梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

松本人志と市川猿之助

 巷間では松本人志に関する取沙汰が喧しい昨今だが、市川猿之助に関してはさっぱり音沙汰がない。両者にはいくつかの共通点が見られる。まず芸人として有名人であり、その道の「稼ぎ頭」であったようだ。二人とも出版社から同様の案件(性加害疑惑)で告発されたが、事実関係は「闇の中」である。市川猿之助は、その疑惑が週刊誌で報道されることを知り、一家心中を試みた。結果として両親は落命し、本人は生き残った。しかし自殺幇助の罪に問われ、有罪が確定した。歌舞伎界への復帰を希望しているそうだが、「性加害疑惑」が晴れない限り、叶うまい。一方、まさか松本人志が自死を試みることはなかろうが、週刊誌の「性加害疑惑」を払拭できるかどうか。いずれも、被害者とおぼしき人たちに「謝罪しない」という点が共通している。
 一体全体、この疑惑はシロなのか、クロなのか。当事者以外はおよび知らぬことであり、誰にもわからない。「裁判」で決着がつく、という問題ではなかろうに。
 一つだけ言えることは、市川猿之助が歌舞伎界から消え去ったように、松本人志もまた芸能界から消え去るだろうことは、確かである。なぜか。市川猿之助と同様に、松本人志もまた、被害者とおぼしき人たちに「謝罪しない」からである。もし「事実無根」であるならば、何の臆することなく、正々堂々と仕事を続けていればよかったのだから・・・。といったところが、巷間の真っ当な評判ではなかろうか。いい加減に鎮まってもらいたい。
(2024.1.27)