梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「脊柱管狭窄症」・Ⅱ・再診

 午前9時過ぎ、自宅近くまで来る○○中央病院の送迎バスに乗車、整形外科を受診する。バスは迂回に迂回を重ね、9時50分に病院到着、受付を済ませるとただちに脊柱のレントゲン撮影。それを済ませて診療室の前で待機。1時間ほどすると看護師が来て「腰部のレントゲンも撮ってきてください」。再びレントゲン室へ、待つこと30分。腰部8枚を撮影後、またまた診察室前で待機。初めは大勢いた患者も一人減り、二人減り、残り4~5人ほどになったころ(12時20分頃、つまり受付から2時間30分後)ようやく名前を呼ばれ診察室に招かれたが、入室すると、そこに担当医の姿はない。医師は隣の部屋と掛け持ちで診察しているようだ。待つこと10分、あわただしく医師が駆け込んできた。
「やあ、お待たせしてすみません。・・・えっ?この前来られたのは半年前以上前ですか?どうしていましたか?」「はい、昨年受診して10日後に心筋梗塞になりまして・・・」。医師は電気に打たれたように「えっ・・・?」と驚き、ちっとも知らなかったという表情を見せた。昨年7月、退院後、MRI検査のキャンセルを受付や技師に伝えたが、その情報は担当医にまでは届かなかったようだ。「そうですか、それは大変でしたね。それじゃあ、腰痛どころではなかったでしょう」と如才ない。「不思議なことに、退院後は足腰の痛みが消えて、長時間歩けるようになったんです」「なるほど。あまり動き回るようなことがなかったからでしょう」「心臓リハビリで1日5000歩以上歩くようにと言われ、歩いていましたが、今年の1月中旬からまた足腰が痛んで歩けなくなりました」「そうですか」「やっぱり、歩きすぎたのがいけなかったのでしょうか」。医師は私の顔を見つめなおし「いえ、それは違います。人間は歩けなくなったらおしまいです。あなたの腰が悪かったからです」。なるほど・・・。腰が悪いから歩けなくなる、だから腰を治すことが先決だということになる。妙に納得してしまったが、それでは腰が悪くなる原因は何だろうか。医師はそんなことは考えない。発想の出発点は、あくまで「病気に罹ったこと」が原因だということがわかった。さもありなん、医師は病人を相手にしているのだから、初めに病気がなければ何事も始まらない、ということだろう。
 そこで、その病気がどのようなものかを詳細に把握するためにMRI検査を実施するということになり、今日の診察は終わりとなった。診察時間約10分。待ち時間2時間30分。それでもこの担当医を受診するためには3時間以上待つことがあたりまえと言われているので、私は「運がよかった」と思わなければならない。
 MRI検査は3月12日、次回受診日は3月18日に決まった。ずいぶん先の話だが、「事態は切迫していない」と楽観して、痛み軽減の手立て(手当て)を自分なりに講じなければならない、ということである。(2019.2.22)