梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

新型肺炎(コロナウィルス)の《不安》・8・入、退院者数


 東京新聞朝刊(2面)に「国内感染者1000人超 新型コロナ 28都道府県で確認」という見出しの記事が載っている。3月4日午後の時点で、国内の感染者(中国帰国者、検疫官ら含む)は312人(死者6人)、チャーター機帰国者14人、クルーズ船の乗船者706人(死者6人)。合計は1032人(死者12人)である。これを3月2日午後の時点と比べると、国内感染者数は260人から312人に、52人増加している。記事では「4日に新たに確認された感染者は十都道府県などで33人。」と記されている。3月3日の時点では《新たに19人》だったので、感染者の拡大は止まっていない(1.7倍に増えている)。一方、記事の後段では「厚生労働省の今月4日の集計によると、人工呼吸器を装着しているか集中治療室(ICU)に入っている重症者は59人いるが、感染者の多くは軽症という。感染者はほぼ全員が入院したが、229人が退院した」という記述がある。だとすれば、現在の入院者数は感染者数から死者数、退院者数を引いた数であり、1032人-12人-229人=791人、つまり791人(に過ぎない)ということになる。大切なことは、いうまでもなくこの退院者数が増えていくことだ。厚生労働省は感染者数(入院者数)を公表すると同時に、「退院者数が増加している」ことを明らかにし、感染しても「多くは軽症」で終わることを《証明》するべきである。数字のみならず、その症例の経過を明らかにし、国民の不安を払拭しなければならない。
 はたして、そんな「ゆとり」(実力)が厚生労働省はじめ安倍内閣の面々にあるかどうか、マスメディアはじめ国民のサーベイランスが、今、問われているのである。
(2020.3.5)