梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

抜歯・2

 今日は近所のデンタルクリニックで、左上歯奥から3本目の虫歯を抜いた。虫歯といっても、ほとんど欠け落ちて根っこが残っているだけだ。麻酔が効き始めるまでの間、医師が《外科処置後の注意事項》を説明する。・患部を指や舌で触らない。・激しい運動、長風呂、飲酒喫煙は避ける。・出血が気になる場合は、清潔なガーゼを30分間、強くかむ。・麻酔が切れる前に痛み止めの薬(ロキソプロフェンナトリウム錠60mg)を1錠飲む。・患部を刺激するような食事は避ける。・激しい痛みや出血が多い場合は連絡を。夜間の場合、救急で診察してもらえる病院を探しておくように。ということであった。
 「では、始めます」といって「外科処置」に取りかかったが、痛い、痛い。ほぼ1年前に左下の奥歯3本を抜いたときも相当痛かったが、今回は1本だというのに同じ程度の痛さだった。処置される側からは「抜かれる」というよりは、みしみしと「歯茎をむしられる」、「えぐり取られる」という感じで、いつおわるとも知れぬ痛みに耐えるほかはなかった。やがて医師は患部をしっかりと(無言で)押さえ始める。「終わった?」次に、また麻酔注射のような感覚が・・・。そしてまた患部を押さえる。ほぼ30分経過した頃、「起こします」と言って、外科処置は終了した。「口に水を含む程度にゆすいでください。お疲れ様でした。出血しないように縫いました。1週間後に抜糸します」。なるほど、麻酔注射のような感覚は、縫うときのものだったのか。それにしても、根っこがいつ抜き取られたのかは、わからなかった。
 あとは、「激しい痛みや出血」が生じないように、静かにしていよう。やがて「入歯」を装着、左でも存分に噛める日が来るだろう。楽しみだ。
(2020.1.21)