梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

大衆演劇・劇団素描「章劇」(座長・澤村章太郎)

【章劇】(座長・澤村章太郎)〈平成21年3月公演・小岩湯宴ランド〉
 午後1時30分から小岩湯宴ランドで大衆演劇観劇。「章劇」(座長・澤村章太郎)。「劇団紹介」によれば、〈プロフィール 章劇 東京大衆演劇劇場協会所属。 澤村章太郎座長が、平成12(2000)年旗揚げ。澤村章太郎座長と澤村蓮副座長が中心で、和気あいあいとした明るい雰囲気を持っている。本格的な古典芝居から軽妙な現代ものの喜劇まで少人数ながらじっくりみ見せてくれる関東の人気劇団である。座長 澤村章太郎 昭和38(1963)年12月26日生まれ。大阪府出身。血液型A型。他劇団での修行を経て、平成12(2000)年に独立、旗揚げ。誠実でしっとりとした大人のムードを持ちながら、個性的な脇役や三枚目もこなす。歌唱力抜群の実力派。〉とある。また、キャッチフレーズは〈優しく、明るく、渋くキメます! 座長・澤村章太郎の誠実あふれるキャラクターと、副座長・澤村蓮の持つ華やかな個性がよくマッチして、まるで兄弟劇団のような温かい雰囲気を醸し出しています。疲れた心を優しく包み込んでくれる明るい劇団です。〉であった。座員は、右京誠、澤村大地、澤村ダイヤ、澤村雄大、澤村瑞己、澤村七知、特別出演・大門力也といった面々で、芝居の外題は、昼の部「新門辰五郎」、夜の部「笹川の花会」。いずれも大衆演劇の定番、形通りの筋書を、形通りに演じる、まさに「誠実味あふれる舞台」だったと思う。それにしてもこの劇団、座長は大阪府出身、座員の風情も「関西風」なのに、どうして東京大衆演劇劇場協会に所属しているのだろうか。今月、横浜で公演している「春陽座」の舞台と「どこか似ている」。責任者・澤村新吾と澤村章太郎、副座長・澤村かずまと澤村蓮、「血のつながり」はありやなしや・・・?澤村章太郎の姉が南條隆の配偶者、その息子が「スーパー兄弟(龍美麗・南條影虎)」という話も本当だろうか?いずれにせよ、「劇団美鳳」「新演美座」「劇団松」「桂木昇劇団」等、「関東の人気劇団」の中では、やや異色、「関西風」の風情を保っているところが「温かい雰囲気を醸し出す」所以ではないだろうか。
 副座長・澤村連の「女形舞踊」は絶品、清楚・清純な景色が「えもいわれぬ」空気を醸しだし、キャッチフレーズどおり「疲れた心を優しく包み込んでくれる」ことは、間違いない。その魅力を「立ち役」でも描出できればと思うのだが・・・。
(2009.3.10)