梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「両院制」の意味

 「多数決」は民主主義の構成原理だが「多数の専制」を招くおそれもある。そこで「少数意見の尊重」という原則が不可欠となる。日本の国会は、この二つの原理・原則を具現化するために「両院制」(衆議院と参議院)を採っている。衆議院で決まったことが参議院で否とされることもある。それが重なると「ねじれ国会」などといわれ「決められない政治」として揶揄される。だがしかし、である。今、仮に、衆議院でA案が可決されたが参議院では否決されたとする。そのとき大切なことは、A案か、それとも0か、つまりオール・オア・ナッシングという選択に陥らないことである。A案プラス・アルファ(修正案)を模索した方がよい。またA案に対してB案(対案)が出た場合には、A案ブラスB案を踏まえ、両案を超えたC案を創出すればよい。だから「決められない政治」の要因は、国会議員の《質の低さ》(創造力の欠如)にあるのだ。
 衆議院での議論を「多数決」で決めたとしても、参議院では「少数意見の尊重」という原則が貫かれなければならない。そのことを自覚し、具現化しようとしている国会議員(参議院議員)、立候補者が何人いるか。わかりやすく言えば、「多数決」原理に基づくのが衆議院であり、「少数意見を尊重する場」が参議院なのである。「多数意見」にも「誤り」や「欠陥」があるだろう。それらを《個人の立場で》見つけ合い、修正し合い、補い合うことによって、集団(参議院)の《卓見》を生み出すことができるのである。「2019参議院議員選挙」まで1週間、参議院にふさわしい立候補者が見つかるかどうか。(2019.7.14)