梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

私の《体調管理》・3

 今日は循環器内科の受診日である。6週間分の内服薬の受け取りと、3月23日~24日に行った「ホルター心電図検査」の結果を聞くために、駅前の病院に赴いた。電車に乗るのも、その時以来、ほぼ1か月ぶりである。(街中の)人の混み具合はこれまでと変わらないが、病院の様子は一変していた。いつもの玄関には「発熱、せき、たんのある患者専用」という張り紙がしてあり、それ以外は夜間・救急用の出入り口を使うようにと、矢印で示されていた。そちらに向かい、病院内に入ったが、やたらと衝立があって、ようやくいつもの受付に辿りついたが、事務員が「今日はどうなさいましたか」というので、診察券を見せ「薬をもらいに来ました」というと、「熱はありませんか」と尋ねる。「ありません」と答えると、ではいっぺん外に出て、夜間・救急用の出入り口から入り直してください」だと・・・。どうやら、経路を間違えてしまったようだ。やむなく、いつもの玄関から出て、再度、別の出入り口から入り直し、衝立の脇を右折(迂回)して、今度は間違いなく内科の受付に辿りついた。ソファには隣の人と間隔を開けるようにという張り紙が貼られており、熱・せき・たんのある患者用の待合場所とは衝立で区切られていた。患者に接する看護師の防護装置もものものしい。ゴーグルにマスク、顔の前には透明の幕が下りている。なるほど、今では病院が最も危険な場所になっていることを痛感した。
 待つこと30分、名前を呼ばれて診察室に入る。主治医は「ホルター心電図」の結果を見ながら「どこにも異状はありませんでした。不整脈は見られないので、めまいや立ちくらみの原因は循環器系の疾患ではないと思います。もし同じ症状が現れたら、脳神経外科を受診して、MRI検査を受けてください」ということであった。そういえば、この頃は「コロナ騒ぎ」のためか、その症状は治まっているようだ。
 かくて、循環器系の疾患(心臓病)はない、ということが明らかになった。とはいえ、体調が回復したわけではない。食欲不振(逆流性食道炎・胃腸炎)は相変わらず、肋間神経痛、後鼻漏の息苦しさも毎日だ。今後も辛抱強く「つきあっていこう」と覚悟した。
 さて、当面は「新型コロナウィルス」にどう向き合うか。まずPCR検査の有無にかかわらず、「自分は陽性だ」と断定し、2週間は「自分を隔離する」(人との接触を8割断つ)。その潜伏期間に症状が出なければ、「自分は無症状のまま快復した」と考え、自分に対して「終息」を宣言する。感染のおそれがなくなるので、外出自粛は不用になるが、念のため、世間の動きに従い様子を見る。もし症状が出た場合、安易に病院を頼らない。まず自力で治すよう努める。専門医でも治療法がわからないのだから、重篤になるまでは解熱剤、感冒薬を頼りにし、後は自分の「生命力」にかける他はない。患者が病院に殺到し、院内感染による医療崩壊だけは防がなければならないからである。
 2週間後は5月5日、受け取った内服薬は6週間分(6月2日まで)、「巣ごもり」か「籠城」か。人間は動物だから(マグロのように)動き回らなければ死ぬだろう。だが、幸か不幸か、今ではもう自由に動き回れない。そのことが吉と出るか、凶と出るか。夏が来る頃、結果が出るのが楽しみだ。
(2020.4.21)