梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「急性心筋梗塞」・《「病は気から」》

 「急性心筋梗塞」で入院10日、退院後10日目を迎えた。自分の体調が良いのか悪いのか、よくわからない。ただ言えることは、「悪い」と思い始めると、確実に「悪くなる」ことはたしかなようである。息苦しい、胸に違和感がある、食欲がない、などなど数え上げればきりがないし、そのことに気持ちを集中させれば、ますます苦しくなる。逆に、「良くなった」と思えば、少しずつ楽になる。自分でできることは、「深呼吸をすること」、「血圧、体温、体重をチェックすること」「こまめに水分補給をすること」「活動の後には必ず休憩・休息をとること」ぐらいだが、それを励行して体力の回復を待つほかはない。健康な時には、考えもしなかったことが次々に起こる。この「考えない」ということも治療の一つかもしれない。まさに「病は気から」ということで、考えてもしょうがないこと、考えるべきではないこと、を「考える」ことによって、病状を悪化させるということが「実感」としてわかるようになった。ネット情報によれば、往年の予備校講師「金ピカ先生」こと佐藤忠志氏(67歳)は「脳梗塞を2度やりました。あと、心筋梗塞も。最初の時は3時間の開頭手術でした。脳外科の教授が私の教え子で、先生を殺しちゃいけないと思って、メス、震えましたって。心筋梗塞ではステントいれました」と語り、現在「引きこもり状態」だが、ビールは飲み放題、タバコは喫い放題の「自暴自棄」のくらしを続けているという。自殺行為に他ならないが、愛妻、愛犬とは別居、もはや「失うものは何もない」という境地に達しているのだろう。「どうだ、おまえも真似してみたら」という声が聞こえる。しかし、まだ修行が足りない、せいぜい、ノンアルコールのビール、ニコチン・タール0mgの電子タバコで「お茶を濁す」ほかはない。まことに見苦しい生き様で「老醜の極み」、我ながら情けない気持ちをかみしめている。
(2018.7.14)