梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

「小1女児行方不明」の《謎》

 9月23日から行方不明になっていた小学校1年の女児は、10月4日、遺体で発見された。事故か、事件か、まだ真相は明らかにされていないが、女児の家族は、以下のようなコメントを発表した。


〈さやは小さい頃から食べられる物が少ない子でした。給食を食べることも大好きでしたが、家では好物の白ごはんと少しのおかずばかりを食べていました。言葉もほかの子に比べたら少ししか知りません。しかしさやは本当に邪気のない、たまらなく可愛い女の子です。さやは自分なりに自分が生まれてきたこの世界のしくみを理解し、さまざまな物に少しずつ触れるようになり、またさまざまな人と接していく中で時に私共を笑わせたり、時に慰めたりしてくれました。さやは、小学校に通い始めて、まだ半年も経っていませんでした。大好きな電車ももっと乗りたかったでしょうし、車だっていつか運転したかったでしょう。行ったことがない場所、食べたことのないもの、見たことのない景色がたくさんありました。


さや、あなたがいなくなってから、たくさんの方々が何日もの間、眠れぬ夜にも私たちと一緒にあなたを探してくれました。行方不明になった日から2週間が経とうとしたとき、あなたが海に近い河口付近まで戻ってきてくれたと聞いた時は、家族の誰もが奇跡だと思いました。一度海に出たら、もう二度と会えることはないかもしれない、と覚悟を決めていたからです。


今回の発表を受けて、私共家族一同から、さやのためにご尽力いただいた皆様に心より感謝を申し上げたいです。ご自身の日常生活を投げ打ってでもさやの捜索に最大限にお力を貸してくださった方々や、私共の見えないところで心を痛め、さやの無事を祈ってくれた方々に、私共は本当に支えられました。懸命な捜索にあたってくださり、未だに残る疑問点を今も尚捜査してくださっている警察の方々、力強く細やかなサポートをしてくださった市の職員の方々、そして数えきれないほどの民間ボランティアの方々に、皆様のお心遣いに心から感謝を申し上げます。


松戸市のみならず、隣接する市にも強固な協力体制をしいてさやの捜索に全力を注ぎ、激務の合間を縫って私共を訪ね何度も温かいお言葉をかけてくださった本郷谷市長には、家族一同、深く感謝申し上げます。


どうか、これから私共家族がさやを無事に見送り、時に振り返りながら日々を少しずつ前に進めてゆけるように、皆様にはそっと見守っていただきたいです。


改めまして、たくさんの心温まるご声援とお力添えに心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。〉


 これまで、この件についての報道では「不明部分」が多く、謎に包まれていたが、このコメントを読むと、少しその謎が解けたような気がする。女児は、「言葉もほかの子に比べたら少ししか知りません」ということで、小学校1年生としては「幼い」かもしれない。だとすれば、親との約束を無視して「単独行動」に走った可能性もある。「多動」「衝動」といった行動特徴があるかも知れない。 
 またコメントは「家族一同」という名で発信されているが、その家族とはどのような家族なのだろうか。住所、両親の氏名も明らかにされておらず、女児の氏名だけが公表されている。それが「家族一同」の願いならば、当然の扱いだとも思われるが、本郷谷市長と明示しているのに、発信者の氏名を明らかにしないのは、理由があるのだろうか。女児には姉がいるようだが、判然としない。
 ことほどさように、明らかになったことは、女児に関する情報だけで、未だに謎だらけの事案なのである。しかし、今、大切なことは、謎を究明することよりも、コメントにあるように「そって見守る」ことの方であろう。
(2022.10.7)