梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「コロナ死者過去最多」

「東京新聞」1月13日付け朝刊1面のトップ記事の見出しは「コロナ死者過去最多 なぜ更新」「『未把握の感染者』増影響」「専門家『第7波超えている』「死者の高齢化強まる 都内、97%が60代以上」「ワクチン接種伸び悩みも一因」であった。
 その内容は要するに、①(現在、第8波の渦中にあるが)死者数は第7波を超え最多である、②その原因は、「未把握の感染者」数が増えているからである。「若者など重症化リスクが低い人は医師らによる発生届けの対象外となり、自治体の陽性者登録センターなどに自分で登録することになった」ので、未把握の感染者が増えているだろう。感染者数が増えれば、死者数が増えるのは当然だ。③死者はほとんどが60歳代以上の高齢者である。④ワクチン接種が伸び悩んでいることも、死者数が増えている一因として考えられる、ということである。
 したがって、「現在、感染力の非常に強いオミクロン株が押し寄せており、高齢者の死者が増え続けている」ということはわかった。最も気をつけなければならないのは、私たち高齢者なのだが、では、どんなことに気をつけるべきなのか、「感染しないように防ぐべき」なのか、それとも、感染はやむを得ないので「ワクチンを接種して重症化を防ぐべき」なのか。これまでに死亡した高齢者は「ワクチンを接種していなかったのか」、それとも「ワクチンを接種していた《にもかかわらず》死亡したのか」という一点が重要になるだろう。しかし、そのことに関する記述は、上の記事には見当たらない。「元々の持病の状態が悪かった高齢者が、コロナ感染によるダメージで一押しされて亡くなっている」(埼玉医科大総合医療センター・岡秀昭教授)という記述はあるが、そのような見解は第1波の時から、すでに明らかにされていることだ。
 コロナの感染拡大は第8波に及んでいるが、その経過の中で専門家が明らかにできたことは、残念ながら「何一つなかった」ということが露呈されている。《今後どうすればよいか》、誰にもわからないままに、時間だけが過ぎていくのか
(2023.1.13)