梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

私家版・昭和万謡集・51・「明日はお立ちか」

51「明日はお立ちか」(詞・佐伯孝夫 曲・佐々木俊一 歌・三沢あけみ)
《寸感》
 戦時下(昭和17年)、出征する夫を見送る妻の心情を、小唄勝太郎が艶やかに歌ったが、戦後、三沢あけみがカバーしている。それに際して、佐伯孝夫は歌詞を以下のように改めた。戦前には、思っても書けなかった詞なのかもしれない。
 ◎「大和男児の晴れ姿 朝日を浴びて いでたつ君よ 拝むこころで送りたや」→「なまじ逢わねば 泣くまいに 心と心 つないだ糸は なんで切れましょ 切れはせぬ」「
◎「駒の手綱を しみじみとれば 胸にすがしい 今朝の風 お山は晴れて 沸き立つ雲よ 君を見送る峠道」→「思うばかりで 口には言えず 握るこの手を 忘れずに お山も今朝は 涙で曇る 君を見送る峠道」
(2023.12.5)