梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

コロナの《不思議》・3

 「東京新聞」2月20日付け朝刊1面に「コロナ 5類に引き下げたら何が変わる?」という見出しの記事が載っている。新型コロナウィルスの感染症法上の位置づけを「2類相当」から「5類」に引き下げるべきだという意見が与野党から出ているが、岸田首相は17日の記者会見で「今、まだ感染拡大の心配が世の中にあり、このタイミングで分類を変更することは現実的ではない」と話したそうだ。
 では「2類相当」と「5類」ではどのような違いがあるか。「2類相当」では、入院勧告、無症状者への適用、外出自粛の要請、医療費の公費負担という措置がとられるが、「5類」になると「季節性インフルエンザ」と同様に、いずれの措置もはずされる。「2類相当」を続ける限り、日常生活での制限や、医療現場の逼迫という問題は避けられない。要は、新型コロナウィルス感染症が、結核やSARS並に《危険度が高い》かどうかを明らかにすることだと思われるが、患者側の体験談ばかりで、専門家による根拠を示した説明がほとんどない。まず、①何人が検査を受けたか、②そのうち感染者は何人か、③感染者のうち、無症状者は何人か、④感染者のうち有症者は何人か、⑤有症者のうち重症者は何人か、⑥重症者のうち何人が死亡しているか、という《実態》を連日公表するべきである。
次に、感染率、有症化率、重症化率、(重症者の)致死率を計算し、その推移を明らかにすべきである。現在、「厚生労働省」のホームページで、その一部は示されているが、累計や現在数が混同しており、情報としては極めて不十分だ。
 首相は「まだ感染拡大の心配が世の中にあり・・・」などと述べているが、この感染症の正体が未だに究明されていない、もし感染したらどうすればいいかが明確に示されていない、感染しても(医療費の公費負担のために)放置されるのではないか、といった心配が、人々の間に蔓延しているのである。
(2022.2.21)