梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

脊柱管狭窄症・Ⅵ・治るかもしれない

 「急性心筋梗塞」で緊急手術を受け退院してから9か月が経過した。最近(といっても、ここ数日だが)、体調が「普通」の日が増えてきた。第一に「食欲」が出てきた。第二に足腰の「痛み」(脊柱管狭窄症による座骨神経痛)が軽くなってきた。特に、寝ているとき、あまり痛みを感じなくなってきた。その要因は何だろうか。「食欲」については、「イスクラ開気丸」(漢方薬)の効果が大きいと思う。足腰の痛みは、これまで「絶望的」(手術によらなければ治らない。悪くなる一方)だったのに、「もしかしたら」という一筋の光が見えてきたような気がする。そのきっかけは2冊の本を読んだことに始まる。1冊は『世界的な脊椎外科医が教える やってはいけない「脊柱管狭窄症』の治し方」(白石健著・青春出版社)、他の1冊は『脊柱管狭窄症は99%完治する』(酒井慎太郎・幻冬舎)だ。 
 白石氏がいう「やってはいけない治し方」とは、要するに、①脊椎・脊髄専門の整形外科医の診断(MRI検査など)を仰がないで治療すること、②「自分で治せる」という情報を盲信すること、③「完治する」という情報を盲信すること、④手術は「白石法」(顕微鏡手術)以外を選択すること、である。たしかに、私はこれまで、①福辻鋭記氏のストレッチ、②松平浩氏の「足上げリラックス」(ひざ抱えストレッチ)、③銅冶英雄氏の「痛みナビ体操」などを、思いつくままに試みてきたが、これといった大きな変化(改善)は見られなかった。ただ、白石氏も「とりあえずの痛み止め」として「ひざ抱えストレッチ」や「前屈ストレッチ」などを紹介しているので、あながち的外れな試みだとはいえないかもしれない。大切なことは、ある方法を「盲信しないこと」だということがよくわかった。 そのことを踏まえて、酒井氏の『脊柱管狭窄症は99%完治する』を読んだのだが、実におもしろい。ひとくちに「脊柱管狭窄症」といっても、症状は千差万別であり、ある方法で症状を改善できたとしても、すべての症状に当てはまるわけではない。酒井氏は、その症状を5つのタイプに分類して、それぞれの治療法を提示している。そのタイプとは、①椎間板ヘルニアが強いタイプ、②混合タイプ(半々~多少狭窄症が強いタイプ)、③純粋な脊柱管狭窄症、④脊椎分離症・すべり症が現れている脊柱管狭窄症、⑤変形性股関節症である。そして、どのタイプかを見極めるために、30項目からなるチェックリストも添えている。たとえば、「間欠性跛行」があれば③であり、足のつけ根に痛みがあり痛い側の足を少し引きずる場合には⑤である。①は、前かがみや仰向け、立ち上がるときに痛みが走る、など。私の場合は、MRI検査で①4,5番の椎間板ヘルニア、④第3腰椎すべり症があることが判明している。したがって、①と④の治療法を行えばよいということになる。酒井氏は、まず、どのようなタイプであっても共通してやるべきことは「仙骨関節テニスボール矯正」という方法を紹介する。具体的にはテニスボール2個をガムテープで固定し、それを仙腸関節(仙骨の上部)に当てて1分~3分ほど、(板の間に)仰向けに寝る。そのことで仙腸関節のクッション機能が正常化して、腰椎の負担が解放されるということである。
 「盲信してはいけない」と思いつつ試してみると、なんとその直後から痛みが減ったのには驚いた。「こんなに簡単な方法で?」と、狐につままれた感じだったが、いつまで持続するだろうか。
 仰向けに寝ているときが辛かったので、その痛みが減ることで「もしかしたら、治るかもしれない」という希望が湧いてきた。うれしいことである。「病人」から「老人」へ、着実に脱皮したい。
(2019.4.5)