梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

私の《病状管理》・3

 8日間の入院治療を終え、一段落ついたと思ったが、そうは問屋が卸さなかった。朝(6時)、排便の後、鮮血がほとばしったのだ。やれやれ、今までの苦労も水の泡、また振り出しに戻ったか。入院中は一切そういうことはなかったのに・・・。担当医も看護師もさわやかに「お疲れ様でした」と送り出してくれたのに・・・。思い当たる要因は、ただ一点、昨日の朝から「血液をサラサラにする薬」(バイアスピリンに代わるプラビックス)の服用を再開したことである。昨日の朝の排便時には何事もなかった。でもそれは服用前のことである。とりあえず、昨日でなくてよかった・・・と安堵するほかはない。さて、これからどうしようか。このままプラビックスの服用を止めて様子を見るか。病院に赴くか。駅前の病院に行けば「再入院」ということになりかねない。しかも、今日、明日と、私の担当医は非番である。「出血性大腸憩室炎」に対する治療(諸検査、3日間の絶食、点滴等)は充分に行われたはずだ。それが不十分だとすれば病院を信頼することはできない。私は一つ先の大学病院を受診することにした。
 受付の事務員は、経緯を聞いて「紹介状がないので診察できるかわかりません」と応じたが、20分ほどで看護師に呼ばれ、さらに詳しい病状、経過を訊ねられた。「昨日退院する時、このような事態になったらどうしなさいと言われましたか」「特に何も言われませんでした。薬についての指示はありましたが」「それはちょっとひどいですね」。この分だと診察してもらえそうだと思った。1時間ほど待っていると、別の看護師が迎えに来た。「どうぞ、処置室へ。まず点滴をします」。ありがたい、何とかしてもらえる。
 処置室に入ると、長椅子に横たわり、5本の採血と水分(500ml)の点滴が始まった。今は10時だから2時間はかかるだろうと思い、それとなく処置室内で立ち働く看護師達の様子を観察していると、実に興味深い。まず、一人一人が絶えず動いている。そして無駄な動きがない。さらに「情報共有」という言葉が飛び交い、つねに情報交換している。一人だけ知らないでいる、という状態をなくすとともに、独断を避けるための確認作業も行われている。なるほど大学の研究機関だけのことはある、と感心してしまった。・・・、11時頃「これから先生が診察します」と言われ、診察室に導かれた。担当医(若い男性)は看護師から事情を聞いており、「紹介状がないので詳しい内容がわかりませんが・・・、ともかく横になってください」と言いながら、私の肛門部分を2回指診した。そして「・・・ああ、これは痔かもしれない」とつぶやいた。
 私が起き上がると、改めて「憩室からの出血なら入院しなければなりませんが、多分、痔の出血でしょう。軟膏と止血薬を出しますので、しばらく様子を見てください。入院された病院には手紙を書きますので、担当の先生に渡してください」、ということで診察は終わった。やれやれ、助かった。そういえば、駅前の病院の担当医も「痔ではないですか」と訊ねたことがあったが、その時、私は即座に否定した。これまで痔出血を経験したことがなかったからである。もし、今回、痔出血であったとすれば、とんだ勘違いということになるが、大腸カメラ検査で憩室が多数確認されているから(痔核も)、憩室炎だと診断しても無理はないだろう。駅前病院の担当医と大学病院の担当医の違いはただ一点、肛門部を指診したか否かということに尽きるのではないだろうか。
 いずれにせよ、憩室、痔どちらからの出血かは、年内に結論は出ないだろう。大学病院の診断が正しければ、出血は止まるはずである。今後、プラビックスの服用を続けるか、止めるか、それを担当医に訊ねても「循環器医ではないので何とも言えません」という答であった。
《参考資料》(「川口胃腸肛門科クリニック」HPより引用)
◇いぼ痔の場合は痛みはなく、真っ赤な出血
 いぼ痔は内痔静脈叢という血管の集まっている部分が大きくなったもので、強くいきめば吹き出すように血が出て、診察中にメガネに血が飛ぶようなこともあります。
内痔核の多くは、排便の時のいきみで出血するので、新鮮な血液のまま便器を汚す事になり、「痔の出血は真っ赤」という事が多いのです。しかし、出血したものが直腸の部分にたまり、時間がたってから出ると赤黒い血になることもあります。ちなみに、内痔核の部分は痛みを感じる神経がないので、傷が付いても痛みはありません。
痔核の出血を治療するには、痔の血管に負担をかけないよう生活習慣を見直す必要があります。排便を整えて、強くいきまず短時間ですませる事がもっとも重要です。
座薬や軟膏などの薬の治療も効果があります。 また、注射によって内痔核を硬化させて出血を止める薬も効果があり、出血の治療だけで手術を行う事はほとんどありません。


(2019.12.26)