梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「コロナ禍」の《実相》・2

 私は2か月前(6月5日)に「コロナ禍の《実相》」という駄文を綴った。その冒頭で「《感染者数》でコロナ禍の現状を表そうとすることは誤りである。」と書いたが、為政者も、専門家も、テレビ、新聞、雑誌等のマスメディアも、一向にその《誤り》を訂正しようとしない。「感染者数」でコロナ禍の現状を表そうとすることが、なぜ誤りか、再度強調したい。ここでいう「感染者数」とは「PCR検査の結果、陽性と判定された者」(厚生労働省が示す陽性者数)をいう。「陽性者」とは、《症状の有無にかかわらず、検査の結果、体内にウィルスが付着していることが確認された者》のことである。通常の場合、ウィルスや菌が体内で確認されても、《発症していなければ》問題とされない。では、なぜ「新型コロナウィルス」の場合、「陽性者」が問題視されるのか。それは、「陽性者」が、無症状のまま、感染を拡大する危険があるという「通説」に従っているからである。その「通説」は《真実》か・・・。無症状者が他人に感染させ、発症させたという《事実》があるのか。その事実は、専門家によって検証・確認されているのか。
 多分、「そんなひまはない。とりあえず、その通説が正しいとして対処することが《政治判断》というものだ」といった答が返ってくるだろう。さればこそ、「新型コロナウィルス感染症」は、未だに「指定感染症」に分類されているのだ。
 「感染者数」にこだわり、その(1日当たりの感染者数の)推移を見る限りでは4月時に比べ、たしかに7月の数値の方が上回っている。連日、「最多」を記録するありさまだ。にもかかわらず、政府は「緊急事態ではない」という。なぜか。要するに、「感染者数」を見(るふりをし)て、実は他の数値を見ているからである。
 それは4月、5月、6月、7月における「陽性者」「入院治療等を必要とする者」、そのうち「重症者」、「死亡者」、「退院者」の各1か月間における《増加率》(末日の数値÷初日の数値)である。「陽性者数」の増加率は4月は4.5倍だったが、以後1.1倍台に低下し、7月も増えたとはいえ1.8倍に止まっている。しかし、「入院治療等を必要とする者」は5.6倍から8.2倍台に増加した。ただし、「重症者」は4.9倍から2.1倍に、「死亡者」は6.0倍から1.0倍に減少した。《だから》(「重症者」「死亡者」が4月時のように増えていないので)「緊急事態ではない」というのだろう。
 もしそうだとしたら、政府、専門家、マスメディアの面々には「そうした判断」の《根拠》 を示して、きちんと国民に説明する「社会的義務・責任」がある。
・・・などといっても、通じないか。だから国民(私)は、自己責任において「感染・発症」《しない》、「感染・発症」《させない》ことを余儀なくされるのだ。まあ、いいか。どちらにしても、この《コロナ騒ぎ》が収束し始めるのは「夏休みが終わる頃」、すなわち8月15日頃だろうから・・・。ただし、国内の感染を地域別に見ると、愛知県が2.6倍から3.4倍、徳島県が1.6倍から5.0倍、長崎県が4.2倍のまま、熊本県が3.2倍から3.9倍に増えているので、該当地域は、ただちに(そのうちの)「発症者数」「重症者数」を把握して適切な措置を講ずる必要があることはいうまでもない。
(2020.8.2)