梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

トランプ大統領の《常軌》

 世界からの注目を浴びる中、アメリカのトランプ大統領は「新型コロナウィルス感染症」による入院、わずか4日間(10月2日~5日)で退院した。「陽性者は2週間隔離しなければならない」というルールを無視した行動で、専門家からは「常軌を逸している」と非難されているようだ。しかし、トランプ氏は「どこ吹く風」で「コロナを恐れるな」と表明して選挙活動を再開する。むしろ、ロックダウン、ステイホーム、出入国制限といった予防策の方が「常軌を逸している」のだ。だから、今後、自分がスーパースプレッダーとなって感染を広げたとしても、もともと「コロナはただの風邪」なのだから、恐れることはない、ということになるのだろう。見上げた根性だ。世界中が戦々恐々としている中で、身を賭して、コロナと戦う姿は素晴らしい。ぜひとも、その勇姿、その心意気、その信念を「世界に広げて」もらいたい。今、「大統領」などといったポストに拘るのは、度量が狭い、狭すぎる。人類のリーダー、世界の救世主として、「コロナを恐れるな」と叫び、行動することが肝要だ。
 「コロナはただの風邪に過ぎない。その証拠に、自分は4日間の入院治療で快癒し、通常の生活に戻れた。だから、感染しても恐れるな。自分のようにレムデシベル、デキサメタゾン、「REGN―COV2」(抗体カクテル)を投与すればよいのだ。世界は目を覚ませ!必要以上に恐れることで、感染被害は逆に拡大する。今日からは、感染者数をカウントすることを止めよう。死者数を数えることもやめよう。マスクも外そう。あたりまえの生活を、あたりまえに行おう。それがコロナに勝つための唯一の方法なのである!」
 そのようなトランプ氏の演説を、私は期待したい。
(2020.10.6)