梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「西日本豪雨災害」・《被災者救済の方法》

 〈政府は、西日本を中心とする豪雨災害を「特定非常災害」に指定する方針を固めた。運転免許証の更新で期限延長を認めるなど、被災者の権利や利益の保全を図る。2016年の熊本地震以来となる5件目の指定で、豪雨災害では初めて。17日にも閣議決定する〉(朝日新聞・2018・7・13)そうだが、被災者救済の内容が「権利や利益の保全」と示されているだけで、その方法が明らかにされていない。
 まず第一が「人命の救助」だとすれば、犠牲者の捜索と同時に、生存者の安全を保障しなければならない。高齢者、子ども、障害者、病人など「弱者」の命を徹底して守ることを先決とする。弱者を復旧活動に携わらせてはならない。弱者を「避難所」「仮設住宅」などの不健全・劣悪な環境のもとに置いてはならない。ただちに、ホテル、豪華客船など、被災前の生活レベルを超えた環境を準備するべきである。日本社会に「君臨する」一握りの「富裕層」よ!、今こそ、その私有財産を有効に使う時が来たのだ。弱者の痛手を救い、癒やすために、日常生活(ライフライン)が復旧するまで、別天地で英気を養ってもらえるようなサービスをしたって、罰はあたらない。それでこそ、日本社会の「(心の)豊かさ」が証明されるのだ。
 第二に、復旧に携わる者は、強者でなければならない。自衛隊、消防、警察関係者はもとより、前述した「富裕層」、「先生」と奉られている政治家連中、さらには「公僕」と呼ばれる官僚の中から、心身ともに「屈強」な人々よ!今こそ、立ち上がる時なのだ。
全国から集まる「(心豊かな)ボラティアたち」だけに任せてはならない。今上天皇は、今回の災害を目にして恒例の「静養」を取りやめた。安倍首相も外遊を取りやめたが、、さらに自らの体調(股関節痛?)を理由に、災害地の訪問までも取りやめた。まさに「人間の器」が測られる出来事であった。ふだんから口にしている「国民の生命と財産を守る」ということが、ただ「特定非常災害」の閣議決定だけだとすれば、まことに心貧しい人物だということがわかるのである。
 復旧に携わる「強者」よ!首相の醜態に惑わされることなく、「弱者」のために力を貸してもらいたい。(2018.7.15)