梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「急性心筋梗塞」体験記・7・《退院》

 私は「急性心筋梗塞」の危機から辛くも脱し、昨日、無事退院することができた。退院に際して、循環器内科部長から「今回、どうしてこのようなことになったのか」、これまでの生活を振り返って、その原因について考えてみるよう、助言を受けた。まことに、もっともな御指摘で、さっそく、そのことについて考えてみたい。そのためには、事の経過を逆に辿ってみることが大切だろう。「何の前触れもなしに」というのが実感だが、実はそうではない。私は3ヶ月前(今年3月中旬)から直前まで、「腰部脊柱管狭窄症」のため、100歩以上は歩き続けることができなかった(間欠跛行)。運動不足は否めない。血液や血流に問題が生じていたことは明かである。さらに、8ヶ月前(昨年10月中旬)から「高血圧症」の治療(服薬)を続けていた。医師からは「血圧手帳」を渡され、毎日朝晩の2回、血圧を測定していた。当初は平均すると最高血圧150~160台、最低血圧90~100台だったが、最近では最高血圧140~150台、最低血圧80~90台までに下がっていた。手帳の冒頭には「高血圧 生活のポイント」として、①食事は「塩分控えめに」、②嗜好品「まずは禁煙を」「アルコールは、日本酒なら1日1合」、③運動「有酸素運動を定期的に」ということが示されていたにもかかわらず、私は血圧の数値だけに注目して、それらのポイントを「無視」し続けてきた。要するに、食べたいものを食べ、タバコは1日10本から15本程度、吸い続けてきたのである。特に、昨年7月末から、今流行の「加熱式タバコ」を購入、これまでの「紙巻きタバコ」と併用してきた。加熱タバコの場合、紙巻きタバコにくらべてタールの量は0になるが、ニコチンの量は倍増(おそらく10倍?)する。つまり、この1年間、体内に入るニコチンの量が増え続けていたということはたしかだろう。素人考えでは、紙巻きタバコのタールは肺を汚すが、加熱式タバコのニコチンは血液を汚す。
 以上、①1年前からの「加熱式タバコ」によるニコチン吸入の《増加》、②「高血圧症」治療における《塩分制限》の無視、③「腰部脊柱管狭窄症」が招いた《運動不足》が、今回の「急性心筋梗塞」の誘因・原因ではないだろうか、と考えた。したがって、私は今後、まず「断煙」「減塩」を敢行し、「腰部脊柱管狭窄症(神経根型)」の治療に専念することを課題として生活しなければならない。
 とはいえ、それはこれまでの生活を「全否定」することであり、はたしてそんな「メリハリのない」「味気ない」日常に耐えられるかどうか。そのことが今、私に問われているのである。たしか10年前(2008年)、「断煙」に挑戦し、1年間続けられた経験がある。しかし、その経験は活かせないだろう。失敗に終わったのだから・・・。
(2018.7.5)