梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「コロナ禍」の《実相》

 《感染者数》でコロナ禍の現状を表そうとすることは誤りである。厚生労働省がホームページで連日公表している《陽性者数》とは、テレビ、新聞などのメディアがいう《感染者数》に他ならないが、6月4日現在、その累計は17018人に達した。そのうち死者は903人、退院者は14867人だから、1248人が《入院治療等を要する者》(患者)ということになる。《患者数》は、ピーク時(5月4日)で12000人を超えたが、以後、漸減し現在ではその10%程度までに減少した。重症患者も100人程度である。
 したがって、「医療崩壊」の危機はない。つまり、(厚生労働省の数値が事実ならば)「新型コロナウィルス」の感染拡大は終息期を迎えていることはたしかなのである。にもかかわらず、為政者も、メディアも、専門家も「感染者数がゼロにならない」ことを強調して、国民の不安感を払拭しようとしないのはなぜか。専門家の一人が述べたように「感染者が何人いるかは誰にもわからない」のだから、それを数え続けることは無意味だ。要は、《患者数》の方なのだが、「入院、治療等を必要とする」《患者数》がピーク時の10%(1241人)まで減少していることをメディアは採り上げない。なぜか。それではニュースにならないからである。現状が続いた方が、もっと《儲ける》(視聴率、購読料を稼げる)ことができるからである。「第二波が来る。それは第一波よりさらに強力であり、死者数も激増する」などと煽れば、人々は競ってその情報を得ようとするだろう。為政者は為政者、専門家は専門家のそれぞれの思惑、魂胆があってこのコロナ禍を利用しようとしているように、私は感じる。
 とりあえず、今、北海道、首都圏、福岡で《陽性者》が続発している(ゼロにならない)が、そのなかで「入院、治療等を必要としている者」(患者)が何人いるかは(為政者、専門家、メディアが明らかにしないので)不明である、死者数は1日当たり1人~10人程度増え続けている、世界全体の死者数は38.6万人強だが、その数は1月から4月までの日本の死者数全体(約45万人)よりも少ない、それが今回のコロナ禍の《実相》だといえるのではないか。
(2020.6.5)