梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

昭和万葉集・86・「ガード下の靴みがき」

86「ガード下の靴みがき」(詞・宮川哲夫 曲・利根一郎 歌・宮城まり子)
《寸感》
 「東京シューシャインボーイ」とは対照的に、「ガード下の靴磨き」は哀愁を帯びている。「おいら貧しい靴磨き 夜になっても帰れない」、墨に汚れたポケットには小さなお札だけ、「風の寒さやひもじさにゃ 馴れているから泣かないが 夢のない身が辛いのさ」。隣では、売れない花束を抱えて、少女が泣いている。どうして、この世のしあわせはみんなそっぽを向くんだろう。かくて、宮城まり子は日本初の民間社会福祉施設「ねむの木学園」を設立、その充実・発展のために《献身》したのである。
(2024.1.13)