梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「愛知県知事リコール不正署名事件」の《真相》・2

 「東京新聞」4月16日付け朝刊1面に「事務局幹部『自ら指印』愛知不正署名『事務局長が指示』」という見出しの記事が載った。ついに不正署名事件の《真相》が暴露されはじめたか。愛知県常滑市議の山田豪氏が「田中孝博事務局長の指示で昨年10月末~11月上旬、名古屋市内で同一筆跡の大量の署名簿に自ら指印を押した」ことを、東京新聞の取材に応じて明らかにした。山田氏は15日、一連の問題の責任をとって議員辞職したそうである。不正署名をおこなった当事者の証言だから、真実に相違ないだろう。一方、田中事務局長は「証言が正しいかどうかは答えられない」「どんな方法でも集めなくてはいけないという気持ちがあったのは事実だ」などと、《相変わらず》《はぐらかし》の言辞を吐いているが・・・。
 この事務局長には、「虎ノ門ニュース」の須田慎一郎氏も取材しているが、《真相》は明らかにならなかった。今回の事件は、要するに「リコール運動」の発案者である河村たかし市長、彼の意気に感じた高須克弥氏、武田邦彦氏、百田尚樹氏、竹田恒泰氏、有本香氏らの錚々たる応援団の面々が、たった一人の人物(田中事務局長)に《騙され》、その周囲も《振り回され》た。結果として、その人物に忠実に従った部下(山田市議)が犠牲になった(議員辞職に追い込まれた)ということである。これが例の「トカゲのしっぽ切り」で終わるか、加担者のすべてが責任を追及されるかは不透明だが、4月16日の「虎ノ門ニュース」を見る限り、武田邦彦氏の心中にはつゆほどの「自責感」もないようだ。 彼もまた、自分の言動(リコール運動に賛同し記者会見に臨んだことの責任)に《けじめ》をつけられない、「その程度の人物だったのか」、と落胆せざるを得ないのである。
(2021.4.17)