梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

今年の桜

 今年の桜は、平成という「平和」な時代を愛おしむかのように、なぜか散り急がない。いつまでも平和であってほしい。そうした願いが桜にもあるのだろうか。いや、いや、そうではなさそうだ。来年は目にすることができないだろう私のために、できるだけ永くその艶姿を見せてくれているのではないか。そんなことを思いながら、懲りずに、いつもながらの駄句を詠む。
■    冷雨しとしと満開の花散れず
■ 病室の窓に名残の花吹雪
■ これでもう見納めだろう花筏
■ 満開の桜に語る「暇乞い」 
■ 余命知り満開の花まだ散らず
■ 散り厭う花の心は読み取れず
オ・ソ・マ・ツ!
(2019.4.10)