梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

安倍首相の《無責任》

 安倍首相は、「森友学園」への国有地売却に関して「私や妻、事務所を含めて一切関わっていない。関係していたなら、首相も国会議員も辞める」と明言した。《一切関わっていない》ということが、《土地売買の「取引」に》ということであれば、当然のことであろう。一国の首相がそのような「取引」に直接に関わるはずはないからである。しかし、そのことが、「関係していない」という証しにはならない。その取引が「国有地」を対象にしているからである。民間相互の取引ではないのである。国有地は「国民の財産」であり、首相にはそれを守る義務がある。その財産が8億円値引きされて売却されたことの《責任》が生じるのである。9億円台の国有地が1億円台で売却されたことに、露ほどの疑問も感じないことは無責任の極みであり、首相としては失格である。
 安倍首相にとって妻は「私人」に過ぎないそうだが、海外出張に同行する際の旅費は公費(税金)である。また、(首相を支える)妻(「私人」)の活動を補佐する公務員が5人も居る。「森友学園」に利用された「安倍首相夫人」という肩書きもまた、私人の「肩書き」だと言うのであろうか。安倍首相夫妻は当初から「森友学園」の教育方針に共鳴し、その実践を素晴らしいと評価したからこそ、妻は「名誉校長」、首相自身は「安倍晋三記念小学校」などという、不名誉な《汚名》を頂く羽目になったのである。
 文字通り(意図的な)「公私混同」の典型であり、「公人」・首相としての責任は免れられない。古来より、「沈黙は金、多弁は鉛」と言われている。図らずも、安倍首相の多弁(はぐらかし、言い逃れ、レッテル貼り、印象操作などなど)が、自らの「無責任」を明白に証明する結果となった。
 今日の朝刊には「週刊文春」「週刊新潮」の広告記事が載った。そのトップ記事のタイトルは、前者が「国有地『8億円値引き』キーマン実名初告白 安倍晋三記念小学校“口利き”したのは私です」、後者は「『ドアホ理事長』と交わった『安倍昭恵』国有地9割引! 幼稚園児に反中反韓教育! 校庭に産廃を埋め戻し!」とある  
 安倍首相は、直ちに発行元を相手に「名誉毀損」の訴えを起こすはずである。もし、そのまま見過ごすようであれば、安倍首相の「無責任」がさらに一つ増えることになる。今後の経過を注意深く見守りたい。
(2017.3.2)