梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「急性心筋梗塞」・《「心臓リハビリ」》

 退院13日目、猛暑の中、「心臓リハビリ」のため通院する。前回(7月11日)は、帰宅後「冷や汗」が出て、体温が33度まで下がって、しばらく上昇しなかった。そのことを、まず看護師、担当医に告げると、「そうでしたか」と首をかしげる。「塩分を制限していたので、脱水症状になったのでは?」と尋ねたが、明確な回答は得られなかった。「では、今日は軽めにやりましょう」ということで、ストレッチと自転車のペダル漕ぎ運動が始まった。看護師や担当医は私に「つきっきり」で、血圧を測ったり、「気分は悪くありませんか」などと尋ねたりする。とりあえず、私は「ええ、だいじょうぶです」と答えるが、確信はない。心電図の波形がモニターに映し出されているので、異状が現れればすぐに中止となるはずだが、異状が現れる方が先か、気分が悪くなる方が先か、専門家にもわからないのだろう。実を言えば、退院後「気分がよい」などということは一時としてなかった。減塩食、断酒、断煙の敢行で「気分はボロボロ」、服薬の副作用もあるのだろう。「吐き気」「息苦しさ」「脱力感」「倦怠感」は常にある。前回はペダル漕ぎを20分間続けたが、今日は10分程度で終了となった。「疲れましたか」「ハイ、疲れました」「血圧を測りましょう。104と72です。低いですね」というと担当医は黙って私の顔を見ている。私も思わず彼の顔を見返すと「大丈夫ですか」と言う。私は噴き出しそうになって「まあ、大丈夫です」と答えた。「もうダメです」というところが本音だが、入院時、救急隊に「大丈夫、歩けます」と言ったが、隊員は「動いてはダメです」と制止した。相手が大丈夫かダメかは(専門家にとって)「様子を見れば」わかることだとすれば、今、担当医は(大丈夫と判断したが)念を押すために「大丈夫ですか」と尋ねたのかもしれない。予定どおり「ストレッチ」を私に指示した。①膝曲げ・腰ひねり、②尻上げ、③ビニール・ボールを使った腰ひねり・脚伸ばし、④タオルを使った前腿筋伸ばし、⑤深呼吸を行い、私の「心臓リハビリ」はほぼ1時間で終わりとなった。
 そう言えば、今日の通院時は、「腰部脊柱管狭窄症」による「間欠跛行」の症状が、かなり軽減していた。ペダル漕ぎの効果が徐々に現れたということか。
 ただ、相当に疲れた。これから猛暑の中を帰宅し、体調が「急変」することはないか。一抹の不安は、常にある。(2018.7.17)