梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「旧約聖書」通読・《出エジプト記》・第2章

■第2章
・さて、レピの家のひとりの人が、行ってレピの娘をめとった。女はみごもって、男の子を産んだが、その麗しいのを見て、三月のあいだ隠していた。しかし隠しきれなくなったのでmパピルスで編んだかごを取り、それにアスファルトと樹脂を塗って、子をその中に入れ、これをナイル川の岸の葦の中においた。その姉は、彼がどうされるかを知ろうと、遠く離れて立っていた。ときにパロの娘が身を洗おうと、川に降りてきた。侍女たちは川べを歩いていたが、彼女は葦の中にかごのあるのを見て、つかえめをやり、それを取ってこさせ、あけて見ると子供がいた。見よ、幼な子は泣いていた。彼女はかわいそうに思って言った。「これはヘブルびとの子供です」。そのとき幼な子の姉はパロの娘に言った。「わたしが行ってヘブルの女のうちから、あなたのために、この子に乳を飲ませるうばを呼んでまいりましょうか」。パロの娘が「行ってきてください」というと、少女は行ってその子の母を呼んできた。パロの娘は彼女に言った。「この子を連れて行って、わたしに代わり、乳を飲ませてください。わたしはその報酬をさしあげます」。女はその子を引き取って、これに乳を与えた。その子が成長したので、彼女はこれをパロの娘のところに連れて行った。そして彼はその子となった。彼女はその名をモーセと名づけて言った。「水の中からわたしが引き出したからです」。
・モーセが成長して後、ある日のこと、同胞のところに出て行って、そのはげしい労役を見た。彼はひとりのエジプトびとが、同胞のひとりであるヘブルびとを打つのを見たので左右を見まわし、人のいないのを見て、そのエジプトびとを打ち殺し、これを砂の中に隠した。次の日また出て行って、ふたりのヘブルびとが互いの争っているのを見、悪い方の男に言った。「あなたはなぜ、あなたの友を打つのですか」。彼は言った。「だれがあなたをわれれのつかさ、裁判人としたのですか。エジプトびとを殺したように、わたしを殺そうと思うのですか」。モーセは恐れた。そしてあの事がきっと知れたのだと思った。パロはこのことを聞いて、モーセを殺そうとした。
・しかしモーセはパロの前をのがれて、ミデヤンの地に行き、井戸のかたわらに座していた。さて、ミデヤンの祭司7人の娘があった。彼女たちはきて水をくみ、水槽にみたして父の羊の群れに飲ませようとしたが、羊飼いたちがきて彼女らを追い払ったので、モーセは立ち上がって彼女たちを助け、その羊の群れに水を飲ませた。彼女たちが父リウエルの所に帰った時、父は言った。「きょうは、どうして、こんなに早く帰ってきたのか」。彼女たちは言った。「ひとりのエジプトびとが、わたしたちを羊飼いの手から助け出し、そのうえ、水をたくさんくんで、羊の群れに飲ませてくれたのです」。彼は娘たちに言った。「そのかたはどこにおられるか。なぜそのかたをおいてきたのか。呼んできて、食事をさしあげなさい」。モーセがこの人と共におることを好んだので、彼は娘のチッポラを妻としてモーセに与えた。彼女が男の子を産んだので、モーセはその名をゲルショムと名づけた。「わたしは外国に寄留者となっている」と言ったからである。
・多くの日を経て、エジプトの王は死んだ。イスラエルの人々は、その苦役の務めのゆえにうめき、また叫んだが、その苦役のゆえの叫びは神に届いた。神は彼らのうめきを聞き、神はアブラハム、イサク、ヤコブとの契約を覚え、イスラエルの人々を顧み、神は彼らをしろしめされた。
(2022.12.25)