梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「自閉症児」の育て方(12) まとめ

12 「自閉症児」の育て方・10・《まとめ》
 「2 基本的な考え方」で述べたように、「自閉症」の《本態》は「人に関する関心・反応が乏しい」という一点に絞られる。したがって、「自閉症児」の《育て方》も、その一点、すなわち「人に対する関心・反応」をどのように芽生えさせ、拡げ、深めるか、ということに「特化」されなければならない。そして、その方法は、「泣き声で人を呼ぶこと」を起点として、「笑顔」、「表情」、「声」、「物」「動作」などを媒体とした、様々な「やりとり」(交信)を、活発・頻繁に「行い続けること」である。
 子どもの発達には、他に「運動」「食事」「排泄」「認識」「言語」といった領域があるが、それらは、すべてこの「やりとり」を基盤としていなければならない。「自閉症児」(と呼ばれる子ども)の発達には「歪み」「偏り」があるといわれるが、それはこの「やりとり」が「不十分」なまま、他の領域の「学習」が「始まってしまった」結果である。 また、この「やりとり」は、生後まもなくから始まり、早くて1年、遅くとも3年頃までには成立・形成される。言い換えれば、「人に対する関心・反応」を育てるには、「1~3年しかかからない」「3年あれば十分である」ということである。子どもが何歳であっても、たとえ成人であっても、この「やりとり」の段階に立ち戻り、そこから親子の「やりとり」(かかわり)を《再構築》することが肝要である。(2015.1.16)