梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

私家版・昭和万謡集・17・「ざんげの値打ちもない」

17「ざんげの値打ちもない」(詞・阿久悠 曲・村井邦彦 歌・北原ミレイ)
《寸感》
 2月の寒い夜、14歳で初めて「抱かれ」、5月の雨の夜、15歳の時、安い指輪を贈られて「捧げた」。それから4年・・・、8月の暑い夜、捨てられた19歳の女は、ナイフを手にして男を待つ。その思いは遂げられたのであろう。20歳の頃、女は鉄格子の中に居て、さびしく月を眺める。「そうして、こうして」暗い夜、もう歳も忘れて、出所したのだろうか。人々が夜の灯りで祈る頃、懺悔の値打ちも無いけれど、私は、過ぎ去った自分の「生き様」をどうしても話したかった。
 罪を犯した女の悔恨を、北原ミレイが見事に歌い上げる。(2023.10.30)

ざんげの値打ちもない  北原ミレイ 2008  Mirei Kitahara Zange no Neuchimonai

『ざんげの値打ちもない』 北原ミレイ