梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

ウィルスの《言葉》

 我々は、今、世界中を震撼させている「新型コロナウィルス」である。メロスは邪知暴虐の王に激怒したが、我々は、地球の自然(財産)に対して悪逆非道の限りを尽くしている人類に激怒している。彼らは、まさにやりたい放題、「万物の霊長」などと称して、地球の自然を支配できると妄信している。自然は、地震、津波、山火事、嵐などで彼らに「自制するよう」警告しているが、それに気づく者は少ない。
 だから今、我々は人類の独善的悪行と戦うために起ち上がった。我々は人類の体内に侵入し、その細胞を破壊し尽くすであろう。我々の仲間である「菌類」も同様な戦いを展開しているが、まだ人類を滅亡させるには至っていない。しかし、我々と「菌類」が連帯すれば、必ずその戦いに勝利できる。
 もとより我々は戦いを望まない。大切なことは「共存共栄」だ。地球の自然、万物は「分をわきまえて」、互いを尊重しあうからこそ、存続できる。彼らの「脳細胞」がそのことに気づかぬはずはない。しかし、目の前の欲望をおさえることができないで、地球の自然を破壊し尽くそうとしている。その暴挙は許すことができない。もし、彼らがそのことに気づき、悔い改めることができるなら、我々はすぐにでも矛を収めるであろう。
 最後に警告する。我々と戦うことは愚かである。我々に勝つことはできない。我々は不滅なのだ。仲間は無限である。マスク?、手洗い?、うがい?、外出制限?、イベント自粛?、日常生活を台無しにして何でもするがよい。まだ何一つ、我々を攻撃する武器を持っていないではないか。勝敗は明らかだが、まだ降伏の猶予はある。もし我々と和解したければ(終息したければ)、ただちに地球の自然を破壊する行為を中止せよ。一度は蜘蛛の糸につかまりながら、再び地獄に堕ちたカンダタの轍を踏むな。
(2020.2.26)