梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型コロナウィルス感染・《幽霊の正体見たり枯れ尾花》

 今から9年前、東日本は大地震に見舞われたが、現在の日本全域は「前例のない疫病」が蔓延している。「天災は忘れた頃にやって来る」といわれるが、今回の疫病は天災か、それとも人災か。  
 昨日(10日)の「東京新聞朝刊」に載った《新型コロナウィルス感染者が多い国・地域》というタイトルの表で、各国の死者数(致死率=死者数÷感染者数)を計算すると、以下のとおりである。
■中国3119人(3.8%) ■韓国53人(0.7%) ■イタリア366人(4.9%) ■イラン194人(2.9%) ■日本16人(1.3%) ■フランス19人(1.6%) ■ドイツ1人(0.08%) ■スペイン25人(2.7%) ■米国22人(4.0%) ■スイス2人(0.7%) ■英国3人(1.0%) ■オランダ3人(1.1%)
 新型コロナウィルス感染による致死率は2%といわれている。それを超えている国がイタリア、米国、中国、スペインで、以下に抑えられている国が、ドイツ、韓国、スイス、英国、オランダ、フランスだ。
 日本は死者数16人、致死率1.3%でその数値が「高い」とはいえない。
 また、2009年の新型インフルエンザによる死者数は203人であった。厚生労働省のホームページでは以下のように述べられている。「発生後、一年余で約2千万人が罹患したと推計されましたが、入院患者数は約1.8万人、死亡者は203人であり、死亡率は0.16(人口10万対)と、諸外国と比較して低い水準にとどまりました。」
 通常のインフルエンザでも、《なんと1日50人以上「インフル死者」が日本で急増する不気味 》(「プレジデント オンライン)などというネット記事もある。
 《だから》日本の現況は、これまでと比べても、また世界と比べても《深刻な状況》とはいえない。にもかかわらず、国民の9割はマスクを着用し、「感染するかもしれない」「肺炎になるかもしれない」「死ぬかもしれない」という不安・恐怖におびえている。そればかりか、マスクとは無関係のトイレットペーパー、ティッシュペーパー、さらには食料品の米まで、町の店頭から消えてしまった。今や、疫病よりも生活物資の不足の方が深刻になりつつあるのだ。専門家が、「感染者の8割が軽快する」と証言しているのに、なぜこの不安・恐怖が払拭されないのか。国民の集団心理を巧みに利用して、莫大な利益を上げようとしている連中が暗躍しているからである。政府は、そのことを「知りすぎるほど」知っているのに、彼らの思うまま、彼らの自由を許している。なぜなら、日本は「自由主義」だからである。政府は彼らの存在によって成り立っているからである。
 国民はそんな政府を「あてにしては」いけない。自分たちの生活は自分たちで守るほかはない。
 専門家の言うように、まずマスクを外そう。マスクでは感染を防げない。マスクの代わりに《手を洗おう》。何回でも、何十回でも手を洗おう。手で目や鼻や口を触るのをやめよう。マスクを買うのをやめて、本当に必要な人たちに提供しよう。日常生活に必要な物資を「買いだめ」することは控えよう。不足して困窮している人を助けよう。
 これ以上の「感染」を防ぐために何より大切なことは「不安・恐怖感」を減らすことだ、と私は思う。不安が拡大すれば感染も拡大する。「病は気から」「幽霊の正体見たり枯れ尾花」といった古人の教えを学びたい。
 終息を目指すのは、私たち国民の一人一人でなければならない。今後2週間、マスクを外す人が増えていけばいくほど、感染は終息に向かうはずである。
(2020.3.11)