梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

続・多形紅斑・《もう少しの我慢、・・・》

 昨日の最高気温は10℃以下、まもなく本格的な冬の到来を迎える。気をつけなければならないのは、インフルエンザと高血圧だろうか。インフルエンザ・ワクチンの予防接種は1週間余り前に済ませた。血圧は毎日測定しているが、測るたびに数値が変わるので、どの数値をあてにすればよいか分からない。まさに「いい数字出るまで測る血圧計」(サラリーマン川柳)という心境なのである。(循環器内科の)主治医は先月(10月1日)の定期検診で血圧測定を行い、「145と87、少し高いようですね。家ではどうですか?」と言うので、だいたいの平均値をとって「120台と70台です」と答えると「それならだいじょうぶでしょう」と、当日の最高値には頓着しなかった。だとすれば、1回目の数値が高くても、要するに低い数値が出ていれば「だいじょうぶ」と、勝手に考えて一番低い数値2回の平均を記録することにしている。そんなことでいいのだろうか。
 さて現在は、1週間前から始まった皮膚疾患(多形紅斑)と向き合っている。この症状はほぼ2か月前(9月25日)にも現れ、3日後(9月28日)に大学病院皮膚科を受診した。担当医(女医)は「浮腫性紅斑」という診断で、ステロイド薬「プレドニン」(1日4錠)、「アレロック」(1日3錠)の内服薬と塗り薬(アンテベート軟膏+ヒルドイドソフト軟膏)を処方した。経過は良好で、以後10月1日、11日、18日の通院で終了となった。しかし、ほぼ1か月後、同様の症状が再発したということである。当初の担当医は異動し、新しい担当医に変わったが、それが何と再び、双生児姉妹の女医であったとは・・・。どちらが姉でどちらが妹かはわからない。容貌は「瓜二つ」だが、診断・処方の方法は違っていた。たしかに前回の処方で症状は治まった。しかし再発したということは、「治療が不十分だったから。その原因は病因の究明が行われなかったから」と、今回の担当医が考えたかもしれない。前回は「ひらめき、即効重視」タイプ、今回は「慎重・要因究明」タイプ、双生児でも対照的で興味深い。今回の処方は、まず「アレロック」と塗り薬だけで様子を見、大きな変化がないと判断した後、前回と同じ処方となった。しかも今回は「皮膚生検術」という「おまけ」まで付いた。さらに、(おそらく先輩格であろう)男性医にも症状を観察してもらい、診断を仰ぐ。まさに「石橋を叩いて渡る」手法なのだ。患者の立場からすれば「頼りない」と不安になるか、「謙虚でよい」と安心するか。私は当然、後者だが、それにしてもこの症状と向き合うのはしんどい。とにかく「痒い」のである。昼間、起居している間は、取り紛れているが、夜間、床に就いた直後から、百匹の蚤、千匹の蚊に襲われたような「痒さ」・・・、『掻いちゃだめ!』と言われるが、ではどうすればよいのか。一心不乱に「南無妙法蓮華経」と唱え、堪え忍ぶか。起き上がって、シャワーを浴びるか。痒くなくなるまで掻き続けるか。やはり、《軟膏を塗る》のが一番よいかもしれない。少なくとも塗った後15分間は心地よい。その後、痒みが始まる前に眠ってしまえばよいのだから、と割り切って、1日2回と決められた塗布を、夜間に殖やす。全身に拡がった紅斑を眺めるのも興味深い。初めは文字通り「赤い斑点」(ブツブツ)が現れ、その数を増し、点と点がつながって浮腫となり、赤痣のような面になる。次第に、浮腫が平面になり、赤い色が薄れていく。それが快方の兆しである。
 「皮膚生検術」のおかげで、縫合の抜糸までは入浴禁止。シャワーは可能だが室温をよほど温めないと風邪をひく。とにかく次回の診察は3日後(11月26日)、それまでの辛抱だ。もう少しの我慢・・・。(2019.11.23)