梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

私の《主治医》

 昨晩は「吐き気」「倦怠感」が激しく、夕食も市販の雑炊、カボチャスープだけで済ませ、早々に(17時過ぎ)床に就いた。吐き気はなんとか治まったが、ジンジンと体が火照る感じが続き、血圧は最高140台・最低90台、日付が変わって今日の1時30分頃には最高150台・最低100台まで上昇した。そんな場合、主治医は「朝まで待って、それでも高かったら、外来で受診するように」と言うだろう。だから、モーツアルト(音楽療法)のCDを聴きながら、ただ時間が過ぎるのを待つ。そのうちに、「悪寒」もし始めた。ゾクゾク、ブルブル、震えが止まらない。電気毛布のスイッチを入れ、エアコン(暖房)を28℃に設定し、加湿器を「強」にする。30分ほどで、ようやく震えは治まった。2時台、3時台、4時台は、モーツアルトのCDをかけ続けながら、「今日は大学病院を受診しよう」と心に決め、ただひたすら夜明けを待つ。ただ、少しずつ「体が楽になってきた」と感じはじめ、6時を過ぎてから「一眠り」・・・。目が覚めると、なんと、それまでの「不快感」は消失していた。血圧は最高130台、最低80台だった。今までの「気持ち悪さ」は何だったのだろうか。 駅前病院の内科医に言われて、バイアスピリンは休薬している。前回の主治医の診察では「虫歯の治療程度では休薬しないように」と言われた。今回は「虚血性大腸炎の疑い」のために、1週間休薬することになったが、主治医には無断であった。そのことを確かめなくていいのか・・・。
 虚血性大腸炎の報告をして、休薬の了解を得よう。とりあえず、通常通りの「朝食」を摂り、大学病院に向かう。10時30分到着。たしか、今日(水曜日)は主治医が外来患者の診察する日だと思い、受付で確認すると、診察は午後からだと言う。「問診票に受診の目的を書いてください。主治医に見せて判断を仰ぎます。それまでしばらくお待ちください」。待つこと2時間、看護師が私の名を呼んだ。「お待たせしました。今、先生との連絡が取れました。今日は予約が込んでいるので、診察は夕方になります。お待ちいただくのも大変なので、もし、休薬をしていいかどうかという相談だけでしたら、『1週間程度ならやむを得ない。体調のことについては、火曜日、駅前の病院の方に来てください』とのことでした」。私は「わかりました」ということで、大学病院を退去した。昨日の血圧上昇は何だったのか、訊ねたところで誰にもわからない。(気候の変わり目に起きる体調不良かもしれない)これからもあることだ。どうすればよいかは、自分で考えるほかはない。
 それにしても、私の主治医は忙しい。ほとんどが病棟勤務で手術担当、週半日(水曜日)は(おそらく退院患者の)外来診察、週1日(火曜日)は駅前の病院に出向き一般外来診察というスケジュールだ。「2時間も待たせて診察すらしてくれない」という不満は、私にはない。最小限の力(そうでなければやっていけないだろう)で最大限の効果を上げる「名医」ではないか、と思う。ちなみに、本日の会計(診療費)は不要であった。 
(2019.11.6)