梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

江戸川殺人 教諭逮捕から1週間

 殺害容疑で江戸川区の中学教諭が逮捕されてから1週間が経った。しかし、事件の真相は一向に明かされない、教諭自身が黙秘を続けているからである。新聞報道(東京新聞5月17日付け朝刊)によれば、教諭と被害者の「二人にどんな接点があったのか、なかなか見えてこない」と警視庁の捜査幹部が漏らしているそうだ。二人の接点があったのは「通勤路」だった可能性がある。教諭は任意聴取の際、被害者と接触したのは①「今年1月、学校から駅に向かう途中『荷物を運ぶのを手伝ってほしい』と頼まれ家に入った、「土足でいいと言われ、土足で家に入った」「何かにぶつかって鼻血が出た。血のついたマスクは男性に渡した」、②2月にも家に招き入れられた、と説明したという。事実、現場には教諭の土足跡、マスク、眼鏡などの遺留品があった。
 事件の背景として、教諭には多額の借金があり、窃盗目的で被害者宅に侵入した可能性もあるが、なぜ(特別、裕福とも思われない)被害者宅を狙ったのか、捜査幹部にもわからないという。
 教諭が黙秘を続ける限り、彼の容疑は深まるばかりだが、被害者宅から金品が盗まれた形跡もない。依然として真相は「藪の中」だ。唯一、殺害現場に居合わせ、自分も負傷した被害者の母親が存在する。彼女は高齢のため「証言」が不可能ということだが、介護を続けた息子が亡くなった2月以降、どのような生活を送っているのだろうか。彼女とのコミュニケーションができる人物はいないのだろうか。 
 いずれにせよ、この事件の真相を闇に葬り去ることは、許されない。
(2023.5.18)