梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

浜辺のブログ記事

浜辺(ムラゴンブログ全体)
  • 小説・フライトレコード(7)

        喫茶店をでると、カナリヤ色の電車が走り出した。あれはボクだ。ボクにちがいない。センセー。生活について教えてください。知ってしまったことに耐えることではない。愛について教えてください。違うんだよ。愛してなんかいねえよ。愛しています。おかしいなあ。吐き気がするのはコーヒーのせいだ。一時間もすれ... 続きをみる

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  • 小説・「プロローグ・海」(2)

        一時間ばかりたったころでしょうか。窓の景色をながめているはずのK子さんが唄うようにつぶやいたのです。 「春の海ひねもすのたりのたりかな」  そのとたんに汽車がガタンととまって浜辺の駅につきました。ボクが待ちに待っていたそのときに、またもやK子さんのつぶやきによって驚かされ、ボクはオロオロし... 続きをみる

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  • 小説・「プロローグ・海」(1)

        どうやら、あの浜辺に何か忘れものをして来てしまったらしいのです。そしてそれがいったい何であるのかたまらなく確かめたくなって、ボクはその浜辺に引き返すことにしました。その上、その忘れものとそれを確かめにあの浜辺に引き返そうとするボクの「事実」を証明するために、K子さんという大学生に一緒につい... 続きをみる

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