梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「ここまでわかった新型コロナ」(上久保靖彦、小川榮太郎・WAC・2020年)要約・19・《■免疫があれば発症しても重症化しない》

■免疫があれば発症しても重症化しない
【小川】例えば、エボラウィルスが体内に入ると、強烈なサイトカインストームを起こす。すごい出血をして、瞬間に死ぬ。これはウィルスそのものの毒性が強いから。
【上久保】毒性が強い。でも免疫を持っている人は、そのウィルスに当たっても、何にも起こらない。エボラでもそうだ。その免疫を持っていたら、ほぼ何も起こらない。だからどんなに強いものが来ても、免疫を持っていたら大丈夫だ。
【小川】今回なかなかパニックが収まらない理由の一つは、死者が1000人で、平均79歳位、マイナーな疾病として収まったけれどアメリカ、イタリア、スペインでは、極端な死亡者がでたという事実が一方にある。そうすると普通のコロナに比べて、毒性が大変強いのではないか、免疫不全を起こすのではないか、抗体がすぐ消えるのではないか、などという議論があった。アメリカでは、ひどいときのインフルエンザの倍以上亡くなった。
【上久保】でも反対に言うと、実はそれだけで収束している。マクロで見れば、アメリアの人口は3億2500万人だからコロナの死亡者は2000人に1人位だ。大騒ぎになっているけど、数値としてはパニックを生じるような桁違いの死者数ではない。ニューヨークなど、恐怖を煽る映像の数々が出た。
【小川】日本では年間の死亡者数が昨年で138万人位だから、10万人以上が毎月亡くなる。日本人全体としては、コロナ禍は半年以上続いているから、だいたい70万人亡くなっているはずだが、コロナは1000人だ。
【上久保】非常に稀な死因と言える。日本ではインフルエンザに年間1000万人罹っている。ワクチンを打って、タミフルを飲んで、それでも例年3000人位亡くなる。
【小川】世界でのインフルエンザでの死者は、年間29万人~64万人(米CDC)、民間機関の推計値では50万人~100万人程度とされていた。今回コロナで現時点で80万人が亡くなっている。しかし、これは水増しの数値だろう。日本でも厚労省が6月18日にPCR陽性者は他の死因であっても全部コロナで死亡と数えるように通知している。某大学病院では8月上旬の新型コロナ重症者の内訳は、体重150キロの人、90歳の人、末期がんの人、いずれも別の疾病に分類されるべきだろう。これはWHOの通達と関係があるので、世界中で片っ端から新型コロナを死因に勘定しているはずだ。大きな水増しがこれから明らかになってゆくと思う。そうすると実態においては、世界でも実はインフルエンザと同規模で収束した事になるかもしれない。
【上久保】その通りだ。
【小川】インフルエンザにおいて、集団免疫というのは、どう機能しているか。
【上久保】インフルエンザは症状が強いので、集団免疫という考え方ではない。集団免疫というと全員罹っているように聞こえるが、例年大体、1000万人ディテクト(探知)している。インフルエンザ・キットで陽性とわかる。
【小川】コロナウィルスに対しては、日本人は集団免疫を絶えず再生し続けている。しかし、大きな変異があると例年より被害が拡大する。今回の新型コロナウィルスでも日本人は順調に集団免疫を獲得できたから、殆ど重症化しないのだということになる。
【上久保】そうだ。


【感想】
・2020年8月の時点で、コロナの死者は世界で約80万
人だった。2021年2月4日現在では226万5559人、この半年で2.8倍に増加した。ほぼ1か月あたり25万人ほどの死者が出ていることになる。「数値としてはパニックを生じるような桁違いの死者数」であるかどうか、私にはわからないが、世界の感染者数は1億433万3878人だから、致死率は2.1%だということはわかる。
・では、インフルエンザの感染者数、死者数は、《現在》どうなのか。国内では、感染者は極端に少なく、例年の0.1%程度ということだ。当然、死者も激減するだろう。
・コロナの死者数は2月5日現在6135人、10か月前の4月5日は84人だったから、これまで1か月あたり605人ずつ増加した計算になる。インフルエンザの死者数は例年約3000人だから、コロナによってインフルエンザの死者数が抑えられているともいえるだろう。いずれにせよ、「パニックを生じるような桁違いの死者数」ではないようだ。
(2021.2.7)