、鮮やかに描き出されている。数多い二葉百合子の曲の中で... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・34・「加賀の女」

    34 「加賀の女」(詞・星野哲郎 曲・島津伸男 歌・北島三郎) 《寸感》  金沢旅行から帰ってまもなく、大宮の芝居小屋で観た舞踊ショー、座長の「加賀の女」が忘れられない。その時の様子を以下の通り駄文に綴った。今から15年前のことである。北島三郎の曲では「薩摩の女」も捨てがたい。(2013.11.1... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・33・「再会」

    33 「再会」(詞・佐伯孝夫 曲・吉田正 歌・松尾和子) 《寸感》  男は罪を犯して服役中である。「みんなは悪い人だと言うが」《私》には良い人だった。もしかしたら、《私》を守るために罪を犯したのかもしれない。《私》は、二人の思い出を確かめるために、一緒に泳いだ海へ行く。そして、「指折り数えて」男の... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・32・「ハルピン旅愁」

    32 「ハルピン旅愁」(詞・佐藤惣之助 曲・服部逸朗 歌・東海林太郎) 《寸感》  国民的歌手・東海林太郎のレパートリーは広く、ヒット曲は、「赤城の子守唄」「湖底の故郷」「野崎小唄」「すみだ川」など、本土の作品に加えて「国境の町」「麦と兵隊」「上海の街角で」といった大陸を舞台にした物も少なくない。... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・31・「はしご酒」

    31 「はしご酒」(詞・はぞのなな 曲・:赤坂通  歌・藤圭子) 《寸感》  藤圭子の歌は、五木寛之が「怨歌」と名づけたように、一様に暗い。「十五、十六、十七と私の人生暗かった・・・」(「夢は夜ひらく」)そんな中で、珍しく明るい歌がある。錦糸町、平井、亀戸、小岩から押上、金町を通って浅草まで飲み歩... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・30・「うさぎ」

    30 「うさぎ」(詞・保富康午 曲・猪俣公章 歌・森進一) 《寸感》  森進一の母の歌では「おふくろさん」が有名だが、「うさぎ」は、その陰に隠れた名曲である。(2023.11.14) うさぎ

  • 私家版・昭和万謡集・29・「夜のプラットホーム」

    29 「夜のプラットフォーム」(詞・奥野椰子夫 曲・服部良一 歌・二葉あき子) 《寸感》  二葉あき子の「歌唱力」は、半端ではない。以下は、20年前に綴った私の駄文である。 《二葉あき子の「歌唱力》  二葉あき子の歌を聴いたことがあるだろうか。私が初めて彼女の歌を聴いたのは「夜のプラットホーム」(... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・28・「若いお巡りさん」

    28 「若いお巡りさん」(詞・井田誠一 曲・利根一郎 歌・曽根史郎) 《寸感》  戦前の巡査は,天皇に仕える臣民の上司だったから、「オイ、コラ!」と言って、人々を恫喝・統制した。それが戦後になると一変、、民主警察のもとで、巡査は「モシ、モシ」と言いながら、国民を守る立場になった。家出娘や納豆売りの... 続きをみる

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  • 「チコちゃんに叱られる」の《お粗末》

     NHKテレビ「チコちゃんに叱られる」(11月10日放送)で、《緊張するとトイレにいきたくなるのはどうしてか》という問いの答えは《神経が戦闘モードに入るから》だったが、その内容は「取るに足らない」お粗末なものであった。受信料を取って放送している以上、視聴者が「なるほど」と納得できるものでなければな... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・27・「明治一代女」

    27 「明治一代女」(詞・藤田まさと 曲・大村能章 歌・新橋喜代三) 《寸感》  山中貞雄監督の映画「丹下左膳余話 百万両の壺」の中で、新橋喜代三は「彼女ならでは」の音曲を数多く披露している。また演技の面でも、大河内伝次郎と五分に渡り合い、鹿児島訛りの台詞回しが魅力的である。種子島出身、鹿児島の座... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・26・「道頓堀左岸」

    26 「道頓堀左岸」(詞・石浜恒夫 曲・アイ・ジョージ 歌・アイ・ジョージ) 《寸感》  アイ・ジョージの歌声は、どれも「永久保存」に値する。  テイチクのCD全集「アイ・ジョージ ベストコレクション」によれば、「硝子のジョニー」「赤いグラス」「道頓堀左岸」などの持ち歌から、「ラ・マラゲーニア」「... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・25・「江の島エレジー」

    25・「江の島エレジー」(詞・大高ひさを 曲・倉若晴生 歌・菅原都々子) 《寸感》  菅原都々子は、今年96歳、数々の名曲とともに、今も燦然と輝いている。以下は、10年前に綴った私の駄文である。 《悲歌の女王・菅原都々子の「泣きべそ声」》  菅原都々子は、昭和2年(1927年)8月15日生まれ、今... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・24・「石狩エレジー」

    24「石狩エレジー」(詞・桂土佐海 曲・古賀政男 歌・霧島昇) 《寸感》   霧島昇の数多いヒット曲の陰に隠れた、珠玉の名品である。詞は雑誌「平凡」のコンテストに応募した当選作だそうだ。どこか「流れの旅路」(詞・吉川静夫 曲・上原げんと 歌・津村謙)の空気も漂う。「あの娘の馬車」は、「夜汽車」に変... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・23・「織江の唄」

    23 「織江の唄」(詞・五木寛之 曲・山崎ハコ 歌・山崎ハコ) 《寸感》 筑豊で育った織江は、幼馴染の信介が好きだった。でも中学を卒業してまもなく、小倉に「売られて」行ってしまう。その別れを織江が切々と歌う。  作詞は、「昭和万謡集」の発案者(発起人)の五木寛之氏、代表作「青春の門」の空気を、山崎... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・22・「哀愁列車」

    22 「哀愁列車」( 詞・:横井弘 曲・鎌多俊与 歌・三橋美智也) 《寸感》   以下は、今から11年前に綴った駄文(大衆演劇見聞記)である。座長の舞踊「哀愁列車」は、今でも私の脳裏に焼き付いている。  大阪からJR宝塚線(7時55分発)で篠山口、福知山線に乗り継いで谷川駅下車(9時44分着)、そ... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・21・「昭和籠の鳥」

    21 「昭和籠の鳥」(詞・喜多条忠 曲・むつひろし 歌・河野さくら) 《寸感》  故郷を捨てた女がひとり、夢を求めて東京に来たが、住むところは安アパートの八畳間。一緒に暮らした男の姿はすでになく、夜の化粧で、その日を暮らす。「水商売」という「籠」の中で、もう一度飛びたい、飛びたいと思いながら、やる... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・20・「教訓・Ⅰ」

    20 「教訓・Ⅰ」(詞・加川良 曲・加川良 歌・加川良) 《寸感》  戦前の「大日本帝国」にいたのは「国民」ではなく「臣民」だった。天皇の家臣という意味である。明治以後、日本は戦争を繰り返したが、いずれも。主権者である「天皇」に殉じる戦いであった。「臣民」は「大日本帝国」を守るために戦わされ、「天... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・19・「浜千鳥情話」

    19 「浜千鳥情話」(詞・:茜まさお 曲・:平尾昌晃 歌・金沢明子) 《寸感》  「捨てないで、行かないで、愛した人はあなただけ」、泣きすがる女を捨てて、男は行ってしまった。船に乗って海の彼方へ消えてゆく・・・。追いかけようにも、羽が傷ついて飛べない浜千鳥のように、私はむなしく見送るだけなのか。 ... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・18・「ミオミオミオ」

    18 「ミオミオミオ」(詞・:鄭豊松 曲・:鄭旭・谷村新司 歌・チョーヨンピル) 《寸感》  憎い、憎い、憎い、女の愛は憎しみに変わった。「愛憎劇」はどのように終わるのだろうか。「部屋にたたずみナイフを握る」女は、「わけも言わずに消えた」男の匂いを求めながら、《自死》という道を選ぶか・・・。 (2... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・17・「ざんげの値打ちもない」

    17「ざんげの値打ちもない」(詞・阿久悠 曲・村井邦彦 歌・北原ミレイ) 《寸感》  2月の寒い夜、14歳で初めて「抱かれ」、5月の雨の夜、15歳の時、安い指輪を贈られて「捧げた」。それから4年・・・、8月の暑い夜、捨てられた19歳の女は、ナイフを手にして男を待つ。その思いは遂げられたのであろう。... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・15・「川は流れる」

    15「川は流れる」(詞・横井弘 曲・桜田誠一 歌・仲宗根美樹) 《寸感》 横井弘には「川は流れる」(1961年・昭和36年、曲・桜田誠一、歌・仲宗根美樹)、「ネオン川」(1966年・昭和41年、曲・佐伯としを、歌・バーブ佐竹)という名品もあった。この二作は昭和女の哀しみ(うつろい)を前・後編で描い... 続きをみる

  • 袴田事件・司法の責任

     「・・・元ボクサー袴田巌さんの再審が始まった。57年前の強盗殺人事件で死刑判決を受けたが、裁判をやり直す以上は無罪の公算が大きい。」(東京新聞10月28日朝刊「筆洗」)  この再審で、もし無罪が確定したとなると、ただではすまされない。57年にわたって袴田さんを苦しめた「司法の裁き」そのものが裁か... 続きをみる

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  • 私家版・昭和万謡集・14・「ダンディ気質」

    14 「ダンディ気質」(詞・清水みのる 曲・大久保t徳二郎  歌・田端義夫) 《寸感》   昭和(戦後)の名曲に、「ダンディ気質」という作物がある。リリースは昭和23年、作詞・清水みのる、作曲・大久保徳二郎、歌手・田端義夫、ということで、歌詞は以下の通りである。〈花のキャバレーで 始めて逢(お)う... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・13・「哀愁海峡」

    13 「哀愁海峡」(詞・西沢爽 曲・遠藤実 歌・扇ひろ子) 《寸感》  以下は今から11年前に見聞した「扇ひろ子ショー」の見聞記である。  《午後2時30分から、小岩湯宴ランドで「扇ひろ子ショー」を見聞する。会場は超満員、観客のほとんどが「高齢者」、出演者も1945年生まれの「高齢者」とあって、双... 続きをみる

  • 79回目の誕生日

     今日は79回目の誕生日である。去年もそうだったが、「よくも長生きしたものだ」という気持ちでいっぱいだ。同世代の人々が、次々と旅立って逝くのを見ると、言いようのない寂しさにおそわれる。小林旭は「いい奴ばかりが先にゆく どうでもいいのが残される」(「惚れた女が死んだ夜は」(詞・みなみ大介 曲・杉本真... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・12・「手紙」

    12 「手紙」(詞・岡林信康 曲・岡林信康 歌・岡林信康) 《寸感》  以下は、13年前に綴った駄文である。(2023.10.25) ◆フォークの神様・岡林信康の《変貌》(2010.2.3)  ふと何気なくテレビのスイッチを入れたら、岡林信康の歌声が聞こえてきた。(NHKテレビ・「SONGOS」・... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・11・「別れのブルース」

    11 「別れのブルース」(詞・藤浦洸 曲・服部良一 歌・淡谷のり子) 《寸感》  以下は、今から8年前に綴った駄文である。(2023.10.24)  ユーチューブで「歌に恋して85年 淡谷のり子 生涯現役 女のブルース」というテレビ番組を観た。その中では、淡谷のり子が80歳を過ぎても「生涯現役」を... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・10・「流浪歌」

    10 「流浪歌」(詞・吉田旺 曲・徳久広司 歌・徳久広司)   遠藤実も船村徹も元は「流し」の演歌歌手、徳久広司もまた「歌手」出身の作曲家である。志破れて都落ちする男の心情を切々と歌い上げる歌唱力は本物であり、歌手としても輝いている。ところで、この男が歌う「流浪歌」とは何だろうか。昔、「流浪の旅」... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・9・「哀愁の駅」

    9 「哀愁の駅」(詞・辻本茂 ・曲・袴田宗孝 歌・松山恵子) 《寸感》  人気歌手・松山惠子の多くのヒット曲のかげに隠れた、珠玉の名品だと私は思う。舞台は大阪駅、恋に破れた女が新天地を求めて旅立とうとしているのか、それとも大阪に夢を抱いてやってきたのに、儚く破れてふるさとに帰ろうとしているのか・・... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・8・「流れの旅路」

    8 「流れの旅路」(津村謙) 《寸感》  平成の時代になっても「旅役者」は存在する。全国に150余りある劇団を、私も追いかけた。  以下は、平成20年10月の「見聞記」である。(2023.10.22)  〈午前11時45分から、栃木県・鬼東沼レジャーセンターで大衆演劇観劇。「鹿島順一劇団」(座長・... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・7・「旅のつばくろ」

    7 「旅のつばくろ}(詞・清水みのる 曲・倉若晴生 歌・小林千代子) 《寸感》  歌い出しは「茜い夕陽の他国の空で しのぶ思いは皆おなじ」、多くの日本人が夢を求めて渡った満州の地から、遠いふるさとをしのぶ思いは皆おなじという心情を、小林千代子の華麗な歌声が、鮮やかに描き出す。でも「泣いちゃいけない... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・6・「浜昼顔」

    6 「浜昼顔」(詞・寺山修司 曲・古賀政男 歌・五木ひろし) 《寸感》  歌人・寺山脩司は「作詞家」でもあった。その作物に「浜昼顔」という佳作がある。詠って曰く「家のない子のする恋は たとえば背戸の赤とんぼ ねぐら探せば陽が沈む 泣きたくないか日ぐれ径 日ぐれ径 たった一度の恋なのと 泣いてた君は... 続きをみる

  • 私家版・昭和万謡集・5・「恋文」

    5 「恋文」(詞・吉田旺 曲・佐藤勝 歌・由紀さおり) 《寸感》  昭和の女(深窓の令嬢か)の、可憐な恋心を、由紀さおりが艶やかに歌い上げる。アズナヴールに夢二、秋祭りの指輪に千代紙、矢絣にココア、昼下がりの小雨、雨上がりの夕陽といった「和洋混在」の風景をバックに、《朝な夕なに貴男様をお慕い申し候... 続きをみる