梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「急性心筋梗塞」・《退院はしたけれど》

 「急性心筋梗塞」による入院・手術・治療を終え退院、3日目になるが、私の生活は入院前の状態には戻らない。それはよいことで、もし戻れば、ただちに「再発」の危機に見舞われるということであろう。つまり、私は以前の生活を全面的に改めなければならない。
「急性心筋梗塞」の原因としては、①高血圧、②動脈硬化、③血液の凝固、④塩分摂取、⑤運動不足などが挙げられているが、素人の私にはそれらの「因果関係」がどのようになるのか、理解できない。医師から処方された薬をみると、①バイアスピリン錠100mg(血液をサラサラにして血液の流れを改善し、血栓ができるのを予防する。副作用として胃炎、胃部不快感の症状があらわれることがある)、②エフィエント錠3.75mg(血を固まりにくく血液の流れをよくし、血栓ができるのをおさえる。副作用として皮下出血、鼻出血、血尿などの症状があらわれることがある)、③アトルバスタチン錠5mg(血液中のコレステロールの量を下げる。副作用として肝機能検査値の変動、胃部不快感、かゆみなどの症状があらわれることがある)、④ランソプラゾールOD錠15mg(胃酸の分泌を強くおさえる。副作用として肝機能検査値の変動、便秘、下痢などの症状があらわれることがある)、⑤エナラプリルマレイン酸塩錠5mg(血圧を下げる。副作用としてから咳、めまい、血液中のカリウム値の上昇などの症状があらわれることがある)、⑥カルベジロール錠2.5mg(心臓の過剰な働きをおさえて心臓の負担を軽くする。副作用としてめまい、動悸、脈がゆっくりになるなどの症状があらわれることがある)、⑦フロセミド錠20mg(尿を出しやすくしてむくみを取り除き、血圧を下げる。副作用としてめまい、ふらつきがあらわれることがある。また血液中のカリウム値の低下、吐き気、尿酸値の上昇などの症状があらわれることがある)、とある。効能は主として、血液の状態をよくすること、血圧を下げることに集約されると思われるので、医師としては血液の凝固を防ぐこと、血圧を下げることを「絶対的な目標」にしていることが推察できる。なるほど、私は昨年10月から「高血圧」の服薬治療を続けてきたが、入院前の値は最高血圧140~150台、最低血圧80~90台であったのに比べて、退院後の3日間は最高血圧120~130台、最低血圧70~80台に下降している。私の生活における客観的な「数値の変化」だと思う。また、私の両腕には「皮下出血」が現れている。これも血液をサラサラにする薬(②)の効果の証であろう。しかし、それ(服薬)だけでは「再発」は防げない。おそらく、動脈硬化、高血圧を防ぐためには「断煙」「減塩」「断酒」を《敢行》しなければならない。それが「死ぬより(ほど)辛い」などと、いい年をして甘ったれてはいけないのである。「これまで、おまえは、もう十分に享楽生活を楽しんできた。そのツケが回ってきたのだから、今は、いさぎよく責めを負うべきである」と思わなければならない。要するに《あきらめること》が肝腎である。いっさいの享楽(俗情)と訣別し、これから何をするのか、そのことが今、私に問われているのである。(2018.7.7)