梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「新元号」(令和)雑感・1

 新元号は「令和」になったそうだ。オソマツ!という他はない。「令」は「命令」の令であり、「令達」の令である。「律令」の「令」であり、「県令」の「令」である。「令夫人」「令嬢」「令兄」のように「よい」「立派な」という意味もあるが、総じて「いいつける」「広く知らしめる」「いましめ」「長(おさ)」といった意味で使われることが多く、どこか冷たい空気が漂う。その証拠に「冷」という字にも「令」が含まれているではないか!「令」という漢字は会意文字であり、上の部分は「集める」または「冠」を表し、下の部分は「ひざまずく人の姿」を表している(象形)。
 新元号を閣議で決めたとすれば、いかにも安倍内閣の好みそうな「上から目線」が感じられ、背筋が寒くなる。「ああ、いやだ、いやだ。平成のうちに死んでおけばよかった」と思う人も多いのではなかろうか。「だが、しかし」である。案ずることはない。元号などという代物は、日本国だけにしか通用しないものだから、堂々と「西暦」を使えばよい。
政府の思惑通り、「令和」が全国津々浦々まで行きわたるまでに多くの時間はかかるまい。老若の善男善女は(一稼ぎしようと)「レイワ、レイワ」と騒ぎ立てるに違いない。でも、私はその熱狂ぶりを「冷ややかに」眺めよう。そして、今日からは元号ではなく「西暦」だけをを使うことにする。(2019.4.1)