梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

《延命記念日》

 ちょうど1年前の今日、私は「急性心筋梗塞」を発症し緊急入院、手術を受けた。それから、どうにか1年間、生き延びることができた。だから、今日は《延命(1年)記念日》ということになる。発症前は、前立腺肥大、高血圧症、脊柱管狭窄症を患っていたが、今よりは数倍も元気だったように思う。また、時間の過ぎるのも速かった。あっという間に72年間が過ぎ去った。73歳から高血圧症の治療を開始、3か月過ぎた頃には脊柱管狭窄症による間欠跛行が著しかった。でも、無理を通して仕事を続け、さらに4か月後、急性心筋梗塞を発症したということである。それから1年、ずいぶん長い1年だったように感じる。なぜなら、退院直後から今日まで、「不快感のない(気分爽快の)日」は一日としてなかったからである。動悸、息切れ、吐き気、胸やけ、便秘に、間欠跛行の再発も加わった。つねに、その中のどれかの症状が現れている。また、いつでも、どこでもある「不快感」は後鼻漏である。鼻水が鼻の後ろに溜まり、放っておくと息苦しさが増す。しかし、幸いなことに頭痛だけはない。要するに、息切れ、吐き気(食欲不振)、間欠跛行が繰り返される1年間であった。 
 そしてまた、学んだことも多くある。第一に、「不快感」は自分で克服しなければならない、ということだ。感じているのは自分だから、その苦しさは誰にもわからない。「同病相憐れむ」ということで、わずかに同病の患者同士ならばわかるかもしれないが、それでも症状は千差万別だから、どうすればよいかも同一ではない。特に、健康体である医師には全く通じないようである。だから、医師に相談することはやめた。第二に、「不快感」を除こうとして、薬物を多用することは、かえって不快感を「増す」ということだ。前述した私の不快感は、服薬の副作用に因ることは明らかだ。なぜなら、発症(入院)、退院までに、そのような不快感は(間欠跛行を除いて)皆無だったのだから。でも服薬を中止すれば、すぐにでも再発のリスクが生じるだろう。したがって、「不快感」を克服するということは、それに「耐える」ということなのである。第三に、服薬以外の方法で「不快感」に立ち向かう方法だ。モーツアルトの「音楽療法」、東洋医学のツボ刺激、ストレッチ、ヨガ、「食事療法」等々・・・。
 西洋医学(循環器内科)のおかげで一命をとりとめ、東洋医学のおかげで1年間の延命を達成することができた。まもなく梅雨が明け、「災害並みの酷暑」が到来するだろう。それをいかにして乗り超え、《延命(2年)記念日》まで辿り着くかが、当面の課題である。
 (2019.6.25)