梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

《夏籠り》記・2

 今日で7月は終わる。6月20日から《夏籠り》に入って1か月余りが過ぎた。今年の梅雨は長引いて、最高気温が30度を超える日は、ここ数日まで皆無であった。だから、籠もる必要は感じられなかったが、目標としたいくつかの課題は達成しつつある。体調面では、少しずつ食欲が回復し、体重の低下は50.5㎏まで、それを下回ることはない。とはいえ、胃部膨満感は持続しており、依然として介護食(流動食)中心の食事である。毎日測る体温(35~36℃)、血圧(120未満~85未満)、脈拍(安静時60台)に異状は見られない。
 この間、映画「彼女と彼」(羽仁進監督・1963年)、「日の果て」(山本薩夫監督・1954年)、「アフリカの女王」(ジョン・ヒューストン監督・1951年)、「洲崎パラダイス赤信号」(川島雄三監督・1956年)、「わが町」(川島雄三監督・1956年)、「赤線地帯」(溝口健二監督・1956年)「女は二度生まれる」(川島雄三監督・1961年)、「好人好日」(渋谷実監督・1961年)、「愚かなる妻」(エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督・1921年)、「グリード」(エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督・1924年)、「しとやかな獣」(川島雄三監督・1962年)、「幕末太陽伝」(川島雄三監督・1957年)、「万引き家族」(是枝裕和監督・2018年)を観た。どの作品もそれぞれに面白かったので、いずれ感想を綴りたい。
 書物では①「宗教学概論」(仁戸田六三郎著・稲門堂・1965年)を読了し、②「法華経の智慧」(池田大作・聖教新聞社・2011年)、③「法華経 現代語訳」(三枝充悳・第三文明社・1978年)、④「恥部の思想」(花田清輝・講談社・1966年)を読み進めている。
 ①では「宗教とは何か」について、わかりやすく述べられていた。現代社会は「科学が尊重・重視される」が、それだけでは解き明かせない問題もある。科学で説明できるのは《客観的な世界》の事柄に限られている。宗教は《主観的な世界》の中で発生する不可思議な事柄を、感情的に解決する。「嫌よ嫌よも好きのうち」「わかっちゃいるけどやめられない」など、理屈では解決できないことを、《実存的に》「折り合いをつける」(信仰する)ところが宗教の本質だ、という説明には反論の余地がない。要するに、宗教は「信じるか、信じないか」を自分で選択し、信じる方を選んだ者だけに存在するということだろう。だから、信じない者が「口を挟む」必要はない。 
 そうした宗教観を前提に、「法華経」の内容を追求したい。それが《夏籠り》のテーマなのである。(2019.7.31)