梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「Eosino%」・2

 4日前、大学病院の皮膚科医(女医)から「血液検査の結果を見ると、Eosino%の値が高くなっています。アレルギー反応であることはたしかなようです。原因は不明ですが、とりあえず、昨日より強い内服薬(プレドニン錠5mg)と塗り薬(アンテベート軟膏+ヒルドイドソフト軟膏)を4日分出しますので、次は10月1日に来て下さい。4日には大腸カメラ検査を受けるそうですが、それ以後も内服の必要がある場合には、こちらから検査担当医に連絡します。」と言われていたので、いつもより1時間早起きして、病院に赴いた。なぜか今朝は気分がいい。爽快とまではいかないが、ここ数日は食欲も出てきていた。最寄り駅から路線バスが出ているが、時刻表を見ると発車まで20分近くある。「これなら歩いた方が早い」と思い、徒歩で向かった。8時50分頃、病院に到着。受付後、9時30分に診察。医師は「どんな様子ですか」と言いながら、両腕、腹部、背中を視診する。「ああ、だいぶよくなりましたね。では飲み薬を減らしましょう。プレドニンを4錠から2錠にします。大腸カメラ検査の日(4日)の朝まで飲んでください。そのことを担当医に連絡します」と言いながら、その場で手紙(パソコンで)を書き始めた。全文はわからなかったが「浮腫性紅斑」という言葉が見えた。なるほど、この湿疹の「医学用語」はそういうものなのかと、初めて知った。書きながら、医師が「食欲はどうですか?」と尋ねたので「はい。だいぶ食べられるようになりました。体重が1キロ増えました。」と答えると「それはよかった。プレドニンは食欲を増進しますから・・・」と呟いた。
それまで、私は大腸カメラ検査のためにバイアスピリン、エフィエントを休薬していることが影響していると考えたが、服薬が食欲を増していたとは・・・・。これから駅前病院で循環器内科の診察を受けることを告げ、「皮膚科の診察結果を内科医に報告する必要がありますか」と尋ねると「その必要はありません。循環器内科には影響しませんから」ということであった。まさに現代の医療は「分業」だということを思い知らされた次第である。
 大学病院の診察を終了後、駅前の病院に向かう。今日は循環器内科医の定期診察を受ける日でもあった。「調子はどうですか?」と言いながら血圧測定。「145と87、少し高いようですね。家ではどうですか?」「120台と70台です」「それなら大丈夫でしょう」「9日の心臓の検査は台風の影響で延期になりました」「そうですね。私もあの日は検査室でお待ちしていましたが・・・、次は1月ですね」「はい。ここ数日、食欲が出てきて体重が51キロに増えました。休薬しているからでしょうか」「ウーン、何とも言えませんね。今後の経過を見て薬を減らせるかもしれません。」私は念のため、今、大学病院で皮膚科の診察を受けてきたことを報告すると、「何という薬を処方されましたか?」「プレドニン・・・」「ああ、だから食欲が出てきたんだ。その薬は食欲を増進するんです。食べ過ぎには注意してくださいね」だと・・・。期せずして、皮膚科と内科医の見解が一致したので「なるほど」と納得せざるを得なかった。診察を終えると、看護師が「4日は大腸カメラ検査ですね」と確認に来たので、先刻、皮膚科医から預かった手紙を手渡した。「はい、たしかに受け取りました。では、4日お待ちしております、気をつけておいでください」ということで、今日の予定は、すべては午前中に終了した。
 「吐き気と胸やけ」がひどいので、その原因を探るために「大腸カメラ検査」を行う。しかし、その検査を行う前に、(検査時の出血に備えて)血液をサラサラにする薬を休薬したため、「吐き気と胸やけ」が治まったとすれば、何のために検査をするのか、分からなくなる。いやいや、それは休薬のためではなく、たまたま皮膚科の処方薬(プレドニン)が食欲を増進したに過ぎない、どうせ大腸は1年に1回「オーバーホール」した方よいのだ、と割り切って、4日の検査に臨むことにする。
(2019.10.1)