梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

脱テレビ宣言・検証・《番組表》

    いつの頃からか,テレビの番組表が新聞の1ページを占めるようになった。それまでは,放送時刻と番組のタイトル,出演者を紹介する程度であった物が,徐々に拡大され,今では,見なくても内容がわかってしまうほど詳細に,その番組のキャッチフレーズが載っている。テレビ業界が熾烈な視聴率獲得競争を展開している現れであろうが,そのキャッチフレーズが「狂気の沙汰」としか言いようがない。 
「モ娘ザンゲ加護全裸のぞき&石川マジギレ事件 YとO禁断愛発覚」(テレビ東京)
「マルシアに李麗仙が反論? 家で浮気なんてありえない」(TBSテレビ)
「霊のまばたきの瞬間を撮影見たものは呪われる 恐怖のビデオ」(テレビ朝日)
「電卓の名人 1秒に8キーたたく人」(NHKテレビ)
「少女達の新春熱狂地帯欲望全開<略>酒ラッパ飲み調泥酔300人が大交差点占拠 ナンパ続出 乱れすぎ大荒れ澁谷」(フジテレビ)
「旧家に起きた連続の怪事件・ナゾの侵入者 真っ暗闇で家中を移動居間に残された狂気のメッセージ」(日本テレビ) 
 暮れから正月にかけての「番組表」を見ただけでも以上のごとくであり,狂気のキャッ
チフレーズは枚挙にいとまがないのである。なかでも「楽しくなければ年の瀬じゃないスペシャル!」と題して「抜き打ち学力テスト年末ジャンボバカ決定」(フジテレビ・12月27日)は極め付きであった。誰が作文したかは知らないが,バカを決定して楽しもうという軽佻浮薄なテレビ「文化人」の魂胆が見え見えである。
 面白ければよい,視聴者が飛びつけばよい,視聴率が上がればよい,という尺度で愚にもつかないゴシップ,スキャンダル,井戸端会議,個人情報等を流し続けるテレビ業界の罪状は途方もなく重いのである。(2004.1.8)