梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

警察の責任

 埼玉県飯能市で起きた殺害事件について報道されているが、容疑者が供述を拒否しているため、その全容がわからない。12月25日午前7時頃、飯能市の住宅街に住む米国籍の夫(69歳)とその妻(68歳)、さらに長女(32歳)の3人が、容疑者(40歳)に撲殺された。どうしてそんなことが起きたのか。県警によると、容疑者は1年前、被害者宅の車などへの器物損壊容疑で3回逮捕されているという。周辺で同様な被害は確認されていないことから、容疑者と被害者の間に「特別な関係」があったことが推測できる。また、容疑者の自宅は被害者宅と同じ地域にあり、いわば「住民同士のトラブル」であったことは間違いない。容疑者は被害者に対して「恨み」があったのだろう。しかし、早朝に、3人までも「撲殺」するという行為は尋常ではない。安部元首相を殺害した犯人も40歳台であったが、いずれも「男盛り」のエネルギーをどこに向ければよいか、その対象を見誤ったというほかはない。「不惑」という言葉は死語になったか。
 警察は1年前、器物損壊容疑で容疑者を3回逮捕したが、いずれも不起訴にした。そのことが、今回の事件の誘因になったのかもしれない。「もし起訴していれば・・・」、容疑者と被害者の「対立」は裁判(話し合い)で決着がついたかもしれないではないか。そう考えると、「平和な社会を守るべき」警察の責任は、限りなく重いのである。
(2022.12.29)