梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

私家版・昭和万謡集・5・「恋文」

5 「恋文」(詞・吉田旺 曲・佐藤勝 歌・由紀さおり)
《寸感》
 昭和の女(深窓の令嬢か)の、可憐な恋心を、由紀さおりが艶やかに歌い上げる。アズナヴールに夢二、秋祭りの指輪に千代紙、矢絣にココア、昼下がりの小雨、雨上がりの夕陽といった「和洋混在」の風景をバックに、《朝な夕なに貴男様をお慕い申し候》とは、大胆な心情告白だ。最後に「拙き文を読まれし後は焼いて欲しく候」と締めくくるのも乙女心のあらわれか。ただし、作詞者は男、おそらく、好きな少女に指輪を贈り「こんな恋文をもらえたら・・・、」という願望のあらわれかもしれない。(2023.10.19)

由紀さおり 恋文720x480